「受発注業務のミスが多い原因を知りたい」
「どうして毎日のようにミスが起きているのか理解できない」
経営企画室などに所属する担当者の方は、日々、各支店の受発注業務のミスの多さに頭を悩ませていませんか。
小さなミスであっても、積み重なれば大きな損失になるため、早急にミスが発生しないように改善したいですよね。
受発注業務でミスを減らす鍵は、ミスを引き起こす原因の「ヒューマンエラー」と「伝言ゲーム」を改善することです。
受発注業務のミスのほとんどは、担当者がマルチタスクによってキャパオーバーを起こしていたり、各所からの伝言ゲームによる無駄なやり取りが多発することで、発生します。
そのため、受発注業務のミスを減らすためには、上記の2つの原因、両方にアプローチする必要があるのです。
この記事では、受発注業務のミスを減らすために、受発注業務でよくあるミスの原因から対策まで詳しく解説していきます。
それぞれの対策は具体的な導入方法や進め方まで詳しく解説しているので、御社に最適な対策を判断できるでしょう。
無駄な失注や赤伝票切りから解放されて、利益を最大化するためにも、ぜひご覧ください。
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目次
1. 受発注業務のミスが起こるのは「ヒューマンエラー」と「伝言ゲーム」が原因
冒頭で解説したように、受発注業務でミスを減らすための鍵は「ヒューマンエラー」と「伝言ゲーム」を改善することです。
ヒューマンエラーが起きない仕組み作りを行い、伝言ゲームを減らすことができれば、受発注業務で起こる大半のミスは防止できるでしょう。
そのために、まずは、「なぜ営業事務がミスを起こしてしまうのか」その背景から理解していきましょう。
1-1. 受発注業務でよくあるミスの原因①ヒューマンエラーが多発している
受発注業務でよくあるミスの一つが、入力ミスなどの「ヒューマンエラー」です。
ヒューマンエラーが起こる原因は、下記のとおりです。
・一人当たりの作業量が多すぎる |
ヒューマンエラーは単純な注意不足や怠慢だけでなく、業務環境の不備や作業量の過多などによっても発生します。
業務に慣れている人員であっても、ヒューマンエラーを完全に防ぐことはできません。
改善するためには、個々の意識改革を促すだけではなく、ヒューマンエラーを減らすための適切な対策を講じる必要があります。
ヒューマンエラーを防止する具体的な対策については、「2.ヒューマンエラーを防止する3つの対策」で解説します。
1-2. 受発注業務でよくあるミスの原因②情報が伝言ゲーム状態になっている
ヒューマンエラーと並んで受発注業務で課題になっているのが、情報の伝言ゲーム化です。
特に電話やFAXなどで受発注取引を行っている場合、各段階でタイムラグや伝言ミスによるトラブルが発生する可能性があります。
受発注業務のなかでは、担当者の不在やほかの案件に対応していて手が離せないなど、さらに情報の伝達が遅れることもあるでしょう。
その結果、以下のようなトラブルが発生します。
・システム入力前に他社から受注してしまい、在庫が不足してしまった |
各段階で前述した聞き取りミスなどのヒューマンエラーが発生することもあり、まるで伝言ゲームのように最初の情報が変化して伝わってしまうことも考えられます。
ほかにも、情報の伝言ゲーム化は受発注業務の現場で以下のような問題を引き起こしています。
・営業部と事務の間で、繰り返し最新情報の確認が必要になる |
情報の伝言ゲーム化は、納期の遅れや在庫管理のミスなどによって取引先からの信頼を失うほどのトラブルに発展するリスクもあります。
この問題を解決するためには、情報のデジタル化や部署間での情報共有を行うシステムの導入が不可欠です。
情報の伝言ゲーム化を解消する具体的な対策については、「3. 情報の伝言ゲーム化を軽減する4つの対策」で解説します。
2. ヒューマンエラーを防止する3つの対策
この章では、よくあるミスのうち「ヒューマンエラー」を防止するための具体的な方法について解説していきます。
ヒューマンエラーを防止するために重要なことは、「一人あたりの業務量を調整して」「業務の流れを統一する」ことです。
前述のように、ヒューマンエラーの主な原因は、担当者がマルチタスクでキャパオーバーとなっている点です。
そのため、業務の総量や偏りを減らして一人あたりのタスク量を減らすことで、ヒューマンエラーを防ぐことができます。
そこで一人あたりのタスク量を減らす具体的な方法として、以下の3つを取り組みやすい順に紹介していきます。
1 | 営業事務の業務手順を統一する |
2 | 「3人1チーム」など営業事務をチーム体制に変更する |
3 | 必要な人員を補充する |
それでは、それぞれの方法について解説していきます。
2-1. 営業事務の業務手順を統一する
各業務の手順を統一することは「業務の標準化」とも呼ばれ、ヒューマンエラーの防止につながる効果的な方法の一つです。
その理由は、以下の通りです。
・手順が統一されることで、次に何をすべきかが常に明らかになり、業務の漏れが減る |
例えば、受注時の顧客情報の確認、在庫状況の把握、価格の確認などの業務手順を統一することで、標準化されたチェックリストを作成・活用できます。
これにより、重要な情報の見落としや確認漏れ、記入漏れなどのヒューマンエラーを減らすことが可能です。
なお業務フローの統一を実現するためには、原則としてマニュアルに従って業務を行います。
まずはマニュアルを作成して全従業員に周知徹底することから始めましょう。
業務フローの統一にはわかりやすいマニュアルの作成が不可欠 |
営業事務の業務フローを統一するためには、わかりやすく作成されたマニュアルが必要です。 全体の流れや重要なポイントが把握しやすいように、以下のポイントを押さえて作成しましょう。
このように、わかりやすく具体的に言語化・視覚化したマニュアルを使って業務の標準化を行うことが、業務の漏れやヒューマンエラーの防止につながります。 |
2-2. 「3人1チーム」など営業事務をチーム体制に変更する
営業事務をチーム体制にすることで、マルチタスクによるキャパオーバーを防止できます。
なぜなら、3人1チームのような体制で業務を行うことで、チーム全体が進行中の案件を把握できるようになり、メンバー間で業務のフォローができるようになるからです。
これにより、事務担当者には以下のようなメリットがあります。
・一人の仕事が立て込んだときに、ほかのメンバーに依頼しやすくなる |
このように、チームで積極的に情報交換を行い、お互いにフォローし合うことで、特定の担当者の業務量が多くなりキャパオーバーするのを防ぐことができます。
2-3. 必要な人員を補充する
業務量に対して事務担当者の人数が不足している場合は、適切な人数にように人員を補充する必要があります。
業務に必要な人員が足りているかどうかは、実際の対応件数と現在の人数を比較することで客観的に判断できます。
「現状の人数でも事務はできている」と感じていても、一度計算してみてください。
表面上は問題なく見えていても、長時間労働や過度なプレッシャーがヒューマンエラーを引き起こしているかもしれません。
業務に必要な人数は、以下のステップで算出できます。
1 | 事務担当者が「1日のうち受発注業務に関する電話やFAXなどに対応できる時間」と |
2 | 「受発注業務に関する電話やFAXなどに対応できる時間」を「1件あたりの対応時間」で割って「事務担当者一人が1日で対応できる件数」を算出する |
3 | 1日の「実際の対応件数」を確認する |
4 | 「実際の対応件数」を「事務担当者一人が1日で対応できる件数」で割って |
以下は、計算の具体例です。
1 | 「1日のうち受発注業務に関する電話やFAXなどに対応できる時間」:約6時間(約360分) |
2 | 「事務担当者一人が1日で対応できる件数」=約72件(360分÷2分) |
3 | 「実際の対応件数」:120件 |
4 | 「業務に必要な人数」=約2人(120件÷72件≒.1.6人) |
人員が不足している状況で無理に業務を遂行すると、担当者の疲労や不満がたまり、担当者の体調不良や離職などによるさらなる人手不足を招く可能性があります。
上記の計算で人員が不足していることがわかった場合は、できるだけ早く新規採用や他部署からの異動などによる人員の補充を検討しましょう。
3. 情報の伝言ゲーム化を軽減する4つの対策
ヒューマンエラーの防止策の次は、情報の伝言ゲーム化を軽減する対策を確認していきましょう。
スムーズに受発注業務を行うためには、営業だけではなく、事務や生産部門など、複数の部署間の連携が欠かせません。
しかし前述のように、電話やFAXなど従来の受発注取引では情報にタイムラグが起きたり伝言ゲーム化したりしてしまい、問題が多発しているケースが見られます。
この問題を解決するためには、情報のデジタル化や情報共有システムの導入などを行い「部署間の連携を強化する」「業務の無駄な動きを削減する」という工夫が必要です。
そこでこの章では、以下のように情報の伝言ゲーム化を軽減するためにできる4つの対策を取り組みやすい順に紹介します。
1 | メールやFAXで使う発注用帳票はテンプレートを作成する |
2 | ビジネスチャットツールを導入する |
3 | FAXをデジタルデータに変換して保管する |
4 | 受発注システムを導入する |
それでは、詳しくみていきましょう。
3-1. メールやFAXで使う発注用帳票はテンプレートを作成する
見積依頼書や注文書など発注用の帳票は、テンプレートを用意することで全ての得意先から同じフォーマットで受注できるようになり、データの入力作業が効率化できます。
発注用帳票のテンプレートを用意するメリットとして、具体的には以下の2つが挙げられます。
・注文情報の書き方や形式が統一されるため、データ入力時の見落としや確認漏れが減る |
以下の画像は、発注用帳票のテンプレートの例です。
これらのテンプレートは、以下の方法で用意できます。
・ExcelやWordなどを活用して自社で作成する |
このように、帳票テンプレートの作成と活用は、受発注業務で情報の伝言ゲーム化を防ぐために比較的低コストで導入できる対策です。
帳票テンプレートの導入には取引先の理解と協力が必要 |
帳票テンプレートの導入には、顧客に「可能な限りこのテンプレートを使ってください」と依頼し、協力をお願いする必要があります。 その際、取引先にも以下のメリットがあることを伝えましょう。
このように双方に利点があることを伝えることで、協力を得やすくすることができます。 |
3-2. ビジネスチャットツールを導入する
ビジネスチャットツールを導入すると、リアルタイムで複数人への情報共有ができるようになります。
その結果、従来のFAXや電話での連絡と比べて、情報共有までのタイムラグを大幅に短縮することが可能です。
例えば、急な注文変更や納期の調整などの情報も、即座に関係者全員に共有できるため、ミスや行き違いを未然に防ぐことができます。
ほかにも、ビジネスチャットツールを活用することで以下のような情報共有や連携が可能になります。
・文字だけではなく画像や書類データの共有ができる |
このように、ビジネスチャットツールは正確で迅速な情報伝達を可能にし、受発注業務における情報の伝言ゲーム化を防ぎます。
3-3. FAXをデジタルデータに変換して保管する
FAXを使った受発注業務が多い場合は、受け取ったFAXをデジタルデータに変換できるサービスの導入がおすすめです。
FAXをデジタルデータに変換するサービスでは、受信したFAXが自動的にデータに変換され、パソコンやサーバ上の指定のフォルダに保存されます。
この方法では、従来の作業手順を大きく変えずに情報をデジタル化できるため、FAX業務のメリットを活かしつつデジタル化のメリットも得られます。
FAXのデジタル化には以下のようなメリットがあり、部署間の情報連携強化につながります。
・データ化したFAXデータをクラウドストレージに保存することで外出先からでも閲覧できる |
受け取ったFAXをデジタルデータに変換できるサービスには以下のようなものがあります。
FAX-OCR | 受信したFAXの文字をテキスト化し、CSVデータやテキストデータに変換する |
クラウドFAXサービス | 受信したFAXをPDFファイルに変換して、パソコンやクラウドサーバー上の指定フォルダへ保存する |
複合機のスキャナー機能 | 受信したFAXをPDFファイルに変換して、社内ネットワーク上の指定フォルダへ保存する |
これらのサービスを活用してFAXをデジタル化することで、現在の作業手順を大きく変えずに部署間の情報連携を強化し、情報の伝言ゲーム化を軽減することができますよ。
3-4. 受発注システムを導入する
受発注システムを導入する最大のメリットは、システム上で情報の一元管理が可能になることです。
発注から出荷までの一連の流れを一元管理することで、部署内はもちろん他部署も含め全ての関係者が同じ情報にアクセスできるため、情報の伝達ミスや混乱を防げます。
さらに受発注システムの多くは基幹システムとの連携が可能です。
例えば、在庫管理を行っている基幹システムと連携できる受発注システムであれば、以下のように業務効率の改善ができます。
・営業担当者が在庫状況や出荷状況をリアルタイムで確認できる |
このように、受発注システムは「1-2. 受発注業務でよくあるミスの原因②情報が伝言ゲーム状態になっている」で解説したタイムラグや伝言ミスによるトラブル発生リスクを大幅に軽減できます。
これらの受発注システムには、主に以下のような種類があります。
BtoB受発注システム | 受注業務の一部を自動化するシステム |
EDI | 発注から出荷、在庫管理や帳票の発行まで自動で行うシステム |
これらの受発注システムの導入は、情報の伝言ゲーム化を解消し、受発注業務の効率化に役立ちます。
ただし、受発注業務の一部が自動化されるため、システムによっては営業担当者と取引先との接点が減少する、取引ごとに細かい対応ができなくなるなどの欠点があります。
「WONDERCART」は取引先との接点を残しつつ業務の効率化が可能 |
取引先との接点を保ちながら受発注業務を効率化してミスを減らしたい場合は「WONDERCART」の導入をぜひご検討ください。 WONDERCARTは、御社の商品データを活用してオンラインカタログを作成するBtoB受発注システムです。 〇取引先もオンラインで商品検索や在庫確認ができる 〇商品データから見積書を作成・ダウンロードできる 〇実際の契約は営業担当者が行う 実際の契約や見積以降のやり取りは従来通り営業担当者が行うため、取引先との関係性に影響しません。 このように、WONDERCARTを活用すれば、御社の営業担当者は取引先の接点を減らすことなく、業務の効率化だけを行うことができます。 |
4. 新しいシステムや手順を導入するときは取引先へ事前に知らせよう
受発注業務のミスを改善するために新しいシステムや手順を導入するときには、取引先への事前通知を行いましょう。
「3-1. メールやFAXで使う発注用帳票はテンプレートを作成する」でも触れたように、業務の手順変更をスムーズに進めるためには、取引先の理解と協力が欠かせません。
取引先への事前通知を行うときには、取引先の担当者がスムーズに対応できるように、以下のような準備をすることをお勧めします。
・手順変更の理由や目的を明確に説明できるようにしておく |
受発注業務のミスを改善するための新しいシステムや手順の導入は、取引先への事前通知をしてから開始します。
新しいシステムや手順の変更点などについて、取引先に丁寧な説明ができるよう変更内容に関する詳細な資料を用意しておくと良いでしょう。
5.まとめ
この記事では、受発注業務のミスを防止する方法について、原因別に解説しました。
それでは最後に、記事の内容を振り返りましょう。
〇受発注業務でミスを減らす鍵は、「ヒューマンエラー」と「伝言ゲーム」の改善です。
・受発注業務でよくあるミスの原因①ヒューマンエラーが多発している |
〇ヒューマンエラーを防ぐためには、以下のような方法で業務の総量や偏りを減らして、一人あたりのタスク量を減らすことが重要です。
・営業事務の業務手順を統一する |
〇情報の伝言ゲーム状態を改善するためには、以下のような施策で部署間の連携を強化したり、業務の無駄な動きを削減したりする必要があります。
・メールやFAXで使う発注用帳票はテンプレートを作成する |
〇この記事が、貴社の受発注業務のミスを減らす手助けになれば幸いです。
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