「受発注業務の効率化が急務なんです。でも、システム導入のコストや手間が心配で……」
このような悩みを抱える企業が増えています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が加速するなか、受発注システムの導入は生産性向上の鍵となっています。
受発注システムの導入によって、手作業による非効率さや人為的ミスが改善し、業務効率の大幅な向上が期待されます。
本記事では、受発注システムの基本から導入のメリットやデメリット、導入手順まで、網羅的に解説します。
いま抱えている悩みを解決するには、どのような選択肢があるのかを知り、最適な道筋を選ぶためにお役立てください。
1. 受発注システムとは?基本の知識
受発注システムは、企業の業務効率化に不可欠なツールとして注目を集めています。ここでは、システムの基本的な概念を詳しく解説します。
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1-1. 受発注システムの定義と主要機能
受発注システムは、商取引(受注と発注)をデジタル化し、効率的に管理するためのITソリューションです。
業種や規模などにより詳細は異なるものの、一般的には、受発注から納品、請求までの一連のプロセスを自動化し、業務の迅速化とエラー削減を実現するシステムを、受発注システムと呼んでいます。
主要機能としては、以下が挙げられます。
【受発注システムの主要機能】 ・受注管理:顧客からの注文を受け付け、データベースに登録します。注文内容の確認、在庫チェック、納期回答などを自動化し、迅速な対応ができるようにします。 ・発注管理:仕入先への発注プロセスを管理します。在庫状況に基づいて適切なタイミングで発注を行い、過剰在庫や欠品を防ぎます。 ・帳票出力:注文書、納品書、請求書などの各種帳票を自動生成します。手作業での作成に比べ、時間短縮とミス防止につながります。 ・在庫管理:リアルタイムで在庫状況を把握し、適正在庫を維持します。入出荷情報と連動させ、正確な在庫管理を実現します。 ・取引先管理:取引先の情報を一元管理し、取引条件や過去の取引履歴を簡単に参照できるようにします。取引先との円滑なコミュニケーションをサポートします。 |
※注:上記は一例でありシステムによって詳細は異なります。
1-2. 従来の受発注業務の悩み・問題点
従来の受発注業務は、電話、FAX、あるいは紙の注文書(郵送や商談時の手渡し)を使用して行われてきました。
この方法では、受注担当者が顧客からの電話やFAXを受け、手書きや表計算ソフト(Excel)を使って注文情報を記録します。
在庫確認は倉庫への問い合わせや在庫表の確認が必要で、発注も同様に電話やFAXで行われます。
従来方式での現場の負担は大変に大きなものです。問題点をまとめると、以下のとおりとなります。
【従来の受発注業務における問題点】 ・時間的負担:注文の受付から処理までに膨大な時間を要します。1件の注文処理に平均15分かかると仮定すると、1日50件の注文で約12.5時間もの時間が費やされます。 ・人為的ミスのリスク:手作業による転記や入力時のエラーが頻発します。3%のエラー率の場合、1,000件の注文につき30件のミスが発生する計算になります。 ・リアルタイム性の欠如:在庫状況の即時確認が困難で、顧客への迅速な回答ができません。在庫がある商品の注文を逃したり、逆に在庫切れの商品を誤って受注したりする行き違いが発生します。 ・コミュニケーションの非効率性:取引先とのやり取りに時間がかかります。1回の確認に平均5分を要すると、1日50件の問い合わせで約4時間が費やされます。 ・データ分析の困難さ:紙ベースの記録からは正確な傾向分析や需要予測が困難です。在庫の最適化や効果的なマーケティング戦略の立案に支障をきたします。 |
1-3. 従来方式 vs システム化の比較表
多くの企業が前述の課題に日々直面し、解決策を模索しています。
そこで、注目されているのが、受発注システムの導入です。従来の方法とシステム導入後の業務を比較すると、その効率性の差は顕著です。
業務領域 | 従来の方法 | システム化後 |
データ入力 | 手作業での入力 | 自動化された入力 |
在庫管理 | 目視や手作業による確認 | リアルタイムでの正確な把握 |
取引先との | 電話やFAXでのやりとり | システムを通じた情報交換 |
分析と予測 | 経験や勘に頼った予測 | データに基づいた分析 |
コスト管理 | 細かいコストの把握が困難 | 詳細な管理が可能 |
※注:上記は一例でありシステムによって詳細は異なります。
1-4. 業界別に見る受発注システムの動向
受発注システムは、業界ごとに異なるニーズに応じてカスタマイズされ、幅広く活用されています。各業界での具体的な活用動向を確認しておきましょう。
【業界別の受発注システム活用事例】 ・製造業:部品調達から製品出荷までのサプライチェーン全体を一元管理します。JIT(ジャストインタイム:必要な時に必要な量だけ生産する方式)生産を実現し、在庫コストを削減しつつ生産効率を向上させます。 ・小売業:POS(販売時点情報管理)システムと連携し、売れ筋商品の自動発注や季節商品の需要予測を行います。適正在庫の維持と機会損失の防止を実現します。 ・卸売業:取引先との受発注業務を自動化し、伝票処理や在庫管理の効率を高めます。EDI(電子データ交換:企業間で商取引データを電子的に交換する仕組み)との連携で、取引先とのデータ共有をスムーズにします。 ・EC(電子商取引)業:注文から配送までのプロセスを一元管理し、顧客満足度の向上と業務効率化を両立させます。在庫情報のリアルタイム管理により、欠品による機会損失を防止します。 ・建設業:資材調達から工事進捗管理まで、プロジェクト全体を一元管理します。多数の協力会社との複雑な受発注をシステム化し、工期短縮とコスト削減を実現します。 |
これらの事例から、受発注システムが各業界の特性に応じて柔軟に活用されていることがわかります。自社への導入イメージがより明確になるでしょう。
続いて以下では、具体的な受発注システムの種類について、解説します。
2. 受発注システムの3つの種類と比較表
受発注システムは、大きく以下3つの種類に分けられます。
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それぞれ見ていきましょう。
2-1. EDIシステム(推奨例:大企業との取引)
EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)システムは、企業間の商取引データを標準化された形式で電子的に交換するシステムです。とくに大企業との取引において重要な役割を果たします。
【EDIシステムの特徴】 ・標準化:業界ごとに定められた標準フォーマットを使用し、データ交換の効率を高めます。たとえば、流通業界では流通BMS、自動車業界ではJAMA・JAPIA EDI標準が採用されています。 ・高度なセキュリティ:VAN(付加価値通信網)やクラウドベースの安全な通信を利用し、高いセキュリティを確保します。 ・大量データ処理:大量の取引データを効率的に処理できます。大規模な取引でも迅速な情報交換が可能です。 ・業務の自動化:受発注、出荷、請求などの業務を自動化し、人的ミスを削減します。業務効率の向上が期待できます。 ・コスト削減:長期的には紙や郵送費、人件費などのコスト削減につながる可能性があります。ただし、初期導入コストは比較的高くなる傾向があります。 |
大企業との取引量が多い企業にとっては、EDIシステムの導入が鍵となるケースが多いでしょう。
しかし、初期導入コストや運用の複雑さから、中小企業での普及に課題があるのが現状です。
政府は政策として中小企業の受発注デジタル化やEDI導入を推進していますが、2021年において、電子受発注に対応しているのは48.5%(中小企業、受注側)でした(出典:中小企業庁「令和3年度取引条件改善状況調査」)
まだ約半数の企業においては、FAXや電話を用いた受発注取引が行われています。
2-2. BtoB受発注システム(推奨例:商社・メーカー)
BtoB受発注システムは、企業間の取引に特化したプラットフォームです。とくに多数の取引先と頻繁に取引を行う商社やメーカーにとって有効なシステムです。
【BtoB受発注システムの機能例】 ・多様な取引形態対応:見積もり・発注・納品・請求など、企業間取引の全プロセスをカバーします。複数の取引先との異なる取引条件や価格設定にも柔軟に対応できるシステムもあります。 ・カスタマイズ性:業界や企業特有の取引慣行に合わせて、機能やインターフェースをカスタマイズできます。既存の業務フローを大きく変更せずにシステム導入が可能です。 ・リアルタイム情報共有:在庫状況や注文状況をリアルタイムで共有し、取引先との情報の行き違いを防ぎます。これはとくに在庫管理が重要な業種で有効です。 ・分析機能:取引データを蓄積し、販売傾向や取引先ごとの分析機能を持つシステムもあります。戦略的な在庫管理や営業活動に活用できます。 ・スケーラビリティ(拡張性):取引量や取引先の増加に応じて、システムを拡張できます。クラウドベースのシステムでは、とくにこの点が優れています。 |
BtoB受発注システムは、EDIほど標準化されていないため、導入の自由度が高い反面、企業ごとに異なるシステムへの対応が必要になる場合がありました。
しかし最近では、Web技術の進歩により、クラウドベースの使いやすいインターフェースを提供するシステムが増えており、中小企業でも導入しやすくなっています。
たとえば、弊社がご提供しているBtoB受発注システム「WONDERCART」は、
“商社やメーカーがすでに持っている商品データを使って、商品一覧が見られたり見積もりが発行できたりするサイトを作成する”
というコンセプトを起点に設計されています。
使い勝手に優れた検索機能や、見積書作成・提案書作成、在庫管理などが基本機能として備わっています。
WONDERCARTを導入すると、商社やメーカーの担当者を悩ませる、取引先からの在庫や価格の問い合わせ対応を効果的に削減できます。
2-3. ECサイト(推奨例:BtoC・DtoC)
ECサイトは、企業と消費者間(BtoC)や製造業者と消費者間(DtoC)の取引に用いられるオンラインプラットフォームです。
近年では、BtoB取引にも活用されるケースが増えています。
【ECサイトの特徴】 ・24時間365日の受注:時間や場所の制約なく注文を受け付けられるため、ビジネスチャンスを最大化できます。これはとくに、消費者向けビジネスで重要です。 ・豊富な商品情報提供:画像、動画、詳細な仕様など、幅広い商品情報を提供できます。顧客の購買意欲を高め、問い合わせの削減にもつながります。 ・決済の多様性:クレジットカード・電子マネー・後払いなど、多様な決済方法に対応できます。顧客の利便性を高め、売上向上に寄与します。 ・マーケティング機能:顧客の購買履歴や閲覧行動を分析し、効果的なマーケティング施策に活用できます。たとえば、パーソナライズ(個人の嗜好に合わせた最適化)されたレコメンデーション(商品推奨)機能などが実装可能です。 ・在庫管理との連携:受注情報と在庫管理システムを連携させれば、リアルタイムの在庫管理によって欠品や過剰在庫を防げます。 |
しかし、重要な注意点があります。以下に続きます。
2-4. 補足:ECサイトのBtoB利用には注意が必要
ECサイトは、企業と消費者を直接結ぶ独自の特徴を持ちます。とくに中小企業やスタートアップにとっては、比較的低コストで市場参入できるツールです。
しかしながら、BtoBの受発注システムとして利用するには、課題も多いため、慎重な検討が必要です。とくに留意すべきは、既存の取引関係への影響です。
たとえば、「A商社 → B商社 → C商社」という取引構造において、ECサイトの導入により中間業者が排除される、いわゆる “中抜き” 現象が発生する可能性があります。
これは取引先との関係性を悪化させ、長期的なビジネスパートナーシップに支障をきたすリスクがあります。
したがって、BtoB領域でのECサイト活用は、その利便性と既存の商習慣とのバランスを慎重に見極める必要があります。
2-5. 3種類の比較表
以上、3種類の比較をまとめておきましょう。
注意点として、受発注システムと一言にいっても、さまざまなケースがあるため、一概には断定できません。
上記は全体像を概観するためのイメージとして、お役立てください。
3. 受発注システム導入のメリットとデメリット
「受発注システムを導入するかどうか、迷っている」
という方にとっては、メリット・デメリットを整理することが役立ちます。
以下では、どのようなメリット・デメリットがあるのか、見ていきましょう。
3-1. メリット
まず、メリットとしては、以下が挙げられます。
【受発注システム導入のメリット】 ・業務効率化:受発注業務の自動化により、データ入力や処理にかかる時間が大幅に削減されます。人的ミスも減少し、業務の正確性と処理速度が向上します。 ・コスト削減:ペーパーレス化により、印刷コストや紙の書類の保管スペース、電話・FAX通信費・郵送費などを削減できます。 ・データ活用:受発注データの蓄積と分析により、需要予測の精度が向上します。商品ごとの売上傾向や利益率の可視化を通じて、戦略的な品揃えや販売計画の立案が可能になります。 ・顧客満足度向上:リアルタイムの在庫確認により、顧客からの問い合わせに迅速に対応できます。正確な情報提供で、顧客との信頼関係構築につながります。 ・リアルタイム管理:在庫状況をリアルタイムで把握できるため、過剰在庫や欠品率の改善が期待できます。 |
企業規模や業種によって具体的な効果の度合いは異なりますが、多くの企業で顕著な改善が期待できます。
3-2. デメリット
受発注システムの導入には多くのメリットがある一方で、デメリットや課題も存在します。事前に把握しておくことが大切です。
【受発注システム導入のデメリット】 ・初期投資:システム導入には、開発費用やカスタマイズ費用などの初期費用が発生します。中小企業にとっては大きな負担となる可能性があります。 ・運用負荷:システムの日常的なメンテナンスやアップデートなどの運用負荷が新たに発生します。専門知識を持つ人材の確保や教育が必要となります。 ・取引先との調整:システム連携のために取引先との調整が必要となり、時間とコストがかかる場合があります。取引先によってはシステム対応が困難なケースもあります。 ・セキュリティリスク:デジタル化に伴い、データ漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクが高まります。対策のための追加投資や継続的な監視が必要となります。 |
これらのデメリットは、適切な対策により軽減可能です(この後に解説します)。
しかし、完全に排除することは難しいため、メリットとデメリットを総合的に判断し、自社にとって最適な導入方法を検討する必要があります。
3-3. デメリットを抑えるポイント
システム導入のリスクを最小限に抑え、メリットを最大限に引き出すためには、以下がポイントとなります。
【デメリットを抑えるポイント】 ・段階的導入:大規模な一括導入ではなく、部門や機能ごとに段階的に導入し、初期投資と運用負荷を分散させます。小さな成功体験を積み重ねながら、全社展開を進めます。 ・クラウドサービスの活用:初期投資を抑えつつ、柔軟な拡張が可能なクラウド型の受発注システムを選択します。運用負荷の軽減とセキュリティ対策の強化も期待できます。 ・取引先との綿密な協議:システム導入の早い段階から取引先と協議を始め、双方にメリットのある連携方法を模索します。必要に応じて段階的な移行や並行運用も検討します。 ・セキュリティ教育と対策の徹底:従業員に対するセキュリティ教育を定期的に実施し、人的要因によるリスクを低減します。また、多層的なセキュリティ対策を講じ、システム全体の堅牢性を高めます。 |
デメリットを過度に恐れるあまり導入を躊躇することは、競争力低下につながる可能性もあります。できる対策は講じつつ、慎重かつ前向きな姿勢で検討を進めていきましょう。
以上、ここまでの話をまとめておきましょう。
4. 受発注システム導入の手順
最後に、ここまでに解説したメリット・デメリットを踏まえつつ、導入の手順を見ていきましょう。
※クリックで該当の手順に飛べます。
・ステップ1:現状を分析する |
4-1. ステップ1:現状を分析する
1つめのステップは「現状を分析する」です。
受発注システムを導入する際は、まず現状の業務プロセスを徹底的に分析することが有益です。
現状分析を怠ると、システム導入後に業務とのミスマッチが生じ、効果を十分に発揮できない可能性があります。
【現状分析のポイント】 ・受発注業務のフロー:受注から発注、納品、請求、支払いまでの一連の流れを可視化し、非効率な部分や改善点を洗い出します。 ・受発注データの種類と量:扱う商品やサービスの種類、取引先の数、発注頻度など、受発注に関するデータを整理し、システムに必要な機能を検討します。 ・関連部署との連携:受発注業務は、販売、在庫管理、経理など複数の部署に関わります。各部署の要望や課題をヒアリングし、部門間の情報共有や連携の方法を検討します。 ・取引先とのコミュニケーション:取引先との受発注方法(電話、FAX、メールなど)や、それぞれの問題点を整理します。システム化による効率化や利便性向上の可能性を探ります。 ・コスト構造の把握:受発注業務にかかる人件費、紙代、通信費など、現状のコスト構造を明らかにします。システム化による削減効果を試算する基礎データとします。 |
現状分析を通じて、受発注業務の全体像を明らかにし、システム化の目的や期待効果を明確にしておくことが、導入の成功に欠かせません。
4-2. ステップ2:要件を定義する
2つめのステップは「要件を定義する」です。
現状分析の結果を踏まえ、受発注システムに求める要件を具体的に定義します。要件定義は、システム選定の基準となるだけでなく、導入後の効果測定にも役立ちます。
【要件定義の観点】 ・機能要件:受発注業務に必要な機能(発注、納品、請求、支払いなど)を洗い出し、優先順位をつけます。在庫管理、売上分析など、付加的な機能も検討します。 ・非機能要件:システムの性能、可用性(システムが継続して利用可能である度合い)、セキュリティ、使いやすさなど、機能以外の要求事項を定義します。 ・インターフェース要件:他システムとの連携や、データ移行の要件を明確にします。必要なデータ形式や、連携の頻度、方式などを決定します。 ・運用要件:システムの運用・保守体制、トラブル対応、バージョンアップ方針など、運用面での要求事項をまとめます。 ・コスト要件:初期費用、ランニングコスト、ライセンス費用など、コストに関する条件を整理します。 |
要件定義は、関連部署や実務担当者を巻き込んで行うことが重要です。現場の視点を反映させると、より実効性の高いシステムを構築できます。
4-3. ステップ3:ベンダーを選定する
3つめのステップは「ベンダーを選定する」です。
要件定義をもとに、最適なベンダーやシステムを選定します。コストや機能だけでなく、ベンダーの実績や安定性、サポート体制なども総合的に評価することが大切です。
【ベンダー選定のステップ】 ・候補リストアップ:インターネットや専門誌などで情報収集し、要件に合致するベンダーをリストアップします。同業他社の導入事例なども参考になります。 ・資料請求と比較:候補ベンダーに資料請求し、提案内容を要件定義と照らし合わせて比較検討します。 ・デモンストレーション:実際にシステムを操作してもらい、使い勝手や機能の充足度を確認します。 ・見積もり依頼と条件交渉:複数ベンダーから見積もりを取得し、価格や保守体制などの条件を交渉します。 ・評価と選定:ベンダーの安定性、実績、トータルコストなどを総合的に評価し、最終的に選定します。必要に応じて、経営層の承認を得ます。 |
ベンダー選定は、システム導入の成否を左右する重要なプロセスです。短期的なコストだけでなく、長期的な視点でベンダーとのパートナーシップを築くことを重視しましょう。
4-4. ステップ4:導入計画を立てる
4つめのステップは「導入計画を立てる」です。
ベンダーが決まったら、システム導入に向けた詳細な計画を立てます。スケジュール、体制、役割分担など、関係者で合意しておくことが重要です。
【導入計画の要素】 ・体制とメンバー:プロジェクトリーダー、担当者、ベンダー側の担当者など、体制とメンバーを決定します。 ・スケジュール:要件定義、設計、開発、テスト、移行、運用開始など、主要なマイルストーンを設定し、スケジュールを策定します。 ・役割と責任範囲:プロジェクトメンバーの役割と責任範囲を明確にし、作業の重複や抜け漏れを防ぎます。 ・コミュニケーション計画:定例会議の頻度や方法、課題の報告ルールなど、コミュニケーション計画を作成します。 ・リスク管理:想定されるリスクを洗い出し、その対応策を検討しておきます。 |
導入計画は、プロジェクトの進捗を管理し、関係者の意識を合わせるための重要なツールとなります。計画段階から現場担当者に参加してもらい、円滑な導入を目指します。
4-5. ステップ5:運用開始し改善する
5つめのステップは「運用開始し改善する」です。
導入計画の実行を経て、いよいよ、受発注システムの運用が始まります。安定稼働のためには、システム利用者への教育とサポート体制の整備が欠かせません。
【運用開始後のアクション】 ・利用者教育:マニュアルの整備、集合研修、OJT(実務を通じた職場内訓練)など、利用者が確実にシステムを使いこなせるよう教育します。 ・サポート体制の整備:問い合わせ窓口の設置、FAQ作成、エスカレーション体制(問題の重要度に応じて上位者へ段階的に対応を引き継ぐ仕組み)の整備など、サポートの仕組みを整えます。 ・運用モニタリング:システムの稼働状況を定期的にモニタリングし、不具合や性能問題を早期に発見・対処します。 ・データ活用:蓄積されたデータを分析し、業務の改善や経営の意思決定に役立てます。 ・継続的な改善:現場の従業員の声を吸い上げ、システムや運用の改善につなげます。バージョンアップや機能追加も計画的に実施します。 |
運用段階では、システムの安定稼働と、システム利用者の満足度向上(不満の解消)が重要なポイントです。PDCAサイクルを回しながら、継続的に改善を重ねることが、受発注システムの効果を最大化します。
以上、受発注システムの一般的な導入プロセスを解説しました。
なお、メーカーや商社など、取り扱い商品数が多いBtoB企業には、先にもご紹介したカタログ制作データを活用するシステム「WONDERCART」をおすすめいたします。
WONDERCARTは、カタログデータの二次活用により、従来の受発注業務が抱えていたさまざまな課題を解消し、現場の受発注業務を効率化させるサービスです。
5. まとめ
本記事では「受発注システム」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
まず、受発注システムの基礎知識として、以下を解説しました。
・受発注システムは企業間の商取引をデジタル化し効率的に管理するITソリューション |
受発注システムの3つの種類として、以下を解説しました。
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受発注システム導入のメリットは、以下のとおりです。
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受発注システム導入の課題とデメリットとして、以下が挙げられます。
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受発注システム導入の手順を5つのステップでご紹介しました。
※クリックで該当の手順に飛べます。
・ステップ1:現状を分析する |
受発注システムの導入は、企業の業務効率化と競争力強化に大きく貢献します。自社の状況に最適なシステムを選択して、ビジネスの発展につなげていきましょう。
#受発注 #システム
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