【事例紹介】暑中イベント成功のカギはアイデアと制作力にあり!

「オンラインイベントの面白いアイデアが知りたい」
「季節にあわせたイベントの事例が知りたい」

こうお考えの広報・オンラインイベント担当の方もいるのではないでしょうか。

当ブログを運営する新日本印刷では、毎年暑中見舞いと年賀の時期にあわせてユニークなPRイベントを実施しています。

2022年の暑中見舞いハガキ

2021年の暑中見舞いハガキ

2020年の暑中見舞いハガキ

2022年は創業55周年のタイミングにあわせて「GOGO! 新日本印刷」をテーマとしました。
2021年はコロナ禍に際して開発したオンライン展示会プラットフォーム「WONDERLINE」を未来への扉に見立てたビジュアルを作成。
2020年はオリジナルマスクを作成し「ともに笑顔にプロジェクト」を展開しました。

これらのハガキデザインは、特設サイトやお客様へ訪問する際にお渡しする手土産などにも展開。
特設サイトには動画も埋め込み、写真・動画の撮影からデザイン・編集までワンストップで対応できる新日本印刷のコンテンツ制作力のプロモーションとして活用してきました。

もちろん、お客様がパッと見て楽しめるものでなければなりません。

そのためにはハガキや動画などのクオリティの高さだけでなく、アイデアの面白さも重要なポイントです。

そこでこの記事では、

・イベントアイデアを考えるコツ
・暑中イベント準備の流れ
・撮影で大切な3つの力
・デザイン&動画編集
・オンラインコンテンツ

について、2023年の暑中のイベント「新日本オンライン夏祭り」の事例をもとに解説していきます。

この記事を読めば、暑中見舞いに限らずイベントアイデアを考えるコツからコンテンツ制作の流れまで把握できます。
ターゲットに喜ばれるイベントを実施したいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

1. イベントアイデアを考えるコツ

冒頭でもお伝えしましたが、新日本印刷では暑中見舞いと年賀の時期にあわせてユニークなPRイベントを実施しています。
お客様へのご挨拶としてはもちろん、動画やデザインなどのコンテンツ制作力をPRする目的もあり、毎年こだわっています。

この章では、

・テーマ設定
・アイデアの検討

について解説していきます。

1-1. テーマ設定

2023年暑中見舞いのテーマは「祭り」。

このテーマを設定するためには、以下の要素を踏まえて検討しました。

<お客様に見てもらうための条件>
・暑中見舞いハガキ:他の郵便物に埋もれないインパクトがあること。

・特設サイト:わざわざ訪問したいと思わせる、目新しい/面白い内容であること。

<現在の社会状況>
・新型コロナウイルス感染症が5類に移行。

・社会活動がコロナ禍前に戻ることへの期待感。

これらの要素から、ここ数年できなかった「祭り」を、コロナ禍中に進めてきたオンライン展示会プラットフォームWONDERLINEで開催する「新日本オンライン夏祭り」というイベントアイデアが生まれました。

季節イベントのテーマ設定は、お客様に見てもらうための条件を押さえることと、社会の状況もかんがみることで、その時期に合ったイベントとして受け入れられやすくなります。

1-2. アイデアの検討

テーマ設定の次は、どんなイベントを行うかのアイデアを考えました。

これは以下の手順で検討しました。

・暑中見舞いイベントチームの一人ひとりが個別にアイデアを考える

・アイデアを持ち寄り、メンバー全員でブレストする

まず一人ひとりで考えることによって、さまざまなアイデアが生まれます。

それを持ち寄って全員でブレストすることで、それぞれのアイデアを膨らませたりブラッシュアップすることができました。
ブレストとはブレインストーミング(brainstorming)の略で、複数人でアイデアを出し合うことで1人では思いつかないアイデアを生み出す方法です。

自分だけでは気づかなかった矛盾点が見つかったり、実施は難しいと思っていた内容を「こういうやり方ならできるのでは」と見直せたりと、様々な視点からアイデアを検討できるので、可能ならぜひブレストをしてみるとよいでしょう。

2. 暑中イベント準備の流れ

アイデアが固まったら、暑中見舞いハガキのデザインラフや動画コンテなどを作成して、準備を進めました。
実際の工程は、次の4ステップです。

・STEP1.イベント内容の共有とスケジュール調整
・STEP2. デザインラフ・動画コンテの作成
・STEP3.スタッフ打ち合わせ
・STEP4.撮影準備

以下で1つずつ解説していきます。

2-1. イベント内容の共有とスケジュール調整

新日本印刷には写真・動画のカメラマン、デザイナー、動画ディレクターなどの専門スタッフが在籍し、クオリティの高いコンテンツ制作を行なっています。
ただ、それぞれ打ち合わせやロケ撮影などで外出することが多いため、なかなか全員で集まることができません。

そんな中での情報共有にはSlackというメッセージングアプリを使用しています。
LINEやTwitterなどのSNSアプリと同様に、「@+ユーザー名」で送信する相手を明確にしてメッセージが送れるので、いくつかの部門をまたぐプロジェクトに起こりがちな「担当者が不明確」という問題を避けられます。

このアプリはPCにもスマホにも入れられ、チャット感覚でやり取りできるので、外出中でもスピーディーにコミュニケーションができ、制作過程での情報共有にも便利です。

スケジュールはGoogleスプレッドシートで調整しました。
2023年の暑中のイベント「新日本オンライン夏祭り」では、暑中見舞いハガキ、動画、手土産(オリジナルパッケージのカレー)、オンラインイベントなど、さまざまなコンテンツ制作を並行して進めるため、それぞれのスタッフが把握しやすいだけでなく、全体を見渡して抜け漏れがないか確認するのにも役立ちます。

スケジュールが変更になった時は、スプレッドシートを変更したうえでSlackに「スケジュール変更のお知らせ」を投稿し、情報共有しました。
Slackでは返信する代わりに、お辞儀する絵文字や手を挙げる絵文字など手軽なアクションだけで済ませられます。

このように、多くのスタッフが関わるプロジェクトを進める場合、全員が使いやすい共有ツールを使用するのがおすすめです。
こうしたツールを使いこなすためには、普段からこれらのツールを使ったコミュニケーションに慣れておきましょう。

実際に使ってみると、絵文字でコミュニケーションが円滑になったり、情報共有した内容がテキストとして残り、日常の業務も効率化するので一挙両得です。

2-2. デザインラフ・動画コンテの作成

イベント内容が共有できたら、デザインラフや動画コンテを作成します。
これは承認者への確認や、スタッフ全員のイメージ共有のために必要です。

デザインラフは手書きで作成したり、動画はテキストでシナリオ案をまとめることもありますが、イメージに近い画像やサンプル動画を組み合わせて作成すると、より具体的なイメージが伝わります。

当初の動画コンテ(一部)

 

デザインラフや動画コンテを見ると、どんな衣装や小道具が必要か、どれだけの人数が出演するのかなどがわかります。

また、ラフの時点なら変更や修正も容易ですが、撮ってしまってからはなかなか修正できません。
もし再撮することになったら、その分の費用が余計にかかるうえ、スタッフや出演者のスケジュール調整も大変です。

撮影後の修正を極力減らすために、デザインラフや動画コンテでイメージを確認しておくことはとても重要です。

2-3. スタッフ打ち合わせ

撮影前にはスタッフ全員で打ち合わせを行います。

2023年の暑中のイベント「新日本オンライン夏祭り」は営業部の社員が多く出演しました。
営業部なので顧客アポなどがあり、スケジュール調整が困難です。

また、屋台やお神輿・盆踊りなどのシーンはCG合成するためにグリーンバックで撮りましたが、他のシーンは黒バックや白バックなど、背景チェンジも多くありました。
それぞれの背景に合わせて照明のセッティングも変わるので、順番をしっかり決めておかないと、効率よく撮影ができません。

他にもさまざまな条件を考慮して、スタッフ打ち合わせでは以下の内容について話し合いました。

・各シーンの背景確認
・機材の確認
・大道具・小道具・衣装の確認
・各シーンにどれくらいの時間がかかりそうか
・顧客アポを考慮したうえで、誰がどのシーンに出演するか
・これらを踏まえての撮影順の確認

この打ち合わせをもとに、香盤表を作成しました。

香盤表とは撮影のスケジュール表のことです。
もともとは香を立てる盤に由来し、歌舞伎や映画の業界で使われてきました。

シーン番号や時間、出演者などを一覧で見られるもので、スタッフ・出演者の全員が香盤表にあわせて動きます。
今回の香盤表には背景のことも記載されました。

今回の香盤表の一部

 

スタッフ打ち合わせでは、このように確認事項をクリアにして、効率のよい香盤表を組み立てることが重要です。

2-4. 撮影準備

撮影当日に向けての準備は、部署ごとに進めました。
準備は大きく分けて事前準備と前日の準備があります。

 2-4-1.事前準備

事前準備では、カメラなどの機材や照明、背景用の布を用意したり、スタイリストへ衣装や小物の依頼をしました。
今回の暑中イベントでは、とくに祭りの活気を演出するための大道具・小道具の手配も必要でした。

新日本印刷本社のある名古屋市には「何でも貸します」がキャッチフレーズの、本当に何でも借りられるレンタル会社があります。
太鼓類や獅子頭、大うちわなどの大道具はレンタルすることになりました。

大太鼓がつっかえる事態に!台から降ろして6人がかりで搬入しました

 

その他、提灯は名入れができるネットショップでオーダーし、手筒花火(火薬無しのもの)もネットで購入することに。

じつは、レンタルの大道具やオーダー品など時間がかかりそうなものは、デザインラフや動画コンテが上がった段階から検討を進めていました。
撮影までのスケジュールが短い場合は、借りられるものの確認や手配の予約など、進められることは前もって準備しておくのが重要です。

これらについても、「2-1. イベント内容の共有とスケジュール調整」で紹介したSlackを使って情報共有しました。
さらに、日程も何度か変更されたので、スケジュールのスプレッドシートも役立ちました。

2-4-2. 前日の準備

撮影の前日には、機材のセッティングとテストを行い、照明の調整や、カメラ位置・出演者の立ち位置の確認をしました。

テストの様子。立ち位置、太鼓の音のチェックも入念に!

 

位置が決まったらそこにテープを貼っておきます。業界用語で「バミリ」といわれるものです。
多くのシーンがあるため、間違えないようにテープにはシーン番号を書いておきました。

スモークのテスト。風で流れないようエアコンを切って暑さは我慢!

セットに提灯を吊るすとグッと祭りらしい雰囲気に!

 

また、お神輿を担ぐシーンはCG合成することになっていましたが、何人かで担ぐため、手の位置が揃うようにお神輿の棒を用意することに。

これは印刷会社ならではの在庫品である「紙管」という紙の筒に紅白の布を巻いて代用しました。

この棒で手の位置が揃い、合成しやすくなりました

 

「ないものは作る」というのも、コストを抑えてより良いカットを撮るポイントです。

スムーズに撮影を進めるためには、このような直前の準備や確認も欠かせません。

3. 撮影で大切な3つの力

さあ、いよいよ撮影当日です。

スタジオとなるホールには香盤表が貼り出され、朝から衣装や小道具の準備が着々と進められました。

撮影の際に大切なのは、以下の3つの力です。

・技術力
・発想力
・チーム力

以下で1つずつ説明していきます。

3-1. 技術力

第一に大切なのは、もちろん技術力です。

カメラアングルはもちろん、照明の微妙な角度調整や、ヘアメイクなどの演出が仕上がりを大きく左右します。
クオリティの高いカットを撮るためには、撮影中も臨機応変に対応しなければなりません。

汗をかいているように見せるメイク

狙い通りに撮れているかモニターでチェック

 

2023年の暑中のイベント「新日本オンライン夏祭り」では、ハガキ、動画、オンラインコンテンツで使用するスチール画像など、一つのシーンで何パターンも撮影するため、それぞれの部門のスタッフが自分の担当領域を確認しながら進めました。

このように各自が担当領域に集中することで、各々の技術力を最大限発揮できました。

3-2. 発想力

第二に大切なのは、発想力です。

今回出演するのは全て新日本印刷の社員で、演技経験などありません。
素人の出演者でも本格的な動きに見えるよう、ポーズや動作の演出をする必要がありました。

参考動画を見せながら動きをレクチャー

 

また、思いもよらないアクシデントにも対応しなければなりません。
今回は注文していた手筒花火が届かないというアクシデントが発生!

急遽、手筒花火もCG合成することになり、そのために手筒花火型の筒をグリーンの布を巻いて用意しました。

手筒花火代わりの筒を使って手の位置を確認

 

狙い通りにいかない場合は、出演者が動きやすいような演出をする。
アクシデントが発生しても、その場にあるものを使ってなんとかする。

このように、想定外の事態に対応できる発想力も必要な力だと言えるでしょう。

3-3. チーム力

第三に大切なのは、チーム力です。

今回の暑中イベントのように多部門のスタッフが関わり、出演者も多い場合は、一人ひとりが香盤表に沿って行動することが重要です。

香盤表の確認。普段から「5分前行動」の社風です

 

時間通りに集合し、撮影がスムーズに進められるよう、大道具の移動や背景チェンジを率先して手伝う。
こうした行動が当たり前にできることで、現場の雰囲気も良くなります。

なにより現場の雰囲気が良く、スタッフが和気あいあいとしていると、出演者もリラックスして良い表情に。
手前みそと思われるかもしれませんが、新日本印刷の制作チームは活気があり、個性的なメンバー揃いながらまとまりもあります。

はじめは照れていた部長もこの笑顔!

 

このように、撮影では技術力・発想力・チーム力という、データでは見える化できない3つの力が意外と重要になるのです。

4. デザイン&動画編集

 

撮影後は、デザインや動画編集を進めていきます。

2023年の暑中のイベント「新日本オンライン夏祭り」のデザインや動画の編集には、データ加工や画像合成の工程が必要でした。
それぞれどのような工程なのか、順を追って説明します。

4-1. データ加工

撮影した画像データを使ってデザインするためには、データ加工の工程が必要です。
データ加工は、画像補正、切り抜きなど、デザインのために画像を加工することです。

画像補正では、画像の明るさ・コントラストの調整、色味の補正、ノイズの除去など、画像をより良く見せられるよう補正を行います。
切り抜きは画像から特定の部分を切り出すことで、画像の余白部分を除去することです。

こうした加工を施すことで、全体のデザイントーンを揃えたり、余白をなくして画像を組み合わせやすくします。
2023年の暑中見舞いハガキでは、祭りの様々なシーンを組み合わせてデザインするため、全ての画像を切り抜く必要がありましたが、デザインによっては切り抜きをしない場合もあります。

4-2. 画像合成

画像合成は、複数の画像を組み合わせてオリジナリティのあるデザインを作成することです。

今回は「4-1.データ加工」で加工した画像データを組み合わせるだけでなく、CGで作成したお神輿や手筒花火を合成しました。

特に動画では、お神輿を担ぐ手の位置や手筒花火の位置がズレると、うまく合成できず、不自然な映像になってしまいます。
そうならないよう、事前の撮影テストで立ち位置を決めたり、CG部分と大きさや形を合わせた代用品を持つなど、綿密な事前準備を行いました。

動画の中で登場する屋台もCG合成のため、メインとなる出演者の前後にエキストラを配置して、混雑している様子を表現しました。

奥行き感を演出するため、手前と後方にエキストラを配置

合成後は手前のエキストラがボケて混雑した雰囲気に!

 

こうしてできあがった合成画像を使い、暑中見舞いハガキのデザインと動画編集が進められました。

5. オンラインコンテンツ

「新日本オンライン夏祭り」のトップページ

先述したように、2023年の暑中のイベント「新日本オンライン夏祭り」では、暑中見舞いハガキ、動画、手土産(オリジナルパッケージのカレー)、オンラインイベントなど、さまざまなコンテンツがありましたが、それぞれ制作にかかる日数が異なります。

暑中見舞いハガキと手土産は印刷工程に日数がかかるため、1番先に取り掛かりました。
そこからハガキのデザインをキービジュアルとして、他のツールに展開していきました。

動画はオンライン展示会プラットフォームWONDERLINEを使ったイベントサイトに埋め込むものなので、印刷物の次に進めました。

オンラインイベントサイトの制作は、ハガキ・動画に続いて取り掛かりました。
ただ、このイベントサイトは「新日本オンライン夏祭り」のメインとなるものです。

盛りだくさんなコンテンツを用意してご覧いただくお客様に楽しんでいただくため、サイトのデザインやゲームなど、進められる部分から早めに制作を進めていきました。

6. まとめ

完成したハガキと手土産のカレー

 

この記事では新日本印刷PRイベントの一つ、2023年の暑中見舞いの事例についてご紹介しました。
以下で要点をまとめます。

アイデアを考えるコツは、次の2つ。

<テーマ設定>
・お客様に見てもらうための条件や現在の社会状況にあわせたテーマを設定する

<アイデアの検討>
・暑中見舞いイベントチームの一人ひとりが個別にアイデアを考え、メンバー全員でブレストする

コンテンツ制作の流れは、次の4ステップです。

・STEP1.企画共有とスケジュール調整
・STEP2. デザインラフ・動画コンテの作成
・STEP3.撮影打ち合わせ
・STEP4.撮影準備

撮影の際に大切なのは、以下の3つの力です。

・技術力
・発想力
・チーム力

デザイン&動画編集では、データ加工と画像合成について説明しました。

オンラインコンテンツでは、今回の企画構成や制作の流れについて説明しました。

2023年の暑中のイベント「新日本オンライン夏祭り」では、当ブログでも紹介している新日本印刷のコンテンツ制作力を結集し、他にはないインパクトのあるオンライン夏祭りが開催できました。

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