「中小企業にとって、展示会ってどうなんだろう?」
と調べている方へ結論からお伝えすると、新規開拓のルートとして非常に有益です。
しかしながら、出展費用や準備、人の手配など、少なくない負担があることも事実です。
この記事では、中小企業が展示会への出展を検討するとき、あらかじめ知っておきたい基礎知識や、メリット・デメリットをまとめました。
▼ この記事からわかること
|
知識不足で思わぬ失敗をしないように、事前の情報収集に役立てていただければ幸いです。
展示会をうまく活用し、自社のビジネス拡大に結び付けていきましょう。
目次
1. 展示会の基礎知識
まずは、
「展示会に初めて出展する」
「展示会に行ったことがない」
という方のために、展示会の基本事項から解説します。
1-1. そもそも展示会とは?
展示会とは、企業が自社の商品・サービスを、多くの人たちに紹介したり、実演したりするためのイベントです。
「展示会」と、ほぼ同じ意味で使われることのある言葉として、以下があります。
|
「●●展示会」という名のイベントに参加したことはなくても、類似したほかの名称のイベントには、参加したことがあるかもしれません。
公式な定義
公式な文書を紐解いてみると、経済産業省の資料に以下の記載があります。
押さえておきたいポイントは、以下の2つです。
|
1-2. 展示会の仕組み
展示会は、誰がどうやって開催しているのでしょうか。仕組みを知るために、登場人物を整理しておきましょう。
展示会には、以下の人たちが関わっています。
主催者 | 展示会を主催する者 |
出展者 | 展示会に出展し商品・サービスを販売する者 |
来場者 | 展示会で商品・サービスの品定めを行い購入の判断を行う者 |
展示場所有者 | 展示会を開催するスペースを所有する者 |
その他 | 関連産業の者など |
ひとつの展示会の開催期間は、数日〜長くても数週間ですが、大きな展示会では、開催に向けた取り組みが1年以上前から始まっています。
たとえば、毎年、定期的に開催されている展示会では、当日会場にて、来年分の出展申込みを受け付けています。
今年の展示会が終わるのと同時に、来年の展示会に向けての準備がスタートする、というサイクルです。
展示会=一大産業
ここで押さえておきたいのは、
「展示会は、多くの人の労力や時間が費やされる、一大産業である」
という視点です。
出展者だけでなく、主催者や来場者にとっても、大きなビジネスとなる仕組みで動いています。
経済産業省の資料では、展示会の仕組みの統括として、
「賑わいのあるイベントというよりも、組織と組織が織りなす真剣勝負の場」
と解説されています。
1-3. 具体的な展示会の例
具体的に展示会をイメージしたい方は、
「J-messe/日本の見本市・展示会」
にて検索するのがおすすめです。
以下に、ごく一部ですが、ピックアップしてご紹介します。
出典:J-messe
ありとあらゆる業界で、多種多様な展示会が開催されていることを、感じていただければと思います。
規模についても、国際的な大規模の展示会から、地元の業界団体が主催する小規模のものまで、さまざまな展示会があります。
1-4. 補足:展示会はビジネスを創造する
補足として、アフターコロナにおける展示会の立ち位置について、触れておきましょう。
国際見本市連盟(UFI) は、2020年5月、展示会再開に向けた指針を発表しました。
この中で、
〈展示会の再開は経済的な回復の原動力になる〉
と明言し、展示会の意義について、以下のとおり述べています。
展示会は、地域、国、世界中のさまざまな産業のための市場(いちば)であり、出会いの場である。 |
出典:「Global framework for reopening exhibitions」日本語訳
「展示会とは何か?」を理解するうえで、一助となる文章ではないでしょうか。
2. 中小企業が展示会に出展する7つのメリット
ここまでお読みいただき、
「展示会は大きなビジネスで、中小企業向きではない?」
と感じた方がいるかもしれませんが、逆です。
むしろ、大企業になると展示会に出展していないケースも多く、展示会の主役は中小企業であるといえます。
具体的には、以下のメリットが挙げられます。
|
ひとつずつ見ていきましょう。
2-1. 接触できる顧客の数が圧倒的に多い
1つめのメリットは「接触できる顧客の数が圧倒的に多い」です。
ほかの新規開拓の手法と比較してみましょう。
紹介 | 紹介者次第となり、チャンスは少ない |
ビジネスマッチング | 商談チャンスを増やせるが、限界がある |
テレアポ | 多数の企業に架電はできても、キーパーソンに接触できる確率は低い |
ホームページ | SEOやコンテンツづくりに長けていなければ成果を得にくい |
一方、展示会は、数万人以上の来場者のあるケースも珍しくありません。
たとえば、「FOODEX JAPAN(国際食品・飲料展)」の2019年実績は、以下のとおりです。
出典:J-messe
短期間で多くの潜在顧客・見込顧客と接触するチャンスがあることは、展示会の第一のメリットです。
2-2. 海外の顧客と即日商談がまとまることがある
2つめのメリットは「海外の顧客と即日商談がまとまることがある」です。
前述の紹介・ビジネスマッチング・テレアポなどの新規開拓にはなく、展示会だけが持つポテンシャルとして、「海外とのルート構築」があります。
大きな展示会になると、日本企業との取引を求める海外来場者の割合が増えます。
彼ら彼女らにとって、日本国内でのしがらみや評判は関係なく、自分たちの求める条件と品質さえそろえば、その場で成約となるケースもあります。
海外展開を考えている中小企業にとって、展示会は有力な足がかりとなります。
2-3. ネットワークづくりの好機となる
3つめのメリットは「ネットワークづくりの好機となる」です。
展示会には、業界の多種多様な関係者が集います。同業他社、サプライヤー、専門家などとつながるためのプラットフォームとしても、活用できるのです。
中小企業にとって、新規開拓と同じく重要なのが「横のつながり」を強化することです。
他企業とのパートナーシップやコラボレーションを通じて、自社のビジネスを拡大したり、新しいビジネスチャンスを見つけたりできます。
2-4. 市場や競合他社の情報収集ができる
4つめのメリットは「市場や競合他社の情報収集ができる」です。
展示会に出展すると、多くの顧客と直接対話をしたり、あるいは競合他社の様子を間近に観察したりできます。
これは、業界のトレンドや台頭しつつある新勢力について知る、絶好の機会です。
タイムリーな情報を現場で見聞きすることで、市場の変化に対してよりスピーディに対応し、チャンスを先取りできるようになります。
2-5. 再現性がある
5つめのメリットは「再現性がある」です。
展示会のノウハウは、“横展開”できる強みがあります。
同じ展示会に毎年出展してもよいですし、似たコンセプトの他の展示会に出展してもよいでしょう。
展示会に出展すると労力や費用がかかりますが、得られた知見を蓄積することで、効果を上げながら再現していくことが可能です。
展示会は、打ち上げ花火のような1回限りの施策ではなく、長く継続的に取り組んでいく価値のある施策といえます。
2-6. 企業イメージの向上に寄与する
6つめのメリットは「企業イメージの向上に寄与する」です。
定期的に展示会に出展している企業は、
「新しい技術開発に精力的に取り組んでいるプロフェッショナル」
「業界内で存在感がある、信頼できる」
「展示会に出展するだけの余裕がある(業績が好調)」
など、ポジティブな印象を与えます。
業界関係者以外に、メディア関係者も来場していることが多いので、広く認知度を高めるうえでも効果的です。
2-7. 助成金・補助金を受け取れる
7つめのメリットは「助成金・補助金を受け取れる」です。
展示会の出展に必要な費用を助成する事業が、各自治体で行われているので、うまく利用することで費用を削減できます。
たとえば、以下は東京都の例です。要件を満たして審査に通過すれば、最大300万円の助成金を受給できます。
詳しくは「展示会の補助金・助成金を完全網羅|選び方と活用手順も解説」にて解説しています。
展示会のメリットについての解説は以上となりますが、さらに詳しく知りたい方は、続けて以下の記事もご覧ください。
3. 中小企業が展示会に出展するデメリット
一方、中小企業が展示会に出展することには、デメリットもあります。
|
それぞれ解説します。
3-1. コストとリソースの投資負担が大きい
1つめのデメリットは「コストとリソースの投資負担が大きい」です。
「具体的に、いくらかかるのか?」は、ケースバイケースなので一概にはいえませんが、たとえば以下の費用が発生します。
|
大きな出費となるのは、場所のレンタル費(会場費)の10〜50万円や、ブース装飾の20〜30万円などです。スタッフの人件費、交通費、宿泊費などもあります。
ほかの新規開拓手法(紹介やテレアポなど)と比較すると大きな成果が期待できる分、コストや労力面の負荷も大きい点には、注意が必要です。
費用について詳しくは「展示会の出展にかかる費用を徹底解説!費用を決める3つのステップ」をご覧ください。
3-2. (業界によっては)適切な展示会が見つからない
2つめのデメリットは「(業界によっては)適切な展示会が見つからない」です。
展示会が盛んな業界と、そうでない業界があります。
業界によっては、適切な展示会が見つからないケースもありますので、すべての中小企業にとって展示会が有効とは言い切れません。
展示会が開催されていても、新規開拓につながる来場者が少ない展示会では、成果が期待できません。
たとえば、地元の業界団体や自治体が業界を盛り上げるために展示会を開催しているものの、来場者が同業者と自治体関係者ばかり……というケースがあります。
3-3. 対策:「オンライン展示会」の活用
ここで挙げたデメリットに当てはまる状況(コスト負担が難しい、適切な展示会がないなど)の場合、対策としては「オンライン展示会の活用」という選択肢があります。
オンライン展示会は、オフライン(リアル)で行われる一般的な展示会と比較して、低コストで実施できるのが強みです。
加えて、以下のメリットがあります。
|
詳しくは、こちらのページから資料をダウンロードして、ご確認ください。
4. 中小企業が展示会に出展するときの流れ
展示会に出展するときの流れは、以下のとおりとなります。
|
ひとつずつ見ていきましょう。
4-1. Step 1:目標と予算設定
1つめのステップは「目標と予算設定」です。
先ほど「展示会は得られる成果も大きいが、コスト負担も大きい」というお話をしました。
そこで、採算性がとれるかどうか、事前に目標と予算を設定して、よく検討することが重要です。
具体的には、ROI(投資収益率)を算出しておくことをおすすめします。
「展示会により得られる収益」と「展示会出展に要する費用」を算出し、採算性として許容できるラインを見極めましょう。
具体的な計算例は、以下をご覧ください。
目的設定や費用についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
4-2. Step 2:展示会の選定
2つめのステップは「展示会の選定」です。
「3-2. (業界によっては)適切な展示会が見つからない」にてお伝えしたとおり、成果を出すためには適切な展示会を選定することが必要です。
Step 1で定めた目標・予算を踏まえて、展示会を探しましょう。
比較的大きな展示会であれば、先にもご紹介した「J-messe/日本の見本市・展示会」に情報が集約されていますので、チェックします。
人気の展示会は、1年前から予約が必要な場合もあるので、早めに行動し申込み手続きを済ませましょう。
このステップで適切な展示会が見つからなかった場合は、「3-3. 対策:「オンライン展示会」の活用」でご紹介したオンライン展示会をご検討ください(詳しくはこちら)。
4-3. Step 3:出展準備
3つめのステップは「出展準備」です。
出展準備として行うことは、多岐にわたります。
|
詳しくは「【図解】展示会の成功は準備で決まる!準備の流れと成功に導く方法」にて解説していますので、ご確認ください。
ブース、チラシ、ノベルティ……など、個別に詳細を知りたいときには、以下のリンクをご活用ください。
- 展示会出展を成功させられるブースとは?設計のポイントを解説
- 【展示会の設営方法】集客効果の高いブースを作る基本の準備
- 展示会の集客に効果的なチラシとは?【レイアウト・構成サンプル付】
- 展示会のパンフレットはどう作る?4つのポイントと成果向上のコツ
- 展示会で効果を発揮するノベルティとは?おすすめグッズ21選を紹介
- 【選べる7つの文例付き】展示会の招待状の書き方を基本から徹底解説
- 【例文付き】展示会アンケートの設計の全てをどこよりも詳しく解説
4-4. Step 4:当日の展示会対応
4つめのステップは「当日の展示会対応」です。
準備を整えて当日を迎えたら、現場で営業活動を行います。
当日の営業のポイントとしては、以下があります。
|
詳しくは「展示会の営業で確実に結果を出す3つのプロセスと成功のコツ」で解説していますので、ご確認ください。
基本的な流れとしては、ブースに立ち寄った来場者と立ち話で会話を交わして名刺交換をし、チラシやパンフレットを手渡していきます。
重要度の高い顧客の場合には、椅子に座って商談に入ることもあります。
名刺交換のタイミングや商談の進め方は、以下の記事にまとめています。
4-5. Step 5:フォローアップ
5つめのステップは「フォローアップ」です。
展示会が終了したら、名刺交換した来場者へのお礼メールや、商談のアポイントなど、フォローアップをしていきます。
▼ アフターフォローの流れ
|
上記について詳しくは「展示会の営業で確実に結果を出す3つのプロセスと成功のコツ」にて、解説しています。
顧客に対するフォローのほか、展示会の記憶が薄れないうちにアンケートを集計し、チームメンバー全員で振り返りをしておくことが大切です。
良かった点と改善点をまとめ、次回の展示会に活かせるようにしましょう。
5. 中小企業が展示会を成功させるポイント
最後に、中小企業が展示会を成功させるために意識したいポイントをお伝えします。
5-1. 多くの展示会を訪れる
まず、できるだけ多くの展示会を、来場者の立場で訪れることが役立ちます。
その理由は、「来場者の気持ちが、よくわかるようになる」からです。
「こういうブースは、入りにくい」
「あの展示方法は、真似してみよう」
など、多くの発見があるはずです。
訪れる展示会は、かならずしも自社の業界の展示会でなくて構いません。
自社のビジネスとはまったく関係ないテーマの展示会も含めて、多くの展示会を視察することで、自社の展示会ブースをどう作るべきかが、見えてきます。
5-2. オンラインとの融合を前提とする
次に、オフライン(リアル)だけでなく、オンラインと融合させることを前提として設計しましょう。
メールマガジン、オウンドメディア、SNSアカウントなど、オンライン接点を準備し、多角的に顧客とつながり続ける仕組みを作っておくと、展示会の成果を最大化できます。
なかでも、オフライン展示会とオンライン展示会の併用は、効果的な手法です。
たとえば、弊社がご提供している「WONDERLINE」は、商品展示・名刺交換・商談・来場者分析がひとつにつながったオールインワンの展示会プラットフォームです。
▼ WONDERLINEの特徴
|
詳しくは、こちらのページから資料をダウンロードして、ご確認ください。
6. まとめ
本記事では「中小企業における展示会」をテーマに解説しました。要点を簡単にまとめます。
中小企業が展示会に出展するメリットとして、以下が挙げられます。
|
一方、デメリットは次のとおりです。
|
中小企業が展示会に出展するときの流れを、5つのステップでご紹介しました。
|
中小企業が展示会を成功させるポイントして、以下を意識してみてください。
|
展示会は、中小企業にとって新しいチャンスを拡大するために役立ちます。自社の状況に合わせて適切な展示会の形を選定し、準備を進めていきましょう。
#展示会 #中小企業 #中小企業の展示会
コメント