エクセルでの在庫管理はこうやる！管理表の作り方・関数を詳しく解説

「手書きで在庫管理をしているけれど、そろそろ限界になってきた」
「エクセルで管理表を作成して、複数人で共有したい」
など、エクセルでの在庫管理に興味をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

結論からいうと、エクセルを使った在庫管理は、テンプレートがあれば簡単に可能です。そして、本記事では、当社が作成した在庫管理表のテンプレートファイルを無料でお配りしています。

本記事でお配りしているエクセルテンプレートは、日々の入庫数・出庫数を記録するだけで、在庫数を自動で計算し、「発注点」を下回った時点で「要・発注」と文字で教えてくれるため、簡単な発注管理までが可能です。

「在庫管理表」を
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この記事では、エクセルで在庫管理をする方法や作り方（無料テンプレートの使い方）、在庫管理に使える便利な関数、エクセルで在庫管理をする場合のポイント、エクセルでの管理のデメリット（管理の限界）まで、網羅的に解説していきます。

「エクセルで在庫管理をしたい」「テンプレートをダウンロードして使いたい」という方はぜひこの記事でお配りしている雛形をベースに、在庫管理を行ってみてください。

1. 無料のエクセル在庫管理表でも簡単な発注管理までが可能

エクセルで作成した無料の在庫管理表でも、簡単な発注管理までが可能です。

ロット管理や個体管理などが必要なシビアな業種では難しいのですが、入庫数と出庫数を日々記入していく簡単な在庫管理であればエクセルで行うことができます。

今回お配りする在庫管理表は「商品マスタ」と「入出庫履歴」と「在庫管理」の3つのエリアに分かれており、手書きで管理する場合よりもミスが起こりにくい仕様になっているのが特徴です。

今回ご用意したエクセル在庫管理表を活用して、在庫管理を行うステップは以下のとおりです。

あらかじめ「発注点」（この数量以下になったら発注する、というポイント）を決めておけば、運用時には入庫数・出庫数を記入するだけで、自動で現在在庫数を計算してくれて発注タイミングを教えてくれます。

▼現在在庫数が発注点以下になると教えてくれる

また、商品マスタを作成して「商品番号」で情報を管理しているため、商品名の表記揺れなどがなくなり、ミスを軽減できます。現在在庫数も自動計算されるため、足し算や引き算のケアレスミスもなくなります。

2. エクセルでの在庫管理表の作り方・使い方3ステップ

ここからは早速エクセルで在庫管理表を作る方法について解説していきます。なお、ここで紹介する在庫管理表3点セットのサンプルは、以下からダウンロードすることが可能です。

「在庫管理表」を
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ダウンロードした時点で使える状態になっていますが、正しく使用するためや自社の仕様にアレンジするために、作り方や入っている関数の内容も理解しておくことをおすすめします。

2-1. ステップ1：「商品マスタ」を作成する

まずは「商品マスタ」を用意します。本記事から「在庫管理表（商品マスタ・入出庫履歴・在庫管理セット）」をダウンロードしていただいた方は、「商品マスタ・在庫管理」のタブを開いてください。

「商品マスタ・在庫管理」のタブは2つのエリアに分かれており、左側が「商品マスタ」を自分で入力していく場所となります。

▼左側が「商品マスタ」のエリア

商品マスタには、商品番号・商品名・繰越在庫数（締切日時点の在庫数）・発注点を手入力で記載します。この内容が、日々の在庫管理の基礎となります。

商品番号には、社内で商品を管理するために付けている番号を入れてください。必ず固有の番号になるようにしましょう。商品名にはできるだけ分かりやすい名前を記載してください。色違いやサイズ違いの商品がある場合には、色やサイズも必ず記載すると間違いが起こりにくくなります。

月初在庫数には、月初在庫（スタートする時点の在庫数）を記載します。棚卸のタイミングが異なる場合は、適宜表現の修正などをしておくと分かりやすいでしょう。

発注点には、「この残数になったら発注する」と決めた数量を書きましょう。例えば、「在庫が5個になったタイミングで発注する」というルールの場合は「発注点」のセルに「5」と記載してください。

後ほど詳しく説明しますが、現在在庫数が発注点の数字以下になった場合には、隣の「ステータス」欄に「要・発注」と表示されるようにしています。これで、発注のタイミングも管理することができます。

右側の「在庫管理」のエリアについては、次で紹介する「入出庫履歴」を入力していくと自動で表示されます。後ほどステップ3で紹介するため、一旦「入出庫履歴」の説明のほうに進みます。

2-2. ステップ2：「入出庫履歴」を入力する

商品マスタを作成できたら、実際に日々の入庫数・出庫数を記録していきます。本記事の在庫管理表セットをダウンロードしていただいた方は、「入出庫履歴」のタブを開いてください。

（１）A列：日付
商品の入庫や出庫があった日の日付を手入力で記入します。

（２）B列：商品番号、C列：商品名
商品番号をプルダウンから選びます。ミスを防ぐために、商品番号を選ぶと自動で商品名が表示されるように設定しているので、商品名は記載する必要がありません。

商品番号のセル（例えばB3セル）は、データの入力規則で「プルダウン（範囲内）」を選び、範囲に「商品マスタ」タブのA列（A100セルまで）を指定しています。

商品名のC列（例えばC3セルの場合）には、「=vlookup(B3,’商品マスタ’!A:B,2,FALSE)」という関数を入れてあり、「商品マスタ」の商品番号に対応する商品名が自動で表示されるようになっています。

（３）D列：入庫数量、E列：出庫数量
入庫数量と出庫数量は手入力する欄で、商品在庫が入荷した時と、商品を出荷した時に、その数量を記載します。

2-3. ステップ3：現在在庫数やステータスを確認する

入出庫履歴を入れたあとは、毎回、現在在庫数やステータスを確認しましょう。「商品マスタ・在庫管理」タブの右側で簡単に確認ができます。

在庫管理エリアは全て自動計算・自動表示されるエリアとなっているため、手入力などは必要なく、確認するだけで構いません。

ステータスには、現在在庫数が発注点以下かどうかを判定した結果が表示されます。ステータス欄が「要・発注」となっている場合には、現在在庫数が発注点以下になっているため発注が必要であることが分かります。

（１）E列：ステータス

E列には、現在在庫数が発注点以下になった場合に、「要・発注」と表示されるような関数をいれてあります。

また、発注が必要な場合に目立たせるために「条件付き書式」で赤字の太字になるような設定も行っています。

上記の例の場合、現在在庫が「0」で発注点である「5」以下なので、「要・発注」と表示されます。

（２）F列：今月入庫数

今月入庫数は、「入出庫履歴」のタブを参照してSUMIF関数を用いて、今月入庫した在庫の数量を合計した数を表示させています。

上記の関数だと空白セルにエラーが表示されてしまうため、IF関数を使って商品番号が空白な場合にはセルが空白になるよう、以下のように関数を調整しています。

（３）G列：今月出庫数

今月出庫数は、「入出庫履歴」のタブを参照してSUMIF関数を用いて、今月出庫した在庫の数量を合計した数を表示させています。

こちらも空白セルにエラーが表示されないよう、IF関数を使って表示を調整しています。

（４）H列：現在在庫数

現在在庫数は、商品マスタエリアの「月初在庫数」からスタートして、今月入庫数をプラスして、今月出庫数をマイナスした数字を表示させています。

こちらも空白セルにエラーが表示されないよう、IF関数を使って表示を調整しています。

現在在庫数を計算することにより、その時点での在庫が発注点以下になっているかどうかを判定することにつなげています。ステータス欄を見れば発注タイミングが分かるため、簡易的な発注管理も可能です。

実務で運用する場合は、ステータスが「要・発注」になったタイミングで、在庫の追加発注を行いましょう。

3. 在庫管理表テンプレートをダウンロードして調整するのがおすすめ

エクセルで在庫管理する場合には、ゼロから自分で作るのは大変なので、理想に近いエクセルテンプレートをダウンロードして、それをベースにアレンジしていくのがおすすめです。

もちろん本記事でご用意した在庫管理表でも良いですし、別のテンプレートサイトからダウンロードしたものを使っても良いでしょう。

「在庫管理 エクセル テンプレート ダウンロード」などで検索すれば、さまざまなタイプの在庫管理表が見つかるはずです。

ただし、作成者や発行元が不明のテンプレートなどはウイルスが仕込まれている危険性があるため、信頼できるサイトからダウンロードするようにしましょう。また、ウイルスはマクロ機能に仕込まれていることが多いため、「.xmls」というマクロが使用された拡張子のエクセルファイルは使用しないことをおすすめします。

4. エクセル在庫管理表に使える関数・条件付き書式

エクセルで作成された在庫管理表をダウンロードしてアレンジして使う場合には、最低限の関数や「条件付き書式」の知識が必要になります。

ここでは、在庫管理表でよく使われる関数と「条件付き書式」をいくつか紹介しますので、どういうものなのかを頭に入れておくと良いでしょう

4-1. VLOOKUP関数

VLOOKUP関数とは、検索したデータに該当した行の指定列からデータを取り出す関数です。在庫管理に限らず、他の業務でも一般的に良く使われる関数なので覚えておくと良いでしょう。

例えば、本記事でお配りしている在庫管理表では、商品番号に対応する商品名を自動で表示させる時に使っています。

上記の場合、C3に「=vlookup(B3,’商品マスタ・在庫管理’!A:B,2,FALSE)」という関数を入力することで、B3に入力した商品番号に対応する商品名を「商品マスタ・在庫管理」シートの2列目から探し出して表示してくれます。

関数の最後にある「FALSE」は完全一致を意味しており、検索値とまったく同じものを抽出することを意味しています。

4-2. IF関数

IF関数はその名の通り、「もし◯◯な場合には△△な数値を返す」のように、特定の条件を満たす場合と満たさない場合で、表示する内容や処理を切り替える関数です。

例えば今回配布しているテンプレートでは、現在在庫が「発注点以下」か「発注点より多いか」でステータス欄の表示を変える関数を使用しています。

上記の例では、H3（現在在庫数）がD3（発注点）以下の場合には「要・発注」と表示され、それ以外の場合には「まだ在庫あり」と表示されるようになっています。

4-3. SUMIF関数

SUMIF関数とは、指定した条件に一致するセルの値を合計する関数です。

今回お配りしている在庫管理表でも、今月入庫数と今月出庫数の合計を出す部分に使用しています。

上記の例では、A3の商品番号を「入出庫履歴」シートのB列から探し出して、対応するD列の数量を合計した数を返すように設定されています。

4-4. 条件付き書式

条件付き書式とは、特定の条件を満たしたセルに対して、指定した書式を反映させる機能をいいます。これにより、特定の項目を強調できるようになったり、データを見やすくしたりすることが可能です。

今回のテンプレートでは、「要・発注」という文字列に対して、赤字・太字・ピンク背景色を適用するようにしており、発注を忘れないよう注意喚起することが可能です。

この他にも便利な関数はたくさんあるため、実現したい内容に合わせて必要な関数や機能を活用しましょう。

なお、「どの関数を使えばいいか分からない」「関数の式（指定方法）が分からない」という場合には、ChatGPTに質問すると教えてくれるのでぜひ活用してみてください。

5. エクセルで在庫管理する場合の3つのポイント

ここまでは、エクセルでの在庫管理の仕方や関数などをわかりやすく解説してきました。やり方がイメージできてきたのではないでしょうか。

ここからは、エクセルで在庫管理を行う上での3つのポイントについて解説していきます。

どのポイントも、社内で適切に運用するために重要なポイントなので、しっかりと理解して守ることをおすすめします。

5-1. 管理者以外は関数を修正できないようにしておく

エクセルで在庫管理する場合には、管理者以外は関数を修正できないようにしておくのがおすすめです。なぜならば、関数を誰でもいじれるようにしておくと、関数を削除されたり上書きされたりして、正しいデータが分からなくなってしまうからです。

具体的には、「誰でも入力できる欄」と「管理者のみが編集できる欄」を分けて、「シートの保護」機能を使うのが便利です。関数が入っているセルを選択してロックをかけておけば、管理者以外はそのセルを触ることができなくなります。

また、確認が済んだ過去データについても、同様に数字を変更されないように保護しておくと良いでしょう。

5-2. いつ誰が入力するのかルールを明確にしておく

エクセルの在庫管理表で適切な管理をするには、入力のタイミングや誰が入力するのかなど、ルールを明確にしておくことも大切です。

基本的には、在庫が入庫したタイミングと出庫したタイミングで数量を数えて、エクセルシートに記載する形が一般的でしょう。場合によっては、倉庫では紙の管理表に記載して、それをエクセルに転記する流れになるかもしれません。

ルールがあいまいにならないよう、その在庫を受け取った人が入力するのか、検品した人が入力するのか、保管場所にしまった人が入力するのかなど、明確に誰が入力すべきか決めておきましょう。

社内で決めたルールはマニュアル化して共有し、できれば担当者が急なお休みを取る場合に、他の人が分かるようにしておくと良いでしょう。エクセルで作成した在庫管理表の使い方もマニュアルに記載しておくと安全です。

5-3. 決まったタイミングでバックアップを取る

決まったタイミングで定期的にバックアップを取ることも、エクセルで在庫管理を行う場合に重要なポイントとなります。

バックアップを取らずに関数を触って直せなくなってしまったり、突然ファイルが動かなくなってしまったり、またはファイルを保存しているパソコンが使えなくなってしまったりすると困るからです。

記録したデータが無くなってしまうと、最悪の場合、全ての在庫の数え直しが必要になるかもしれません。バックアップを取っておけば、数日間の記録のみを補完すれば良いため、被害を最小限に抑えることができます。

1週間に1回や毎日など、自社で決めた頻度でバックアップを取っておくと安心です。できれば複数のパソコンからアクセスできる共有サーバーにバックアップファイルを保存しておくようにしましょう。

6. エクセルの在庫管理にも限界がある！デメリットも知っておこう

最後に、エクセルでの在庫管理は便利な反面、「デメリットや限界もある」ということについて解説します。

エクセルでの在庫管理は、慣れたソフトで誰でも簡単に運用できるため大きなメリットがあります。しかしながら、データが増えてきた場合やデータの改ざん防止の観点、多拠点間の管理など複雑な管理となってくると、エクセルでの在庫管理が難しいケースもあります。

これから説明する内容についても理解しておき、企業の状況に応じてより適切な在庫管理を行えるように心づもりをしておきましょう。

6-1. データが重くなると動かなくなる可能性がある

エクセルデータが重くなればなるほどフリーズしやすくなるため、在庫点数が増えてくるなど在庫管理が大規模になるとエクセルでは対応できない可能性が高まります。

また、エクセルはデータベースではなく表計算ソフトなので、保存できる行数にも上限があります。

ファイルの動作が重くなるほどのデータを扱う場合や、行数が足りなくなるほどの入庫・出庫履歴が発生するような場合には、エクセルでは適切な管理が難しいケースがあります。

「在庫管理をエクセルで行えれば、費用のかかる在庫管理システムなどを導入しなくても良い」と考えている方も多いかもしれません。データが少ないうちはそれでも上手く行くケースが多い

6-2. 誰でも簡単に書き換えができてしまう

エクセルは誰もが簡単に編集できる使い勝手の良さが人気ですが、手軽に編集できるゆえに、簡単にデータが上書きされてしまうリスクがあります。

先ほど関数が入っているセルの保護について解説しましたが、万が一セルの保護を忘れてしまうと、誰でも関数を上書きしたり削除したりできる状態になってしまいます。関数のセルを触ってしまうと、エラーが発生して在庫管理業務がストップしてしまいかねません。

編集履歴を遡ってすぐに復旧できれば良いのですが、「ある時点から関数が外されて、数字が直接入力されるようになっていた」ということも起こりがちです。そうなると、せっかくの関数が機能していない状態で、データが間違っている可能性も高まります。

また、悪意を持って過去の入庫数や出庫数を書き換えることも簡単に可能です。

「エクセルに疎いメンバーがいる」「アルバイトなど外部の人間が入ってくることがある」など、改ざんを防いだりミスが起こりにくい状態を作ったりしたい場合には、エクセルではなく、ちゃんとした在庫管理システムを検討した方が良いでしょう。

6-3. 多拠点間での在庫の一元管理は難しい

1つの事業所内での在庫管理は可能でも、多拠点間での在庫の一元管理となってくるとエクセルでの管理は限界を迎えることが多いでしょう。エクセルは複数の編集者が同時にアクセスするという使い方が向いていないからです。

エクセルでも複数のユーザーが共同編集をすることは可能ですが、在庫管理システムなどと比べると、スムーズに複数ユーザーで同時に使えるプラットフォームとはいえません。

多くのユーザーが同時にアクセスするような使い方をする場合には、エクセルでは限界があると言わざるをえないでしょう。

7.まとめ

本記事では「エクセルでの在庫管理」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

▼エクセル在庫管理表を活用して在庫管理を行うステップ

在庫管理表テンプレートをダウンロードして調整するのがおすすめ

エクセルで在庫管理する場合の3つのポイント

エクセルで在庫管理表を作成して運用すれば、手軽に誰でも簡単に在庫管理することが可能です。しかしながら、データが増えてきたり在庫管理に関わる人が増えてきたりしたら、エクセルでの在庫管理が限界となるケースもあります。

必要に応じて在庫管理システムの導入を検討するなど、企業が適切な在庫管理をできる体制を常に整えていくことがおすすめです。

#在庫管理 #エクセル