BtoB ECサイトの「パッケージ」とは? 特徴や向いている人

BtoB ECサイトを作りたい場合に、「ECパッケージで構築する方法」を検討する方は多いのではないでしょうか。

BtoB ECサイトの構築方法は、主に、ASP・ECパッケージ・オープンソース・フルスクラッチの4種類があります。
ECパッケージはこの中で、「ある程度開発はしたいけれど、開発費用は抑えたい」というニーズに合致した選択肢といえます。

もっと細かく見ていくと、ECパッケージには他の選択肢と比べたメリットもあればデメリットも存在します。

この記事では、BtoB ECサイトを作る際に「ECパッケージで構築するのは実際のところどうなの？」という点について、知識が無い方でも読めるようわかりやすく説明していきます。

「ECパッケージはおすすめ？」「自社でECパッケージを使うか悩んでいる」という方も、ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。

1. BtoB ECサイトを構築できる「パッケージ」とは？

まずは、「BtoB ECサイトを構築するためのパッケージとは何か？」など基本的な情報を解説していきます。

1-1. ECサイトに必要な機能が備わっているソフトウェアのこと

ECパッケージとは、ECサイトの運営に必要な機能があらかじめ一通り揃っているソフトウェアであり、BtoB ECサイトを構築する手段のひとつです。

商品管理、注文処理、決済、配送、顧客管理、デザインカスタマイズ、マーケティング支援機能などが用意されているため、パッケージを活用すれば、比較的簡単にECサイトを開始できるようになっています。

BtoB ECサイトを構築する代表的な方法としては以下の4つがありますが、ECパッケージは、柔軟性が高く低コストで活用できる構築方法であり、フルスクラッチとASPの「いいとこ取り」の立ち位置になります。

【BtoB ECサイトを構築する主な4つの手段】

ASPは既に出来上がっているシステムを借りて「一部を自分のお店として使わせてもらう」ようなイメージになるため、カスタマイズ性は低めとなります。

一方でECパッケージでは、ライセンス購入という形で受け取って、それらをカスタマイズして自社サーバーやクラウド環境にインストールして使用することが一般的です。

ASPよりも自由度が高く、フルスクラッチよりも安くBtoB ECサイトを構築できる方法として、多くの企業がECパッケージを活用したサイト構築を選択しています。

1-2. ECパッケージに搭載されていることが多い機能

ECパッケージに搭載されていることが多い機能としては、以下のようなものがあります。

企業がECサイトを開設・運営するために必要な機能があらかじめ搭載されているため、パッケージを使えばすぐに必要な環境を整えることができます。

1-3. BtoBに特化したECパッケージはさらに機能が増える

ECパッケージは「BtoC（一般ユーザー向け）」のものが多いのですが、「BtoB（企業間取引）」に特化したパッケージの場合には、BtoB特有の商習慣に対応するため、以下のような機能が追加となります。

上記のように、BtoBに対応したECパッケージの場合には、BtoCよりも機能が拡充されて効率化を促進できます。

特に、「取引先によって価格や取引条件を変更したい」という場合や、「掛け払いに対応したい」「定期的に受注する注文を効率化したい」「見積もりや承認プロセスなどに対応したい」というようなケースは、BtoB向けの機能が必須となります。

2. BtoB ECサイトをECパッケージで作成するメリット

ここからは、BtoB ECサイトを「ECパッケージ」で作成するメリットについて、他の選択肢と比較しながら解説していきます。

2-1. ASPよりもカスタマイズの自由度が高い

BtoB特化型のECパッケージを利用する最大のメリットの一つが、カスタマイズの自由度がASPに比べて高い点です。

ASPは提供者が用意したテンプレートや機能の範囲内で利用することを前提としているため、特定のビジネス要件に対応するには限界があります。
一方で、パッケージはライセンスを購入して自社環境に導入し、自由に機能を追加・改修できるため、企業ごとの独自要件に柔軟に対応できるようになっています。

そのため、「ASPをそのまま使う」のではなく、自社の商習慣などにカスタマイズしてECサイトを構築したい方に向いています。

カスタマイズできる内容や範囲はパッケージによって異なりますが、例えば「アラジンEC」の公式サイトを見ると、以下のようなカスタマイズ事例が掲載されています。

実際にどのようなカスタマイズが可能かはベンダーによって異なりますので、自社が欲しい機能を整理しておいて相談することをおすすめします。

2-2. フルスクラッチよりも開発コストや期間を抑えられる

ECパッケージには既に必要な機能が準備されているため、余計な開発コストがかからず、期間も短くすることが可能です。

ゼロからECサイトを構築する「オープンソース」や「フルスクラッチ」では、開発のためのコストや期間がかかります。
さらに、独自のシステムを保守・メンテナンスするための費用もかさんでしまいます。

2-3. 必要な機能が搭載されているためスピーディーにオープンできる

BtoBに特化したECパッケージを使うと、BtoB ECサイトに必要な機能が標準搭載されているため、スピーディーにサイトをオープンできます。

パッケージには、顧客ごとの価格設定や条件対応、見積もり機能、注文承認フローや、一般的なショッピングカート機能などが全て揃っています。

既に必要な機能が揃った状態から始めるため、あとはそれらを自社に合う形にカスタマイズして比較的スピーディーにオープンできるメリットがあります。

2-4. ゼロから開発するよりも簡単に導入できる

BtoB ECサイトをパッケージで構築する場合、ゼロから開発するよりも簡単に導入できるのもメリットの一つです。
パッケージは、ECサイトに必要な基本的な機能があらかじめ組み込まれているため、要件に合わせて設定を行うだけで短期間で運用を開始できます。

実績のあるECパッケージならば、既に多くの企業で実際に利用されており、これまでに改善が重ねられてきています。
そのため、品質や安定性が保証されており、トラブルのリスクが低い状態で構築を進められます。
ゼロから開発する場合には、設計ミスやバグの修正に時間を取られることが多いですが、パッケージではそのような課題を大幅に軽減できます。

さらに、多くの企業の事例を持つパッケージのサポートを受けながら、独自の要件に対応するためのカスタマイズを進めていくことができます。

3. BtoB ECサイトをECパッケージで構築するデメリット・注意点

ここからは、反対に、BtoB向けECサイトをECパッケージで構築するデメリット・注意点について解説していきます。

3-1. 導入コスト・運用コストが高くなる

ECパッケージでBtoB ECサイトを構築するデメリットとしては、ASPやオープンソースでの構築と比較すると初期投資や月額費用が高くなる傾向にある点があります。
特に、高機能なBtoB向けのパッケージの場合、初期費用が高くなることがあります。

例えば、ASPの場合は初期費用が無料〜10万円程度ですが、ECパッケージの場合はある程度のカスタマイズをすることが多く、数十万円〜数百万円かかることが一般的です。

提供される機能やサポート内容が初期費用に見合った内容になっているかどうかを評価する必要があります。

場合によっては、ASPを活用したECサイト運用や、比較的安価なBtoC向けパッケージにBtoB機能を追加して使用できないかなどの選択肢も検討してみましょう。

3-2. カスタマイズで対応しきれないケースがある

パッケージはあらかじめ用意された標準機能をベースに設計されているため、完全な自由度を求める場合には対応しきれないケースがあります。
特に、業務フローや商習慣が特殊な企業では、標準機能では対応できない場合があり、大規模なカスタマイズが必要になることもあります。

提供元がカスタマイズ可能な範囲を明確にしている場合が多いため、事前に要件を洗い出し、対応可能かを確認してみるようにしましょう。
また、同じような業態での導入事例を聞いてみるのもおすすめです。

カスタマイズできる範囲はパッケージによって異なるため、事前にしっかりと確認する必要があります。

また、標準機能で要件を満たせない場合には、カスタマイズにかかる工数や費用が増加する可能性があります。
カスタマイズにかかる工数や費用も加味したうえで、パッケージを使った構築がベストかどうか、他の選択肢と改めて比較してみましょう。

自由に機能を拡張したり独自仕様を実現したりしたい場合には、オープンソースを使った開発がおすすめです。
また、独自性のあるサイトを構築したい場合には、完全に自由な設計が可能なフルスクラッチをおすすめします。

4. BtoB ECサイトをECパッケージで構築するのがおすすめの人

ここまで述べた通り、BtoB ECサイトを構築する方法には「ASP」「パッケージ」「オープンソース」「フルスクラッチ」といった複数の選択肢があります。
その中でもパッケージが適している人には明確な特徴があります。

それぞれの選択肢との比較を交えながら、パッケージが向いている人の特徴を解説します。

4-1. カスタマイズの必要性はあるがフルスクラッチほどの自由度は不要な人

ECパッケージを活用したBtoB ECサイト構築が最も向いているのは、カスタマイズがほとんどできない「ASP」では困るものの、フルスクラッチほどの自由度までは不要という方です。

パッケージによってカスタマイズできる内容や範囲は異なりますが、導入を検討しているパッケージのサービス公式サイトを確認すると、どのようなカスタマイズが可能かを確認できるはずです。
過去のカスタマイズ事例なども確認して、自社が実現したいカスタマイズを行えるか検討してみましょう。

最終的にベンダーを決定する前には具体的にカスタマイズの可否の詳細を相談するとともに、実現が難しい機能を装備したい場合には他の選択肢（オープンソースやフルスクラッチ）も視野に入れることが大切です。

4-2. 短期間でBtoB ECサイトを立ち上げて安定稼働させたい人

短期間でBtoB ECサイトを立ち上げて安定稼働させたい人にも、ECパッケージを活用した構築がおすすめとなります。

パッケージには標準機能があらかじめ搭載されているため、3カ月〜6カ月程度の比較的短期間での導入が可能です。
自社に合う機能にカスタマイズを実施したうえで、半年以内でECサイトの立ち上げが可能です。

また、多くの導入実績があるパッケージは、過去の利用者のフィードバックをもとに改善が重ねられており、稼働の安定性が高いといえます。
一般的な運用において大きな問題が発生しにくいため、予期せぬエラーは発生しにくいと考えてよいでしょう。

フルスクラッチで開発する場合には、要件定義や設計が不十分だと、思いも寄らないエラーや仕様漏れが発生する可能性が高くなります。
一方で、パッケージはある程度完成された製品なので、こうしたリスクを軽減できます。

4-3. 初期コストを抑えつつも、一定の予算を用意できる人

パッケージでのBtoB ECサイト構築は、ASPを利用する場合と比較すると初期費用は高くなりますが、フルスクラッチやオープンソースよりは開発コストや保守コストを抑えることが可能です。

ある程度の初期投資資金を確保して必要なカスタマイズをしつつも、フルスクラッチほどの予算は割けない企業に向いています。

保守や運用面に関しても、パッケージはベンダーのサポートを受けられることが多いため、困った時に相談先がいるため安心です。
フルスクラッチやオープンソースの場合には保守・メンテナンスを自社内で行う必要があり、運用コストが高くなってしまいます。

5. BtoB ECサイト構築におすすめのパッケージ3選

ここからはBtoB ECサイト構築におすすめのパッケージを5つ紹介していきます。

「パッケージで構築したい」というイメージができてきて、さらに「具体的なパッケージを知りたい」という方はぜひ参考になさってみてください。

5-1. ecbeing BtoB（国内唯一のフルカスタマイズ可能パッケージ）

出典：ecbeing BtoB

「ecbeing BtoB」は、企業間取引に必要な機能を標準搭載しており、目的に合わせて選べる「BtoB専用 EC構築プラットフォーム」です。

「ecbeing BtoB」の強みは、BtoB 専用ECプラットフォームの中で国内唯一でフルカスタマイズ可能という部分にあります。
カスタマイズできる範囲に限りはなく、必要性があればかなり大幅なカスタマイズ対応が可能です。

国内最大規模の開発部隊を持っており、自社の要望を伝えることで機能として実現してもらうことが可能です。

【ecbeing BtoBの概要】

5-2. makeshop BtoB ECサイト構築パッケージ

出典：makeshop「BtoB ECサイト構築パッケージ」

makeshop（メイクショップ）は、GMOグループが提供するASP型のショッピングカートサービスです。

ASP型でありながらカスタマイズを自由自在に行えるのが特徴で、BtoB ECサイトに必要な機能が標準搭載されている「BtoB ECサイト構築パッケージ」で、オンライン見積もりやリピート注文、EDIカートシステムなどの機能も使うことができます。

さらに基幹システム連携やオリジナル機能開発などのカスタマイズを行うことができ、ASPながら多機能なサービスが魅力です。

【makeshop BtoB ECサイト構築パッケージの概要】

5-3. アラジンEC

出典：Aladdin EC

「アラジンEC」は、業務効率と販促支援を実現するためのBtoB EC・Web受発注システム構築プラットフォームです。

もともとBtoC向けだったECパッケージを「BtoB版」にしたものではなく、初めからBtoB専用に開発されたシステムなので、かゆいところに手が届くサービスという定評があります。

もちろんカスタマイズも可能で、業界・業種特有の商習慣や、独自の取引方法や要望に合わせた柔軟なカスタマイズを行うことができます。
公式サイトにカスタマイズした企業事例が載っており、実際の業種ごとのカスタマイズ事例として参考になります。

【アラジンECの概要】

6. BtoB ECサイトをパッケージで構築する場合の選び方のポイント

ここまでの内容を読んで、自社のBtoB ECサイトを作るにあたって、ECパッケージが向いているかどうかイメージできたのではないでしょうか。

ここからは、BtoB ECサイトをパッケージで構築する場合の選び方のポイントを3つ解説していきます。

「パッケージならどれでもいいや」と適当に選んでしまうと後悔しかねませんので、しっかりとここで解説するポイントを押さえて選定を行いましょう。

6-1.【重要】業界の商習慣・自社の業務フローに対応できるか

BtoB ECサイトをパッケージで構築する際には、業界における商習慣や自社の業務フローに対応できるかどうかを最重視してパッケージを選びましょう。

パッケージの標準機能で要件を満たせない場合には、カスタマイズで対応できるのか、対応した事例があるのか、費用がどのくらいプラスになるかなども、しっかりと確認することをおすすめします。

BtoB向けの取引には、業界ごとの商習慣が根強く残っています。また、企業ごとの業務フローも会社によって異なります。
業界の商習慣や既存の業務フローにぴったり沿う運用ができれば、BtoB ECサイトを構築することで大幅な効率化を図ることができるでしょう。

自社の希望する要件がまだ定まっていない場合には、パッケージの公式サイトで同業界での導入実績を探して、「どのようなカスタマイズを加えているか」「どうしてこのパッケージを選んだのか」などを見て、必要な機能を参考にするのもおすすめです。
また、同業界での導入実績が多いパッケージを選ぶのも良いでしょう。

一方で、商習慣や業務フローにマッチできないまま運用してしまうと、サイト経由での運用以外の部分で手作業が発生してしまい、逆に効率が下がってしまう可能性もあるので気をつけましょう。

6-2. 拡張性・連携性も重視して選ぶ

BtoB ECサイトは短期的な戦略ではなく長期的に運用することを前提に構築していくものです。
そのため、将来的なビジネス拡大に対応できる「拡張性」があるか、既存またはこれから使用する他システムとの「連携性」も視野にして選びましょう。

具体的には、柔軟に拡張できる設計になっているか、既存の基幹システムや外部ツールとの連携がスムーズに行えるかを確認しましょう。

特にERPやCRMなどの基幹システムとの連携が必要な場合には、スムーズに連携できるかどうかをしっかり確認してください。

6-3. 導入実績・サポート体制もしっかり確認する

パッケージを使ってBtoB ECサイトを構築した後に安定的な運用を目指すならば、導入実績・サポート体制もしっかり確認することが大切です。

既に多くの企業に導入されているパッケージは、さまざまな環境下で使用されており、今までに発生した不具合や課題が解消されている可能性が高いです。
そのため、エラーが少なく、安定して動作することが期待できます。

また、導入後の迅速なトラブル対応や、自社内に詳しい人材がいない場合の運用支援についても考慮すると、サポート体制が整ったパッケージを選ぶのが安心です。

「どのような形でサポートを受けられるのか」「どこからがサポート無料で、どこからが有償対応なのか」なども、詳しく確認しておきましょう。

7.まとめ

本記事では「BtoB ECサイトをパッケージで構築すること」について、さまざまな情報を解説してきました。
最後に、要点を簡単にまとめておきます。

◆BtoB ECサイトを構築できる「パッケージ」とは？
・ECサイトに必要な機能が備わっているソフトウェアのこと
・BtoBに特化したECパッケージは、BtoCよりも機能が多い

◆BtoB ECサイトをECパッケージで作成するメリット
・ASPよりもカスタマイズの自由度が高い
・フルスクラッチよりも開発コストや期間を抑えられる
・必要な機能が搭載されているためスピーディーにオープンできる
・ゼロから開発するよりも簡単に導入できる

◆BtoB ECサイトをECパッケージで構築するデメリット・注意点
・導入コスト・運用コストが高くなる
・カスタマイズで対応しきれないケースがある

カスタマイズの必要性はあるがフルスクラッチほどの自由度は不要な人にとって、ECパッケージは有力な構築方法となるでしょう。
業界の商習慣・自社の業務フローに対応できるかを十分に調査した上で、導入を進めていきましょう。

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