【課題別】卸売業のDX事例10選!活用できるツールと合わせて紹介

「卸売業のDX事例ってあるかな?具体的にどういうことに取り組んでいるのだろう」
「DXの効果や取り組み方の参考として事例を知りたい」

卸売業を営んでいる方のなかには、このようにDXをしたいと考えていても行動に移せず、まずは事例を参考にしたいという方も多いでしょう。

そこで本記事では、卸売業が抱えることの多い4つの課題に分けて、10のDX事例を紹介します。

受発注業務の負担を削減できたDX事例3選

酒類や食材の卸売業

100件あった留守番電話からの注文数を1/3に減らせた事例

総合卸売業

受注業務にかける時間を90分から30分に削減できた事例

書籍・雑誌・文具雑貨などの卸売

顧客にも在庫状況がわかるようにして受注ミスを防げた事例

見積書・請求書作成業務の負担を削減できたDX事例2選

紳士服・婦人服を展開する卸売業

300件ある請求書をAIで半分以下の工数に削減できた事例

包装資材や物流機器の卸売業

毎月1,000件ある請求書作成業務の負担を半分に減らせた事例

在庫確認業務の負担を減らせた改善事例3選

防犯カメラ及び周辺機器を扱う卸売業

DXで在庫管理を始めてから棚卸の差異がゼロになった事例

自転車の卸売業

2〜3週間かかっていた棚卸時間を約30時間減らせた事例

インテリア製品の卸売業

商品在庫を顧客と共有!問合せの確認作業を減らした事例

人手不足に対するDX事例2選

自転車のパーツ・アクセサリーの卸売業

業務の自動化で業務時間をひと月16~18時間削減できた事例

スキンケア商品の卸売業

約90%EC注文へ!受注担当者数を半分に減らせた事例

本記事で紹介するDX事例はすべて、棚卸時間や業務時間などの数値の改善、顧客満足度の向上といったDXによる効果がしっかり反映されたものだけを集めています。

記事の後半では卸売業のDXを実施する際のコツについても解説していますので、ぜひ本記事を読み進めて卸売業のDX事例とともに、理解を深めていきましょう。

目次

1. 受発注業務の負担を削減できた卸売業のDX事例

まずは、卸売業で課題となりやすい受発注業務の負担が削減されたDX事例を以下3つ紹介します。

受発注業務の負担を削減できたDX事例3選

酒類や食材の卸売業

100件あった留守番電話からの注文数を1/3に減らせた事例

総合卸売業

受注業務にかける時間を90分から30分に削減できた事例

書籍・雑誌・文具雑貨などの卸売

顧客にも在庫状況がわかるようにして受注ミスを防げた事例

順番に見ていきましょう。

1-1. 1日100件あった留守番電話からの注文数が1/3に!受発注サービスで業務負担を減らせた事例

酒類や食材の卸売業の事例

企業名

株式会社佐々木

企業規模

中小企業

取り組み前の課題

商品を卸す飲食店とのやり取りが煩雑

DXのための取り組み

・受発注システムの導入
・システム利用に関する顧客側への説明

効果

1日100件あった留守番電話からの注文数が1/3になった

1日100件あった留守番電話からの注文数が、受発注システムによるDX活用で1/3になり、業務負担を減らせた事例を紹介します。

株式会社佐々木は酒類や食材の卸売業を担う企業で、商品を卸す飲食店とのやり取りについて課題を抱えていました。

FAXや留守番電話、顧客が指定したシステム、大手受発注システムの4種類を主に使いながら受発注業務を進めるため、煩雑で時間がかかります。

とくに1日100件以上にのぼる留守番電話からの受注労力は大きく、まずはじめに聞いた内容を紙に記入し、自社のシステムに入力します。

次にダブルチェックで聞き直しの作業を行うので、8~10時間ほどかかっていました。

夜10時頃から電話が鳴りはじめ、朝5時頃までは電話が鳴りっぱなしの状況が続くため、夜間スタッフの労力は大きなものだったといいます。

そこで導入したのが食品卸売会社様向けの受発注システム「クロスオーダー」です。

出典:クロスオーダー

クロスオーダーは卸売業者と飲食店間で、受発注・請求・販促といった業務をデジタル化し、やり取りを一元管理できるシステムです。

このシステムを導入したことで、

電話による受発注→LINEによる受発注

へと徐々にシフトしていきました。

顧客側にも利用をお願いしなければならないため、すぐに受発注業務の負担が激減したわけではありませんが、営業担当が根気強く利便性を説明したことで利用してくれる顧客が増えていきました。

こうしたツール導入や取引先との調整を行ったことで、100件あった留守番電話が現在では1/3に削減されました。

これまでのアナログな受発注に焦点を当ててDXを進めたことで、夜間の現場スタッフの業務負担が大きく減った事例です。

参考:株式会社内田洋行【先進企業に聞く】受発注のデジタル化から始める食品卸売業の現実的なDX戦略

1-2. FAX-OCRとCSV取り込みで1日の受注業務にかける時間を90分から30分に削減できた事例

総合卸売業の事例

企業名

大和物産株式会社

企業規模

大企業

取り組み前の課題

・受注業務の手間
(電話注文では詳細なメモ取り、FAXは伝票に書く写す作業が必要)
・電話注文による受注ミスの発生

DXのための取り組み

・受発注システムの導入
・FAX-OCRとCSV取込みによるFAX受注の自動処理

効果

受注業務にかける時間を90分から30分に削減できた

1日の受注業務にかける時間を90分から30分に削減できた事例を紹介します。

総合卸売業の大和物産株式会社は、電話・FAXで月間1,000件の注文を受けており、電話注文では詳細なメモ取り、FAXは伝票に書く写す作業が必要でした。

しかしどれだけ注意していても、電話の場合は「言った・言わない」からくる受注ミスが起こりえます。

FAXでは記載されている内容の誤字脱字や不鮮明さから、再度電話確認する作業が発生するので、受注業務に課題を抱えていました。

そこで採用したのが受発注システム「TANOMU」です。

出典:TANOMU

TANOMUは電話・FAX・LINEからの受注を一括で管理できる、卸売向けの受発注システムです。

発注する顧客はLINEやPCから発注でき、受注側はTANOMUで自動処理された注文の入ったファイル、CSVをダウンロードするだけです。

そのため注文方法を電話やFAXからTANOMUへ移行してもらうことで、メモ取りやFAXの内容確認作業がなくなりました。

もし電話や口頭で注文を受けたとしても、その場でTANOMUへ入力できるのですばやく受注業務が行えます。

さらに「どうしてもFAXを利用したい」という顧客からの受注は、FAX-OCR機能を活用することで自動で受注入力されます。

FAX-OCR機能:FAXで受信したデータをテキストデータに変換する機能

FAX-OCR機能によって受注入力された注文もCSVに落とし込めるので、月300件ほどあるFAXからの受注にもほとんど手間がかかりません。

現在では全1,000件の受注処理が90分から30分に短縮されたといい、DXによって大きな効果を得られています。

参考:TANOMU「導入事例」

1-3. 顧客にも在庫状況がわかるようにして受注ミスを防げた事例

書籍・雑誌・文具雑貨などの卸売の事例

企業名

日販アイ・ピー・エス株式会社

企業規模

大企業

取り組み前の課題

在庫把握が甘く、受注ミスが多発

DXのための取り組み

受発注から倉庫管理までできる受発注システムで在庫状況を把握

効果

受注ミスを防げるようになった

DXにより顧客にも在庫状況がわかるようにして、受注ミスを防げた事例を紹介します。

日販アイ・ピー・エス株式会社は、出版社やメーカーを通して仕入れた書籍・雑誌・文具雑貨などを海外50社以上へ輸出する卸売企業です。

これまでExcelを使用して受注業務を行っていたものの、1日200品目近くの受注を受けるケースもあり、

「あると思っていたら在庫が足りなかった」
「ほかの企業と注文が重複した結果、納期までに納品が難しくなった」

という受注ミスの発生が課題となっていました。

そこで導入したのが、「TS-BASE 受発注」です。

出典:TS-BASE 受発注

TS-BASE 受発注は、受発注から倉庫管理までできるシステムで、顧客と自社の双方でリアルタイムの在庫状況がわかります。

顧客側が在庫の有無を把握しながら発注できるので、登録在庫数以上の注文を受けてしまうことはありません

在庫数が自社だけでなく、顧客にとってもわかることで納品までの日程もクリアになり、顧客満足度の向上にもつながっています。

参考:TS-BASE 受発注「在庫数の見える化は、企業間取引の「注文増加」に好影響をもたらす

2. 見積書・請求書作成業務の負担を削減できた卸売業のDX事例

つづいて、卸売業のDXにおける、見積書・請求書作成業務課題に関するDX事例を以下2つ紹介します。

見積書・請求書作成業務の負担を減らせた改善事例2選

紳士服・婦人服を展開する卸売業

300件ある請求書をAIで半分以下の工数に削減できた事例

包装資材や物流機器の卸売業

毎月1,000件ある請求書作成業務の負担を半分に減らせた事例

順番に見ていきましょう。

2-1. 毎月300件ある請求書の処理業務の工数をAIで半分以下に削減できた事例

紳士服・婦人服を展開する卸売業の事例

企業名

坂善商事株式会社

企業規模

中小企業

取り組み前の課題

紙の請求書のデータ化や仕訳・ファイリングなどの業務負担の多さ

DXのための取り組み

請求書をAIによってデータ化してくれるシステムの導入

効果

毎月300件ある請求書の処理業務の工数を半分以下に削減できた

毎月300件ある請求書の処理業務の工数をDXにより、半分以下に削減できた事例を紹介します。

坂善商事株式会社は、紳士服・婦人服を展開する卸売業を担う企業です。

DXの前は紙の請求書が大半を占めており、データ化や仕訳・ファイリングなどの業務負担の多さに課題を抱えていました。

またコロナ禍でもあったことから在宅で業務を進められるようにしたかったことも、DXを推進した理由のひとつだといいます。

そこで導入したのが、請求業務の効率化を図れるシステム、「バクラク請求書」です。

出典:Bakuraku

バクラク請求書では、受領した請求書を最大で100枚、AIによって同時に数秒でデータ化してくれます。

システムへ請求書をアップロードするだけで、データを抽出し、入力から仕訳までをすべて自動で行えます。

取引先へは請求書のアップロード先URLを共有できるので、請求書を郵送する手間や費用も必要もありません。

現在では約300枚の請求書のほぼ100%がバクラク請求書で処理でき、請求書の確認・処理業務にかかる時間は半分以下に削減されました。

過去の請求書や処理内容も検索できるので、「あのときの請求書ってちゃんと処理したっけ?」といった支払い漏れのリスクも減らせます。

紙ベースの請求書の処理に困っているなら、このように請求業務に焦点を当ててDXに取り組むことで、大幅に業務負担が削減されるでしょう。

参考:Bakuraku「バクラクは「これからの請求書処理の必需品」。業務工数を半分以上削減した坂善商事が語るバクラクを活用するべき理由とは

2-2. 手作業の「印刷・三つ折り・封入・発送」不要!毎月1,000件ある請求書作成業務の負担を減らせた事例

包装資材や物流機器の卸売業の事例

企業名

株式会社ヤマヤス

企業規模

中小企業

取り組み前の課題

請求書の印刷と各営業所から顧客への手作業による郵送業務の負担

DXのための取り組み

電子請求書発行システム「楽楽明細」の導入で郵送件数をカット

効果

取引先の半数以上が電子発行へ移行

DXにより毎月1,000件手作業で送る「印刷・三つ折り・封入・発送」がなくなり、請求書作成業務の負担を減らせた事例を紹介します。

株式会社ヤマヤスは包装資材や物流機器などを販売している企業です。

DX前はPDFの請求書を全社で毎月1,000件ほど印刷し、各営業所から顧客へ手作業で郵送していたため、大きな負担がありました。

そのようなときに導入したのが電子請求書発行システム「楽楽明細」です。

出典:楽楽明細

「楽楽明細」は請求書や納品書、支払明細などの帳票をWeb上で発行でき、さらに顧客まで自動で届けられるシステムです。

そのため請求書を手作業で送るときの「印刷・三つ折り・封入・発送」といった作業は一切行いません。

また顧客側が発行した請求書や納品書などをダウンロードしたのかもシステム上で確認できるため、非常に便利です。

現在では取引先の半数以上が電子発行へ移行し、業務が非常にスムーズになったと感じています。

実際、業務担当からも「楽になった」との声が多くあがっています。

参考:楽々明細「導入事例|株式会社ヤマヤス」

3. 在庫管理の負担を削減できた卸売業のDX事例

課題3つ目は、在庫確認業務の課題に対する卸売業のDX事例です。

在庫確認業務の負担を減らせた改善事例3選は、以下のとおりです。

在庫確認業務の負担を減らせた改善事例3選

防犯カメラ及び周辺機器を扱う卸売業

DXで在庫管理を始めてから棚卸の差異がゼロになった事例

自転車の卸売業

2〜3週間かかっていた棚卸時間を約30時間減らせた事例

インテリア製品の卸売業

商品在庫を顧客と共有!問合せの確認作業を減らした事例

順番に見ていきましょう。

3-1. DXで在庫管理を始めてから棚卸の差異がゼロになった事例

防犯カメラ及び周辺機器を扱う卸売業の事例

企業名

株式会社トリニティー

企業規模

中小企業

取り組み前の課題

Excelを使った手入力の棚卸で誤差が出る

入出庫の記録ができておらず、棚卸で実在庫との差異が出る

DXのための取り組み

在庫管理アプリの導入で入出庫の登録をデジタル化した

効果

・棚卸の時間が削減された

・棚卸の差異がゼロになった

DXで在庫管理を始めてから、棚卸の差異がゼロになった事例を紹介します。

株式会社トリニティーは、防犯カメラ及び周辺機器を扱う卸売業の事例です。

在庫管理システムを導入するまでExcelを使って手入力で在庫を管理していたため、ミスによる誤差が発生していました。

また商品の入出庫記録ができていないため、理論在庫と実在庫のズレがなぜ起きているのかも把握できていませんでした。

そこで導入したのが、在庫管理アプリの「zaico」です。

出典:zaico

zaicoでは、アプリが入った端末(スマホなど)にかざすだけで商品をシステム上に簡単に登録でき、このとき自動でQRコードやバーコードが生成されます。

このQRコードやバーコードを端末で読み取ることで、入庫・出庫の記録が自動でつけられ、在庫数や保管場所までわかるようになったのです。

こうしたアプリを導入し、入出庫の管理をデジタル化することで、同社では正確な在庫数の把握ができるようになりました。

その結果、棚卸時間が削減されただけでなく、実在庫との差異が出たときも入出庫記録がわかるので、なぜズレが生じているのか原因追及もしやすくなりました

現在では棚卸の差異はゼロになり、原因追及にかかっていた時間をほかの業務に使えています。

参考:DX事例プラットフォーム シーラベル「脱・Excelで棚卸差異がゼロに!セキュリティ機器など3拠点で管理、支店ごとの在庫金額も自動計算」

3-2. 約7万点の部品の在庫をリアルタイムで把握!2〜3週間かかっていた棚卸時間も約30時間減らせた事例

自転車の卸売業の事例

企業名

株式会社もりお・沖縄

企業規模

中小企業

取り組み前の課題

棚卸に時間がかかる

在庫確認に時間を要する

DXのための取り組み

業務統合システムで情報管理を一元化

効果

・約7万点の部品の在庫をリアルタイムで把握できるようになった

・棚卸時間が約30時間削減された

約7万点の部品の在庫をDXによりリアルタイムで把握して、棚卸時間も約30時間減らせた事例を紹介します。

株式会社もりお・沖縄は、沖縄市で販売店「サイクル館」を2店舗経営しながら、卸売もしています。

部品交換によって長く乗り続けられる自転車ゆえ、約7万点の商品を取り扱っているのが同社の強みです。

しかしその一方で、在庫状況を把握する煩雑さを感じていました。

具体的には、販売数と在庫数の管理システムが連動しておらず、どれだけ在庫が減ったのか、店舗や倉庫にどれだけ在庫があるのかといったことが把握しきれないことで、二重発注や過剰在庫といった問題も発生していたのです。

そこで、業務統合システムを導入して、部門や業務ごとに管理しなければならないデータを一つにまとめ、会社全体で共有できるようにしました。

【補足:業務統合システムとは】
企業の「ヒト・モノ・カネ」を一元管理して、効率化や情報の一元化を図るためのシステム。
一例として、「マネーフォワード クラウドERP」や「GRANDIT」などがある。

業務統合システムを導入したことで、株式会社もりお・沖縄では、商品がいつ入荷して売れていったのかという動向や、在庫状況がリアルタイムで把握できるようになりました。

「この商品の在庫ってある?」といった顧客からの質問も、業務統合システムで検索すれば、7万点もの商品を抱えていながらすぐに答えられます。

在庫管理が楽になったことで業務の合間を縫いながら実施していた棚卸時間が30時間減り、7時間で終わるようにもなりました。

今では毎月1日だけ店舗を閉め、集中して棚卸を行うだけでいいほどの業務効率化につながっている事例です。

参考:「中小企業でもできた!卸小売業の在庫管理DX 最新実例」

3-3. 商品在庫を販売管理システムで顧客と共有して問合せの確認作業を減らした事例

インテリア製品の卸売業の事例

企業名

企業規模

取り組み前の課題

在庫把握が甘い
在庫の問合せへの回答に時間がかかる

DXのための取り組み

・販売管理ツールの導入し、商品の動きを記録
・顧客にシステムに反映された商品在庫を公開

効果

・在庫管理の精度が向上した
・商品在庫を顧客と共有して、問合せの確認作業を減らせた

販売管理システムを使ったDXにより商品在庫を顧客と共有して、問合せの確認作業を減らした事例を紹介します。

【補足:販売管理システムとは】
注文~納品までの販売業務に関する情報を一元管理できるシステム。
販売管理、在庫管理、購買管理などの機能が備わっている。

今回紹介するインテリア製品卸売業A社は、そもそも在庫管理に問題を抱えていました。

顧客からの在庫状況に関する問合わせに答えるまでに時間がかかるだけでなく、正確な回答すらできていない状況でした。

結果的に複数の顧客から二重で商品の受注をしたり、在庫数が必要な数量を下回ったりして、欠品の発生が課題となっていたのです。

そこで導入したのが「スーパーカクテル デュオ 販売」です。

出典:販売管理パッケージ「スーパーカクテル デュオ販売」

スーパーカクテル デュオ販売は受発注管理や在庫管理、取引先ごとのデータ管理などができるほか、会計システムのような外部システムとの連携も可能なツールです。

分析機能も優れており、現在の受発注状況や設定した販売計画にもとづいた未来在庫を予測できるので、過剰在庫を防ぐことができます。

そして課題である在庫状況の精度の悪さですが、入出庫やピッキングなど、商品の動きがシステムによって記録されるので、正確な在庫を把握できるようになりました。

さらにスーパーカクテル デュオ販売の機能によって商品在庫を顧客にも公開することで、顧客自身で在庫の有無をシステム上で確認できるようにしました。

結果的に顧客から在庫の問合せを受けることがなくなり、商品があるのか、確認作業が不要になったのです。

DXを取り入れたことで課題の在庫管理精度の向上を図れただけでなく、顧客と在庫状況の共有によって業務効率化ができ、各商品の在庫を最適化につながりました。

参考:株式会社内田洋行「インテリア製品卸売業×販売管理パッケージシステム 導入事例」

4. 人手不足に対する卸売業のDX事例

つづいては卸売業の抱える人手不足に関するDX事例です。

主に人手不足に対して効果が見られたDX事例は、以下2つです。

人手不足に対する改善事例2選

自転車のパーツ・アクセサリーの卸売業

業務の自動化で業務時間をひと月16~18時間削減できた事例

スキンケア商品の卸売業

約90%EC注文へ!受注担当者数を半分に減らせた事例

順番に見ていきましょう。

4-1. RPAの導入で業務の自動化を図り、ひと月16~18時間削減できた事例

自転車のパーツ・アクセサリーの卸売業の事例

企業名

テラオ株式会社

企業規模

中小企業

取り組み前の課題

事務作業にかかる時間の多さ

DXのための取り組み

・RPAにより定型業務を自動化
・RPAの活用をサポートするシステムを導入

効果

ひと月16~18時間の業務時間を削減

RPAにより業務の自動化を図り、ひと月16~18時間の工数削減が叶った事例を紹介します。

【補足:RPAとは】
人がパソコン上で行う定型業務や事務作業を自動化できる技術やツールのこと。
人が行う処理手順を登録し、それと同じように処理を行わせることができる。

テラオ株式会社は自転車のパーツ・アクセサリーなどを扱う企業で、街の自転車屋さんから毎週約2,000件の注文を受けています。

しかし以下のような事務作業にかかる時間が多く、特に忙しい時期には人手を割くことにハードルを感じていました。

・送り状の情報と販売情報(伝票)の紐付け
・代引き金額のチェック(運送会社から送られてくる代引き記録と基幹システム内の情報の照合)
・メールで受けた注文内容の基幹システムへの入力
・Amazonの売上の基幹システムへの入力

そこでRPAを用いて、こうした事務作業を自動化しようと考えたのです。

そして、RPAをスムーズに活用するために導入したのが、「Autoジョブ名人」でした。

出典:Autoジョブ名人

Autoジョブ名人に、自動化したい業務フローを登録することでRPAによる自動処理がなされるため、上で挙げた事務作業をスムーズに自動化することができました。

結果として同社では、月間16~18時間分の作業時間を削減できたのです。

このように、誰でもできるけれど人手を割きづらい作業をどんどん自動化させれば、人手不足も緩和していくでしょう。

参考:Autoジョブ名人「導入事例 | テラオ株式会社様」

4-2. 4人で行っていた受注業務が2人でできるようになった事例

スキンケア商品の卸売業の事例

企業名

株式会社コンフォートジャパン

企業規模

中小企業

取り組み前の課題

FAX注文の処理や対応の負荷が注文数に比例して増大

DXのための取り組み

・BtoB向けECの導入
・販売管理システム導入
・顧客の注文をFAXからECへ移行

効果

・受注担当者が4人→2人に減らせた
・月30〜40時間の残業がほぼ無くなった
・受注ミスが無くなった

受注担当者の数を4人から2人へと半減できた事例をご紹介します。

株式会社コンフォートジャパンは、イタリア発スキンケアブランドの日本総代理店で、全国のスパやヘアサロン、百貨店などの小売店に商品を卸しています。

注文は99%がFAXでしたが、商品名が潰れて読めなかったり、当時使用していた販売管理ツールへの入力負担が大きかったと言います。

こうした状況のために、ミスも多発していました。

そこで導入したのが販売管理システム「アラジンオフィス」と、BtoB向けのECである「アラジンEC」のパッケージ商品です。

出典:Aladdin office 

出典:Web受発注システム・BtoB EC「アラジンEC」

アラジンオフィスは販売管理システムで、受注から在庫確認・発注・出荷・請求・入金・という一連の流れを管理できます。

そしてオプションであるアラジンECは、FAX・電話注文をデジタル化させられる受発注DXツールです。WアラジンECを介して受けた注文データは、そのままアラジンオフィスに自動で取り込めます。

こうした2つのシステムを導入し、連携させることで、受注フローが以下のように変わりました。

・従来:FAXで受注→販売管理ツールへの手入力
・DX取り組み後:ECで受注→自動で販売管理ツールにデータ反映

99%がFAX注文だった中、9割の顧客をEC注文に移行させることにも注力したおかげで、コンフォートジャパンでの手入力は不要になりました。

結果的に、4名だった受注担当者は2名に減らすことに成功。月に30~40時間ほどあった残業時間もほぼゼロになり、業務体制が改善されました。

さらに月に2%ほどの割合で発生していた受注ミスもなくなり、DX導入の効果は大きいものとなっています。

参考:アラジンEC「株式会社コンフォートジャパン様:化粧品の製造・販売および輸出入|BtoB EC・Web受発注システム導入事例」

5. 事例からわかる卸売業におけるDX推進のコツ3つ

ここまで、課題別に事例を紹介しました。

事例を踏まえてDXツールをどのように導入していこうか検討している方も多いでしょう。

そこで最後に、DX事例からわかる推進のコツを解説します。

・現状の課題からDXのゴールを明確にする
・顧客にも協力を求める
・課題に合ったツールを導入する

順番に見ていきましょう。

5-1. 現状の課題からDXのゴールを明確にする

DXを進める上でまず重要なのが、現状の課題をもとに、DXのゴールを明確にすることです。

現状の課題を洗い出す方法

・現場の従業員と面談する
・従業員の勤怠を確認して残業時間を把握する
・顧客からのクレーム内容を確認する
・現場で欠品や納期遅延などのミスにつながった内容を把握する

現状の課題が把握できなければゴールがブレてしまい、どのようにDXを進めるべきかいつまでも迷うことになってしまいます。

お伝えしたどの事例においてもそうであるように、各企業ごと抱える課題を明確にしたうえで目的を達成するための施策やツール導入を決めています。

たとえば「1-1. 1日100件あった留守番電話からの注文数が1/3に!受発注サービスで業務負担を減らせた事例」では、受発注業務の煩雑さに課題を抱えていました。

こうした課題を解決するために、Web上で受発注できるシステムを導入して、留守番電話からの注文数を1/3に削減できています。

こういったことから、現状でどのような課題を抱えているのか把握して、ゴールを明確にすることがDXを進めるうえでの重要なファーストステップと言えるでしょう。

5-2. 顧客にも協力を求める

卸売業でDXを推進するためには、顧客に協力を求めることも重要です。

DXにより、受発注業務や請求業務を根本的に改善する際には、顧客や取引先にも業務フローを変えてもらう必要があるからです。

たとえば、FAXや電話による受注のせいで業務負荷が大きくなっている場合や、ミスが発生している場合、受発注システムやECを導入して改善を図るケースがあります。

4-2. 4人で行っていた受注業務が2人でできるようになった事例」がその一例です。

こういった場合は、自社でシステムを導入するだけでなく、顧客に注文の仕方を変えてもらうよう交渉しているからこそ、受注フローが変わり、業務効率が向上するのです。

したがって、顧客が関わる形でDXを進めるのであれば、顧客への協力を求めることもDXの計画に組み込んでおかなければなりません。

5-3. 課題に合ったツールを導入する

DX推進においては、デジタルツールの導入が必要となるケースが多いですが、その際は課題に合ったツールを導入するようにしましょう。

闇雲にツールだけ先行して導入しても、状況が変わらずDXにならない可能性があるからです。

たとえば事例でも活用されていた、卸売業で活用できるDXツールには、以下のようなものがあります。

卸売業で活用できるDXツールの種類

Web-EDI:企業間で取引データを電子的に交換するシステム。請求書や見積書を郵送する必要ながなくなる。

・RPA:パソコンで行われる業務を自動化させられる

・販売管理システム:受注~納品までの販売業務に関する情報を一元管理できる。

・受発注システム:受発注業務をWeb上で効率的に行える

・ERP(基幹システム):会計管理、販売管理、購買管理、生産管理、人事管理などの情報を一元化・効率化できる

・見積作成システム:見積書の作成機能や見積データを活用した分析機能で業務を効率化できる

まずはこうしたツールの種類から、自社の課題にマッチするものに目星をつけ、DXの効果が最大化されるようにしましょう。

さらに、種類を決めた後に具体的に導入するツールを選定していく段階では、3〜4個ほどピックアップして比較するといいでしょう。

このときの主な比較ポイントは、以下のとおりです。

DXツールを比較するときに押さえておくべきポイント

・自社の課題解決ができる

・適正価格である:導入時の価格だけでなく継続して支払い続けられる価格である

・他システムとの連携性:ほかの既存システムと連携させることで更なる効率化を図りやすい。

・サポート体制の充実度:導入時のサポートやトラブル発生時の対処などを、しっかりしてもらえるかチェック
例)24時間365日対応、電話やWeb会議システムの利用

これらのポイントを押さえたうえで比較して、自社の課題にあったDXツールを選びましょう。

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WONDERCART(ワンダーカート)がおすすめ!

WONDERCART(ワンダーカート)は、在庫管理機能や見積・提案書の作成機能を備えたBtoB向け受発注システムです。

商品在庫をCSVでシステム上に一括で反映させることができ、その情報を顧客側でも確認可能です。

これにより、従来のFAXや電話による煩雑な在庫確認や問い合わせのやり取りが不要となります。

さらに、システムに登録された商品画像や料金、仕様などの情報をもとに、見積書や提案書を半自動で作成可能です。

このため、受注に至る前の商談準備も効率化が見込めます。

受注業務に焦点を当ててDXを進めていくなら、このように受注に関わる幅広い業務を効率化できるWONDERCART(ワンダーカート)をぜひご検討ください。

7. まとめ

本記事では、卸売業のDX事例について紹介しました。

最後に、本記事の要点をまとめていきます。

卸売業の4つの課題別DX事例は、以下のとおりです。

受発注業務の負担を減らせた改善事例3選

酒類や食材の卸売業

100件あった留守番電話からの注文数を1/3に減らせた事例

総合卸売業

受注業務にかける時間を90分から30分に削減できた事例

書籍・雑誌・文具雑貨などの卸売

顧客にも在庫状況がわかるようにして受注ミスを防げた事例

見積書・請求書作成業務の負担を減らせた改善事例2選

紳士服・婦人服を展開する卸売業

300件ある請求書をAIで半分以下の工数に削減できた事例

包装資材や物流機器の卸売業

毎月1,000件ある請求書作成業務の負担を半分に減らせた事例

在庫確認業務の負担を減らせた改善事例3選

防犯カメラ及び周辺機器を扱う卸売業

DXで在庫管理を始めてから棚卸の差異がゼロになった事例

自転車の卸売業

2〜3週間かかっていた棚卸時間を約30時間減らせた事例

インテリア製品の卸売業

商品在庫を顧客と共有!問合せの確認作業を減らした事例

人手不足に対する改善事例2選

自転車のパーツ・アクセサリーの卸売業

業務の自動化で業務時間をひと月16~18時間削減できた事例

スキンケア商品の卸売業

約90%EC注文へ!受注担当者数を半分に減らせた事例

本記事で紹介した卸売業のDX事例を参考に、あなたがDXを進められることを祈っています。

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