食品の在庫管理は難易度が高い!管理方法やシステムの選択肢も解説

「食品の在庫管理って一体どうやってやればいいの?」
「賞味期限などの管理って、結構難しいよね…」

在庫管理の中でも、食品を扱う場合の在庫管理は品質管理や法的遵守、トレーサビリティなどさまざまな要素が絡むため、適切な管理がとても難しいものです。

難しいからこそ「なぜ難しいのか」の理由を知り、ポイントを押さえて工夫して管理することが大切です。

この記事では、「食品の在庫管理とは何か」という基本的な情報から、食品の在庫管理が通常の在庫管理よりも難易度が高い理由、在庫管理を最適化するための具体的なアイデアなど詳しく解説していきます。

また後半では、食品の在庫管理を適切に行うためのツールやシステムの選択肢についても解説します。

◆食品の在庫管理を効率化するツール・システムの選択肢

1. エクセルで在庫管理表を作成して在庫管理を行う
2. ハンディターミナルを導入して在庫管理を行う
3. AI需要予測サービスを利用して在庫数を調整する
4. 需要予測に応じた生産管理・自動発注サービスを導入する(製造業向け)
5. 在庫管理機能のあるPOSレジを導入する(小売店向け)
6. 在庫の重さを計測するタイプの在庫管理システムを導入する(飲食店・小売点向け)
7. トレーサビリティシステムを導入する(製造業向け)

複雑かつ厳密な管理を求められる食品の在庫管理では、どうしても手作業やエクセルでの管理だけでは限界があります。自社に合う適切なツールやシステムを導入することも、選択肢の一つとして検討していく必要があります。

ぜひ最後までお読みいただき、自社での食品の在庫管理をどのように行っていくかの方向性を見極めましょう。

目次

1. 食品の在庫管理とは

まずは、食品の在庫管理とは何か、基本的な情報を解説していきます。

1-1. 食品の在庫管理とは「食品の在庫を適切に管理すること」

食品の在庫管理とは、文字通り、食品の在庫を適切に管理することをいいます。

生鮮食品店ならば「商品そのもの」が在庫となりますし、レストランや工場ならば「材料となる食品」が在庫となることもあります。

「適切に管理する」には、在庫数の管理だけでなく、品質の管理も含まれます。

・食品の在庫の数や量を適切に管理すること
・食品の品質(賞味期限や保存状態)を適切に管理すること

食品は、通常の工場製品などと違って鮮度の問題があるため、賞味期限や保管する温度なども厳密に管理しなければなりません。また、それらに付随する法的遵守なども絡んできますし、トレーサビリティにも配慮しなければなりません。

そのため、通常の在庫管理とは異なる難しさがあるのが食品の在庫管理といえます。

1-2. 食品の在庫管理に含まれる業務

食品の在庫管理に含まれる具体的な業務は、取り扱う食品や管理する業態によって異なりますが、以下のようなものがあります。

食品の在庫管理に含まれる業務

1. 在庫状況の把握:定期的に在庫を確認して、実在庫数とデータ上の数があっているかを確認する
2. 入庫の管理:仕入れた食品の数量や品質に問題がないか確認する
3. 出庫の管理:古い食品から優先して出庫(使用)して、食品ロスを防ぐ
4. 保存状態の管理:食品ごとに指定された温度やを湿度守って、冷凍や冷蔵で保管する
5. トレーサビリティの確保:賞味期限やロット番号をラベルで明示し、トレーサビリティを確保する
6. 在庫の最適化:需要予測を行い、発注計画を立てて在庫を最適化する
7. 廃棄処理:賞味期限切れや品質に問題のある食品を廃棄する
8. 衛生管理:保管エリアの衛生性を保ち、温度や湿度をモニタリングする
9. 食品表示法の遵守:原材料やアレルゲン、賞味期限などを記載したラベルを適切に貼付する
10. その他関連法の遵守:食品衛生法、廃棄物処理法などの対応もしっかりと行う

このように食品の在庫管理にはさまざまな業務があり、通常の在庫管理と比べて気にしなければならないポイントが多いのが特徴です。

2. 食品の在庫管理できていますか?適切な管理ができないリスク

食品の適切な在庫管理を怠ってしまうと、食品ロスによる廃棄や機会損失、社会的信頼を失ってしまうリスクなど、さまざまなリスクが発生します。

2-1. 食品ロスによる廃棄や機会損失が発生して経営を圧迫してしまう

食品の在庫管理がうまく行かずに在庫過多になると、賞味期限・消費期限を迎えた食品は廃棄しなければならなくなります。賞味期限や消費期限が切れた食品は販売できないため、売上の機会損失にもつながります。

お金をかけて仕入れたものを売り上げることができないばかりか、廃棄に追加のコストがかかるため、食品ロスが増えるほど経営を圧迫する要因となります。

2-2. 食品偽装を起こしてしまうと社会的信頼を失ってしまう

食品ロスを避けるために「賞味期限・消費期限切れ」の日付の改ざんなどの食品偽装が行われてしまうケースがあります。

食品偽装が常態化している企業では、それが悪いことだと認識されずに行われていたり、現場の判断で行われていたりするケースもありえます。しかしながら、ひとたび発覚してしまえば、該当店舗だけでなく企業全体が社会的信頼を失ってしまう結果となります。

食品偽装を起こさないためには、全社的に「正しい在庫管理とは何か」を認識させて、食品偽装が起こらない体制づくりを行うことも大切です。

3. 食品の在庫管理は通常の在庫管理よりも難易度が高い

前章で述べた通り適切な在庫管理を行わないとさまざまなリスクがあるため、そうしたリスクを避ける意味でも食品の在庫管理は適切に行わなければなりません。

しかしながら、食品の在庫管理は、通常の在庫管理と比べてかなり難易度が高いものです。

ここからは「食品の在庫管理はなぜ難しいのか」を詳しく解説していきます。

3-1. 難しい理由1:通常よりも賞味期限や消費期限が短いから

食品の在庫管理が通常の在庫管理よりも難しい理由の一つに、「賞味期限や消費期限が通常の工業製品などと比べて短い」という点があります。食品はその性質上、時間の経過による劣化が避けられず、特に生鮮食品や加工食品は適切な期限内に消費・販売しなければ品質が損なわれたり、廃棄せざるを得なくなったりします。

在庫を過剰に抱えれば食品ロスが発生しやすくなりますが、反対に在庫が不足すれば販売機会を逃してしまいます。ここが食品の在庫管理の特有の難しさといえるでしょう。

3-2. 難しい理由2:期限切れのものを流通させた場合の影響が大きいから

「期限切れの食品を流通させた場合の影響が非常に大きい」という点も、食品の在庫管理の難しさのひとつです。

食品は直接的に人の健康やいのちに関わる商品であり、賞味期限や消費期限が切れたものを販売・提供してしまうと、消費者が健康被害を受けるリスクがあります。このような事態が発生した場合、食品事業者には重大な法的責任や経済的な損害が生じる可能性があります。

直接的には「健康被害による賠償責任」が発生しますが、それだけでなく、リコール対応にかかるコスト、ブランドイメージの悪化、消費者の信頼喪失など、多方面にわたる影響が考えられます。

そのような事態にならないために、期限切れの食品が出荷や販売されないようにする仕組みづくりが重要となってきます。

3-3. 難しい理由3:個体によって差がある食材の管理が難しいから

食品の在庫管理では「個体によって差がある食材」を管理するため、通常の在庫管理よりも管理が難しいケースもあります。

工業製品であれば同じ規格のものが画一的に作られますが、食材(特に生鮮食品)の場合は、個々の食材によって大きさや味、品質、劣化の進行状況に至るまでの個体差があります。

例えば、同じ日に仕入れたものでも、収穫時の状態や保管環境により、腐敗や劣化が進むスピードが異なります。加工食品でも、製造ロットごとにわずかな違いがあり、保管中の温度や湿度の影響で保存期間が変化することがありえます。

このような個体差に対応するため、在庫管理者は食品の状態を細かく観察し、適切な保管や出庫の順序を柔軟に調整する必要があるのです。データ上の日付だけでなく、状態を見ながら在庫管理しなければならない点も、食品特有の在庫管理の難しさといえるでしょう。

3-4. 難しい理由4:適切な温度管理を徹底する必要があるから

食品の在庫管理が通常の在庫管理よりも難しい理由として、「適切な温度管理を徹底する必要がある」という点もあります。食品はその種類によって適した保管温度が異なり、それを守らないと品質が劣化し、消費者の健康に影響を与える可能性があります。

例えば、生鮮食品や乳製品などは冷蔵での保管が必要であり、冷凍食品は解凍されないよう厳格な冷凍温度を維持しなければなりません。適切な温度管理を行えなかった場合には、状況によっては廃棄せざるを得なくなることもあります。

3-5. 難しい理由5:トレーサビリティにも配慮しなければならないから

トレーサビリティの確立にも配慮しなければならない点も、食品の在庫管理の難しさがあります。トレーサビリティとは、食品の生産から加工、流通、小売など、全ての経路を追跡可能な状態にすることをいいます。

トレーサビリティが確立されていれば、食品に対してのトラブルが発生した場合にスピーディな原因究明や迅速な製品回収を行うことが可能です。そのため、大手企業を中心にトレーサビリティを高める動きが活発になっています。

トレーサビリティに対応するには、個体管理を行うためのシステムやバーコードリーダーの導入などの設備投資が必要となります。

3-6. 難しい理由6:食品業界ならではの商習慣によるさまざまな難しさもあるから

その他にも、以下のような食品業界ならではの商習慣によるさまざまな在庫管理の難しさが存在します。

在庫管理を難しくする「商品業界ならではの商習慣」の例
・自社以外の得意先の倉庫に在庫を預けたり、逆に他社の在庫を預かったりするケースがある
・大手スーパーの権力が強く、欠品させるとペナルティを支払うルールがある
・3分の1ルール(製造日から賞味期限までの3分の1の時点までに納入)という暗黙のルールがある
・トレーサビリティ管理やロット管理も求められる

このように、食品の在庫管理にはさまざまな理由から、通常の在庫管理とは異なる難しさが存在します。

4. 食品の在庫管理を最適化するための具体的な6つのアイデア

ここまで解説した通り、食品の適切な在庫管理には、通常の在庫管理とは異なる難しさがあります。適切に管理するためには、複数の観点からさまざまなアプローチを組み合わせて、総合的に管理することが欠かせません

この章では、具体的に、食品の在庫を適切に管理するための方法を、事例を交えながら伝えていきます。

簡単に取り入れられる方法から紹介していくので、導入できる部分から段階的に行いましょう。

4-1. 現在在庫数だけでなく期限管理を徹底する

食品には賞味期限や消費期限が存在するため、現在在庫がいくつあるかだけでなく、個体ごとの期限管理を徹底することが重要です。データ上の在庫数が10個あったとしても、賞味期限が切れている食品が5個あれば、その5個は販売できず廃棄することになります。

具体的な管理方法としては、以下のようなものがあります。

期限管理を徹底するための具体的な方法例

・古い食品から順番に出荷する(使用する)「先入れ先出し」を徹底する
・入荷した食品に、賞味期限を記載して間違えないようにする
・定期的に食品の在庫や品質を確認する
・賞味期限切れの食品を誤って出荷しないために、システムやバーコードを導入する
・残り賞味期限30%以下など、指定した判断基準の食品を管理できるようにして、食品ロスを減らす
・食品在庫の動きのスピードなどを定量的に計測して、発注管理にも連携させる

期限管理がうまくいかないと、廃棄ロスが増えたり販売機会損失に繋がったりして、経営を圧迫する原因になってしまいます。しっかりと管理する仕組みを整えることが重要です。

4-2. 先入れ先出しを徹底する

先入れ先出しは在庫管理の基本中の基本ですが、徹底するのは意外と難しいものです。もしも徹底できていない場合には、以下の方法を試して、再度現場に徹底させるようにしましょう。

先入れ先出しを徹底するための具体的な方法例

・賞味期限や廃棄期限、仕入れを行った日時をシールでわかりやすく貼り付けて、どれが古いのか一目で分かるようにする
・仕入れてから時間が経過したものの保管場所を変える
・シールの色を変えて、順番に出荷できるように工夫する
・手前に古い食品在庫が来るよう、入庫した在庫は後ろから補充する
・棚に保管する在庫量は必要最低限にして、古い在庫がなくなってから新しい在庫を並べる
・現場の教育を再徹底して、先入れ先出しの重要性を浸透させる

最も基本となる「先入れ先出し」は、簡単ながら難しいものです。現場の意識改革も含めて、しっかり徹底していきましょう。

4-3. ABC分析を活用して在庫管理しやすくする

ABC分析とは、管理している在庫を重要度別に3つのグループに分けて、それぞれの在庫管理のやり方を変えて管理していく方法です。

分類の仕方はさまざまな方法があるのですが、例えば売上を評価軸として分類した場合には、以下のようなグループに分類して管理していく方法があります。

【ABC分析の例(売上を評価軸とした場合)】

Aグループ(最も売上が多い商品)

絶対に欠品を起こさないように在庫管理を徹底する

Bグループ(売上が中程度の商品)

現状維持で十分

Cグループ(売上が少ない商品)

在庫が切れてから発注すれば十分(他の商品への入れ替えを検討しても良い)

上記の例では、Aグループについてのみ注力して在庫管理を徹底していく方針となります。「パレートの法則」で知られているように、売上高の8割をランキング上位の2割の商品が生み出しているようなケースも多くあります。

そのため、売上の少ない商品については在庫管理を省き、売上が多い商品に注力することで、無駄を省いた効率的な在庫管理を期待できます。

4-4. 日別の「使用可能在庫数」を1カ月先など時系列で把握しておく

食品の実在庫数だけでなく、入庫予定や出庫予定、賞味期限・消費期限など複数の情報を管理した上で、「使用可能在庫数がいくつあるか」を時系列で1カ月先などまでしっかり把握しておくことが大切です。

これにより、「いつ、どの商品(原材料)がなくなるのか」を把握でき、発注計画や製造計画の参考に役立てることが可能です。

例えば、データ上の在庫数は足りていても、賞味期限が到来したタイミングで「使用可能在庫数」は減ってしまいます。一括で仕入れた食品の期限が同時に来た場合に機会損失にならないよう、早めに発注しておくなどの管理が必要となります。

4-5. 日々の販売実績などをもとに需要に応じた発注を行う

食品の在庫切れや在庫過多による廃棄ロスを防ぐためには、日々の販売実績などをもとに需要に応じた発注を行うことが大切です。

例えば小規模な飲食店の場合、発注数は現場の責任者が長年の経験や勘を頼りに決めているというケースも多いでしょう。こうした属人的なものを無くして、計算式やシステムを利用してデータに基づいた発注方式に変えるだけでも、在庫管理を最適化できるケースがあります。

販売実績データや天候・季節などの情報を基に需要を予測して、発注数を自動で決定できるようにしましょう。

需要予測の方法としては、簡易的にエクセルの関数で行うか、AI需要予測サービスを利用する、需要予測(発注管理)機能があるシステムを利用するなどの方法があります。

4-6. 食品ロスを防ぐための施策も考える

食品ロスを防ぐための施策を考えるのも、食品の在庫管理で非常に重要なポイントとなります。具体的には、期限切れが近い在庫を積極的に販売・使用するためにイベントを打つなどの方法があります。

食品ロスを防ぐための施策例

・賞味期限が近い商品を、値引きして「賞味期限間近」などとして販売する
・味に問題ない規格外の食品は、「訳あり品」として販売する
・賞味期限が近い食材を使って、日替わり定食として販売する(飲食店の場合)
・小容量や小分け、ばら売りにして、販売しやすくする
・大量廃棄を避けるために、季節商品は予約販売限定にする
・食品ロス削減サービスを活用して、廃棄目前の食品を割安で販売する

最近では食品ロス問題に関心を示す消費者も多いため、「できるだけ消費期限が近い商品から買ってもらう」などのお願いをするのも効果的でしょう。食品ロス削減の取り組みを周知することで、顧客の行動を変えるきっかけになるかもしれません。

5. 食品の在庫管理を効率化するツール・システムの選択肢

食品の在庫管理は複雑な要素が絡むため、手作業やエクセルなどの管理だけでは難しい場合が多いでしょう。ここからは、食品の在庫管理を効率化するツールやシステムについて解説していきます。

5-1. エクセルで在庫管理表を作成して在庫管理を行う

小規模な飲食店や小売店などであれば、エクセルで在庫管理表を作成して在庫管理を行う方法でも十分なケースがあります。

例えば、食品の名称や賞味期限を項目にまとめて、それぞれの在庫数がいくつかを管理しておきます。賞味期限をまとめておくだけで、倉庫や売り場を見に行かなくてもエクセルを見れば「そろそろ賞味期限切れになりそうな商品があるな」と把握できるメリットがあります。

また、販売実績や入庫数・出庫数を記録しておくことで、後々の発注管理や売上予測にも活用することができるでしょう。

5-2. ハンディターミナルを導入して在庫管理を行う

賞味期限切れや消費期限切れをもう少し厳密に管理したい場合には、ハンディターミナルシステムを導入した在庫管理方法がおすすめです。

ハンディターミナルとは、商品パッケージなどに貼付されているバーコードを読み取って、入荷や出荷などの検品を行う携帯端末をいいます。バーコードやQRコードを読み取るだけで、データをリアルタイムで収集できるため、業務を効率化できます。

賞味期限管理の機能を持つハンディターミナルを活用すれば、「出荷NG日付に指定した食品を誤って出荷してしまう」などのミスを防ぐことが可能です。また、製造業であれば、工程管理やトレーサビリティも効率化できます。

5-3. AI需要予測サービスを利用して在庫数を調整する

AIを活用した予測精度の高い需要予測サービスを利用して在庫数を調整する方法もあります。食品業界では「なかなか需要予測が当たらない」と懐疑的な声もある中、最近では精度の高さが評価されているサービスも登場しています。

AI需要予測サービスでは、過去の売上データや天候、イベント要因など多角的な分析を行って需要予測モデルを作り、毎日の発注数を予測することができます。これにより在庫過多による廃棄ロスや、在庫切れによる販売機会損失を防ぎ、売上を最大化することができるようになります。

5-4. 需要予測に応じた生産管理・自動発注サービスを導入する(製造業向け)

過剰在庫による廃棄ロスや、在庫切れによる機会損失を防ぎたい場合には、需要予測に応じた生産管理や自動発注を実現できるサービスの導入もおすすめです。

例えば、食品を弁当に加工している製造業者の場合、弁当に使う食材だけでなく、容器やバランなどの包装資材も必要となります。こうした在庫をセットで管理するのはなかなか難しいものです。

需要予測に応じた自動発注サービスを導入することで、出荷実績データをもとに需要を予測して、生産計画の作成から必要量の算出、発注までを自動化できます。さらに、同サービス内で成分やアレルギー表示を含む「食品表示ラベル」の作成までが行えるものもあります。

5-5. 在庫管理機能のあるPOSレジを導入する(小売店向け)

食品の販売をメインとする小売店の場合は、在庫管理機能のあるPOSレジを導入する方法もあります。商品登録時に在庫管理を同時に行うことができ、バリエーションを持つ商品も個別に登録ができます。

在庫が少なくなってきた時に通知する機能や注文書自動作成機能、複数店舗での在庫管理、ECサイトとの在庫共有機能なども持つPOSレジを選ぶと便利です。

また、レジ機能はもちろん、売上管理機能、顧客管理機能、注文受付機能、外部サービスとの連携(会計ソフトや決裁サービス、予約システムなど)もあり、在庫管理以外の業務も同時に効率化することが可能です。

5-6. 在庫の重さを計測するタイプの在庫管理システムを導入する(飲食店・小売点向け)

在庫の重さを計測するタイプの在庫管理システムを導入すれば、アナログな在庫管理を自動化できます。

その仕組みはシンプルで、在庫を重量計で常に計測した状態に置き、あらかじめ設定した閾値に到達したら自動発注が行われ、入荷・補充をするというものです。24時間在庫を自動計測しておくため、遠隔でも管理できますし、数える必要もなく、入庫時・出庫時・棚卸時に一つひとつ数える必要すらありません。

このタイプの在庫管理システムは、液体やポーションの管理も得意で、食材や調味料、ドリンクを在庫管理したい飲食店や小売店などで多く導入されています。冷蔵庫内や商品棚に直接重量計を置くことも可能です。

5-7. トレーサビリティシステムを導入する(製造業向け)

在庫管理だけでなく厳密に食品トレーサビリティも実現したい食品製造業の場合は、トレーサビリティシステムの導入がおすすめです。特に、「牛トレーサビリティ法」「米トレーサビリティ法」「食品衛生法」遵守が必要な企業などはしっかり管理する必要があります。

食品トレーサビリティに取り組む場合には、ロット管理や原材料の入荷管理はもちろん、食品の加工・製造時の記録、加工・製造した食品の出荷記録がしっかり残るシステムを選びましょう。

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まとめ

本記事では「食品の在庫管理」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

◆食品の在庫管理とは

  • 食品の在庫管理とは「食品の在庫を適切に管理すること」
  • 食品の在庫管理に含まれる業務(在庫状況の把握だけでなく、保存状態の管理や法律遵守など多岐にわたる)

◆適切な管理ができないリスク

  • 食品ロスによる廃棄や機会損失が発生して経営を圧迫してしまう
  • 食品偽装を起こしてしまうと社会的信頼を失ってしまう

◆食品の在庫管理は通常の在庫管理よりも難易度が高い

  • 難しい理由1:通常よりも賞味期限や消費期限が短いから
  • 難しい理由2:期限切れのものを流通させた場合の影響が大きいから
  • 難しい理由3:個体によって差がある食材の管理が難しいから
  • 難しい理由4:適切な温度管理を徹底する必要があるから
  • 難しい理由5:トレーサビリティにも配慮しなければならないから
  • 難しい理由6:食品業界ならではの商習慣によるさまざまな難しさもあるから

◆食品の在庫管理を最適化するための具体的な6つのアイデア

  1. 現在在庫数だけでなく期限管理を徹底する
  2. 先入れ先出しを徹底する
  3. ABC分析を活用して在庫管理しやすくする
  4. 日別の「使用可能在庫数」を1カ月先など時系列で把握しておく
  5. 日々の販売実績などをもとに需要に応じた発注を行う
  6. 食品ロスを防ぐための施策も考える

◆食品の在庫管理を効率化するツール・システムの選択肢

  1. エクセルで在庫管理表を作成して在庫管理を行う
  2. ハンディターミナルを導入して在庫管理を行う
  3. AI需要予測サービスを利用して在庫数を調整する
  4. 需要予測に応じた生産管理・自動発注サービスを導入する(製造業向け)
  5. 在庫管理機能のあるPOSレジを導入する(小売店向け)
  6. 在庫の重さを計測するタイプの在庫管理システムを導入する(飲食店・小売点向け)
  7. トレーサビリティシステムを導入する(製造業向け)

食品の在庫管理と一口にいっても、簡単に取り組める内容から、大規模なシステムでなければ難しい管理までさまざまなものがあります。自社の現状や目的に合わせて、便利なツールやシステムの導入も検討しながら進めていきましょう。

#食品 #在庫管理

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