BtoB EC事例11選!オープン型・クローズド型の成功の秘訣も

「自社でもBtoB ECを始めたい」という方の中には、「他社でのEC成功事例を見て参考にしたい」という方も多いのではないでしょうか。

成功した他社事例を見ることで、「BtoB ECをどの方向性で展開するのか」「オープン型で運用するのかクローズド型で運用するのか」など、さまざまな視点から検討が進むため、自社のBtoB EC戦略の方向性を決める大きな判断材料になります。

この記事では、オープン型・セミクローズド型・クローズド型に分けてそれぞれ成功事例を紹介していき、同時にECサイトの特徴や成功の秘訣などを詳しく解説していきます。

「まだBtoB ECのことを全く理解できていない」という方でもわかりやすいように解説を加えたので、EC初心者でも参考になるはずです。
ぜひ最後までお読みください。

1. BtoB ECの成功事例11選


早速、BtoBのECサイトの成功事例を紹介していきます。まずはこの記事で紹介する成功事例を表にまとめたので確認してみてください。

【BtoB ECの成功事例11選】

サービス名称取り扱い商品事例の特徴・ポイント
オープン型ASKUL(アスクル株式会社)オフィス用品など・翌日配送という画期的なサービスでBtoB ECの先駆者となった
ミスミ(ミスミグループ)機械部品やFA部品など・3千万点を超えるラインアップで製造業の多様なニーズに対応
モノタロウ(株式会社MonotaRO)建築用品やオフィス用品など・オフィス用品・建設・自転車用品、医療用品まで何でも揃う
AXELL(アズワン株式会社)理化学機器や産業機器など・カタログ通販からECサイトへの転換を成功させた
ハナイチ(株式会社Domuz)花・植物・資材など・未だEC化が進まない花卉産業領域を牽引している
セミクローズド型Ciモール(株式会社歯愛メディカル)歯科関連製品など・独自ブランド商品を展開してコストパに優れた商品を提供している
BEAUTY GARAGE(株式会社ビューティガレージ)プロ専用理容室器具・用品・化粧品など・「国内最安値保証制度」を設けており、価格が安い
アルカンプロショップ(株式会社アルカン)最高品質の食材やワインなど・専門性の高い商品を一括して調達できる環境を提供している
クローズド型フランスベッド株式会社介護用品・福祉用具の卸・子会社からのFAX注文の80%をEC化して、月間45時間の業務時間削減を実現した
株式会社コロンビアスポーツウェアジャパンアウトドア・スポーツウェア・アナログで行っていた展示会の受注業務を効率化することができた

ヤマハミュージックジャパン

楽器や音響機器のサービスパーツ販売・使いやすさにこだわり、運用開始後2か月でECサイト経由の受注率を60%まで向上

なお、表に記載した通り、BtoB ECサイトには大きく分けて「オープン型」「セミクローズド型」「クローズド型」の3種類が存在します。

BtoB ECサイトといってもさまざまな分類があり、全ての事例を並列に並べて比較・検討するのは難しい点について注意しましょう。

次章からは、「オープン型」「セミクローズド型」「クローズド型」の3種類ごとに、具体的な成功事例を紹介していきます。
種類ごとのBtoB ECサイトの特徴も合わせて説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

2.【オープン型】BtoB ECサイトの成功事例5選 


まずは「オープン型」のBtoBのECサイトの成功事例を紹介します。

オープン型のBtoB ECサイトは誰でも利用できる公開型のECサイトで、ログインしなくても商品ラインナップや価格を確認でき、誰でも商品を購入できます。

▼オープン型BtoB ECサイトの例(ASKUL)
 
出典:ASKUL「生活雑貨/キッチン用品」カテゴリ

登録しないと詳細を確認できない「クローズド型」と異なり、登録前に商品の内容や価格を閲覧できるため、新規顧客獲得を重視する企業に向いています。

オフィス用品や製造業、建設業、卸売業などで多く採用されているECサイトの種類といえます。

【オープン型のBtoB ECサイトの成功事例】

サービス名称取り扱い商品成功のポイント
ASKUL(アスクル株式会社)オフィス用品など・翌日配送という画期的なサービスでBtoB ECの先駆者となった
・食品や衛生用品、IT機器まで幅広い商材ラインナップを提供
ミスミ(ミスミグループ)機械部品やFA部品など・標準品からカスタム品まで3千万点を超えるラインアップで製造業の多様なニーズに対応
・複数のサプライヤーの在庫情報を一元管理して表示して、ワンストップで提供
モノタロウ(株式会社MonotaRO)建築用品やオフィス用品など・建設用品からオフィスサプライ、自転車用品、医療用品まで、モノタロウで何でも揃う
・小ロットの注文にも対応し、小規模企業でも注文しやすい
AXELL(アズワン株式会社)理化学機器や産業機器など・カタログ通販からECサイトへの転換を成功させた
・検索とレコメンド機能で、顧客のサイト内の回遊性を向上
ハナイチ(株式会社Domuz)花・植物・資材など・未だEC化が進まない花卉産業領域を牽引している

それぞれの事例を詳しく解説していきます。

2-1. ASKUL:オフィス用品などを翌日配送するオープン型BtoB ECの先駆者

出典:ASKUL(アスクル)公式サイト

ASKUL(アスクル株式会社)は、オープン型BtoB ECサイトとして日本で成功を収めた代表的な事例です。

1993年から中小企業向けのオフィス用品販売を開始したアスクルは、サービス名(「明日来る」)にもなっている「翌日配送」という画期的なサービスで市場に革新をもたらしました。
その後、オンラインでの注文受付を開始し、ECサイトを中心としたビジネスモデルへと進化しました。

オープン型BtoB EC「ASKUL」の成功のポイント

・物流ネットワークを最適化して「最短当日・翌日配送」を行うことで、顧客満足度を高めている
・オフィス用品を中心に、食品や衛生用品、IT機器まで幅広い商材ラインナップを提供している
・シンプルで直感的な操作が可能なインターフェースで、誰でも簡単に注文できる

現在では、企業の多様なニーズに対応する総合的なプラットフォームとしての認知を得て、さらに成長を続けています。

2-2. ミスミ:機械部品など圧倒的な在庫数で製造業のBtoB ECを牽引

出典:ミスミ公式サイト

ミスミグループは、機械部品やFA(ファクトリーオートメーション)部品を販売する企業として、製造業を代表するオープン型BtoB ECサイトの成功事例といえる会社です。

ECサイト内で希望の商品を探せるだけでなく、カタログのダウンロードや微細なカスタマイズ依頼、大口発注の見積もり依頼、規格追加品の提案などもでき、かゆいところに手が届くサービスが実現できています。

オープン型BtoB EC「ミスミ」の成功のポイント

・標準品からカスタム品まで3千万点を超える商品を取り扱っており、製造業の多様なニーズに応えるラインナップを実現している
・複数のサプライヤーの在庫情報を一元管理することで、「ほしい商品を、ほしい納期で、ほしい数だけ」ワンストップで購入できる
・高精度の検索機能と使いやすいUIにより、ユーザーが目的の商品を見つけやすい
・「当日出荷」「翌日配送」に対応する物流体制を構築しており、ユーザーがほしいタイミングで商品を受け取ることができる

製造業に特化した商品提供と独自のEC戦略でDXを推進することで、アジア・アメリカ・ヨーロッパなどグローバル市場にも展開して成長を遂げています。

2-3. モノタロウ:自動車用品から事務用品まで揃うオープン型BtoB ECの成功事例

出典:モノタロウ公式サイト

モノタロウ(株式会社MonotaRO)は、「現場を支えるネットストア」として建設用品からオフィスサプライ、自動車用品、医療用品まで幅広く2,000万点以上を取り揃えるオープン型BtoB ECサイトです。

2000年に設立されたモノタロウは、幅広い商品ラインナップと利便性を武器に、日本国内の中小企業を中心とする顧客層をターゲットに成長を遂げました。

オープン型BtoB EC「モノタロウ」の成功のポイント

・建設用品からオフィスサプライ、自動車用品、医療用品まで2,000万点を超える商品を取り扱っており、必要なものを一括で揃えられるワンストップショッピングを実現している
・事前の会員登録不要で商品検索が可能なため、新規顧客獲得の間口が広がっている
・小ロットの注文にも対応しているため、必要な分だけ発注できる利便性がある
・自社物流センターを活用して、ほとんどの商品を翌日配送可能としている

モノタロウは、工場や建設現場などを中心に、購買の手間やコストを削減するECサイトとして確固たる地位を築きました。
国内の物流拠点は今後も増やす予定にしており、地方の事業者にとっても利用しやすいサービスとして今後も選ばれ続けるECサイトとなるでしょう。

2-4. その他のオープン型BtoB ECサイトの成功事例

その他にも、オープン型のBtoB ECサイトの成功事例は以下のようなものがあります。

その他のオープン型BtoB ECサイトの成功事例2選

AXEL(アズワン株式会社):理化学機器や産業機器、病院・介護用品の総合卸で、カタログ通販からECサイトへの転換を成功させた企業。検索とレコメンド機能で、顧客のサイト内の回遊性を担保するなどの工夫をしている。

ハナイチ(株式会社Domuz):花屋・植物屋・フラワーアレンジメント教室など小売店向けに、花・植物・資材の仕入れサイトを展開している株式会社Domuzは、BtoC向けのECサイト「アンドプランツ」と並行して、未だEC化が進まない花卉産業領域を牽引している。

オープン型のBtoB ECサイトは、商品ランナップだけでなく卸価格までも一般ユーザーに知られてしまうデメリットを持ちつつも、広い商圏の取引先を開拓できるメリットがあります。

その中でも大きな成功を収めるためには、豊富な商品ラインナップや価格の安さ、使い勝手の良いUI/UX、迅速かつ信頼できる配送品質、レコメンド機能のような良質な購買体験など、他社からひとつ抜けた特徴を持っている必要があるでしょう。

3.【セミクローズド型】BtoB ECサイトの成功事例3選


ここからは、「セミクローズド型」のBtoBのECサイトの成功事例を紹介します。

セミクローズド型のBtoB ECサイトは、一見するとオープン型と同じですが「価格のみ非公開」など、一部情報が会員にしか見えなくなっているようなサイトをいいます。

例えば、価格のみ非公開のサイトの場合、商品ラインナップは誰でも確認でき、商品検索なども通常のECサイトと同様に行うことができますが、価格はログインしないと表示できないようになっています。

▼セミクローズド型BtoB ECサイトの例(ビューティーガレージ)

出典:ビューティーガレージ「ヘアカラー剤(業務用)」カテゴリ

【セミクローズド型のBtoB ECサイトの成功事例】

サービス名称取り扱い商品成功のポイント
Ciモール(株式会社歯愛メディカル)歯科関連製品など・もともと歯科業界において知られている会社
・他の卸業者にはない独自ブランド商品を展開してコストパフォーマンスに優れた商品を提供している
BEAUTY GARAGE(株式会社ビューティガレージ)プロ専用理容室器具・用品・化粧品など・商材から設備まで、必要なものをワンストップで購入できる
・「国内最安値保証制度」を設けており、価格が安い
アルカンプロショップ(株式会社アルカン)最高品質の食材やワインなど・専門性の高い商品を一括して調達できる環境を提供している
・西洋料理食材提供のパイオニアとして高品質かつ希少な輸入品を扱い、競合との差別化を図っている

セミクローズド型のBtoB ECサイトでは、価格は非公開ながら商品情報を公開することで、見込み顧客が詳細な情報を確認でき、購入への不安を軽減することができるメリットがあります。

さらに、価格を確認したい事業者への会員登録を促し、優良な見込み客リストを構築できるのも大きなメリットです。

3-1. Ciモール:歯科・医科向けのセミクローズド型BtoB ECの成功事例

出典:Ciモール公式サイト

Ciモール(株式会社歯愛メディカル)は、歯科・医科向けのBtoB ECサイトを「セミクローズド型」で展開しています。
商品ラインナップは誰でも閲覧可能ですが、価格はログイン後に表示できる仕様となっています。

2000年1月に歯科関連製品を扱う商社として設立された株式会社歯愛メディカルは、歯科業界における歯ブラシ販売本数や歯科通販売上高でトップシェアを誇っています。
近年では通信販売事業に力を入れており、通信販売事業・ECサイト事業では、全国の歯科医院の約9割を超える65,000軒を超える歯科医院と取引を行っています。

セミクローズド型BtoB EC「Ciモール」の成功のポイント

・もともと歯科業界において「低価格・高品質」な商品の開発・製造・販売企業として知られた会社だった
・他の卸業者にはない独自ブランド商品を展開することでコストパフォーマンスを実現し、差別化を図っている
・EC利用が進んでいない業界において、使いやすいインターフェースを採用して圧倒的な支持を得た
・商品の販売だけでなく、商品の体験会やデジタルマーケティング支援、開業セミナーなど、顧客第一主義を貫いている

歯科業界は、伝統的にディーラー経由での仕入れが主流で、EC化が遅れていた分野でした。Ciモール(株式会社歯愛メディカル)は、コスト削減・効率化・利便性を武器に業界内での存在感を高め、BtoB ECサイトの可能性を示す成功事例となりました。

3-2. BEAUTY GARAGE:理美容業界のセミクローズドBtoB ECの成功事例

出典:ビューティガレージオンラインショップ公式サイト

BEAUTY GARAGE(株式会社ビューティガレージ)は、日本最大級のプロ専用理容室器具・用品・化粧品の総合卸サイトで、会員のみが卸価格を閲覧できるセミクローズド型のBtoB ECサイトです。

BEAUTY GARAGEは、325万点以上の商品を取り扱っており、会員数も68万人以上を誇ります(いずれも2024年12月確認時点)。

理美容室やエステサロン、ネイルサロン、鍼灸・整骨院、アイラッシュサロンなどの業界プロフェッショナルを対象に、必要な商品や設備をオンラインで簡単に購入できるプラットフォームを提供しています。

クローズド型BtoB EC「BEAUTY GARAGE」の成功のポイント

・商材から設備までワンストップで購入でき、効率よく必要なものを調達できる
・「国内最安値保証制度」を設けており、全ての商品をどこよりもやすい国内最安値で提供している
・大量一括仕入れや中間業者を通さない仕組みにより、低価格を実現している
・リアル店舗とECのハイブリッド運営を行っており、万全なサポート体制や安心感を担保している

ビューティガレージオンラインショップの成功のポイントには、得意な業界に特化したことやワンストップサービス、価格競争力、物流効率化、リアルとデジタルの融合などさまざまな要素が含まれています。

理美容業界というニッチな市場に特化し、顧客が必要とするすべてを揃えるプラットフォームを構築したことが、業界でのリーダーシップを確立する要因となりました。

3-3. アルカンプロショップ:高級食材のセミクローズド型BtoB ECの成功事例

出典:アルカンプロショップ公式サイト

アルカンプロショップ(株式会社アルカン)は、最高品質の食材やワインを事業者向けの卸価格で購入できるBtoB ECサイト「アルカンプロショップ」をセミクローズド型で展開しています。

商品ラインナップは誰でも閲覧可能ですが、価格の確認・購入はログインしなければ行うことができません。(別途、一般ユーザー向けのECサイトも用意されています。)

登録できるのはレストランやパティスリー、ホテルなど店舗を運営している方に限られており、フォアグラやキャビア、ワインなど世界中の高級食材・高級酒を最短2日で配達しています。

セミクローズド型BtoB EC「アルカンプロショップ」の成功のポイント

・飲食店が求める専門性の高い商品ラインナップを取り揃えて、一括して調達できる環境を提供している
・日本における西洋料理食材提供のパイオニアとして高品質かつ希少な輸入品を扱い、競合との差別化を図っている
・いつも「同じ商品を繰り返し注文する顧客」に簡単にオーダーしてもらえる仕組みを導入して、既存顧客の負担も軽減することに気をつけた

「アルカンプロショップ」の成功は、高級食材・高級酒という専門性の高い商材に特化し、クローズド型ならではの信頼性や柔軟性、効率性を最大限に活用した点にあります。

また、ECサイトの利便性とオフラインでのサポートを組み合わせたハイブリッドなサービス設計が顧客の満足度を高め、リピート取引を促進しています。

4.【クローズド型】BtoB ECサイトの成功事例3選


ここからは、会員登録しなければサイトにアクセスできないような「クローズド型」のBtoB ECサイトの成功事例を紹介していきます。
一般ユーザーはサイトにたどり着くことができず、登録した企業のみが利用可能な「限定型」のECサイトです

クローズド型のBtoB ECサイトは、販路拡大のためのECサイトではなく、既存顧客からの受注を効率化することを目的にした「受注システム型」ともいえます。
既存取引の効率化を重視しており、月間で複数回の継続取引のあるビジネスで効果が出やすいといえます。

価格や契約条件を個別にカスタマイズできるため、特定顧客とのリレーションシップを強化したい企業に向いています。

4-1. フランスベッド:インテリア業界のクローズド型BtoB ECの成功事例

ベッドやインテリア、介護用品・福祉用具の販売・レンタルを行うフランドベッド株式会社は、個人向けのBtoC事業と法人向けのBtoB事業をどちらも展開している企業です。

フランスベッド株式会社は、電話やFAXによる非効率な受注業務を効率化するために、Web受注システム型のBtoB ECを2020年から2月から本格的に導入しました。

受注システム型BtoB EC「フランスベッド」の成功のポイント

・電話やFAXなど完全アナログ作業だった受注業務を自動化することで、ミスや確認作業などを軽減できた
・ネットショッピング感覚で操作できるユーザーインターフェースが、利用者からも好評だった
・子会社からのFAX注文の80%をEC化して、月間2700分(45時間)の業務時間削減や1受注当たりで約2分の時短を実現した

子会社からの注文を自動化できるようになったものの、インテリア事業の注文全体のEC化率はまだ低い水準にあり、顧客メリットを訴えながら比率を引き上げていくかが課題となっているそうです。

参考:アラジンEC「ECサイト・web受発注システムの導入事例>フランスベッド株式会社 様」

4-2. コロンビア:展示会受注を効率化したクローズド型BtoB ECの成功事例

アウトドア・スポーツウェアメーカーの株式会社コロンビアスポーツウェアジャパンは、クローズド型のBtoB ECの仕組みを活用して、展示会受注オーダーサイトを構築しました。

同社は年2回の展示会で取引先を集めて、半年後や1年後に販売する商品を紹介してオーダーを受け付ける、という形式を取っているそうです。
ECを活用する以前は、加味のカタログで商品情報を提供し、FAXやExcelのオーダーシートに入力してもらって送ってもらう形でオーダーを受けていました。

この受注業務をBtoB ECに移行することで、デジタルカタログからそのまま展示会受注から出荷まで一貫して行えるサイトを構築することができました。

受注システム型BtoB EC「コロンビア」の成功のポイント

・アナログで行っていた展示会の受注業務を効率化することができた
・サイト上で在庫確認ができるため、在庫問い合わせも大幅に削減できた
・デジタルカタログで商品情報が正確かつタイムリーになった

もともとは在庫表を週1回作成・共有していましたが、取引先が見たいタイミングで在庫数を確認できるようになり、取引先側の利便性も上がり、売上にも直結している実感があるそうです。

参考:ecbeing BtoB構築事例「コロンビアが展示会受注をBtoB ECでDX化し業務効率を大幅改善」

4-3. ヤマハミュージックジャパン:パーツ販売を効率化したBtoB ECの成功事例

「ヤマハ英語教室」でも知られるヤマハミュージックジャパンは、ヤマハ株式会社100%出資の国内販売会社で、楽器や音響機器の卸販売も手掛けています。

ヤマハミュージックジャパンのカスタマーサポート部では、楽器や音響製品の販売店や修理業者などにサービスパーツを販売するためにBtoB ECサイトをオープンしました。

それまでは事業者向けのECサイトをインハウスで運営していましたが、在庫照会システムと注文用サイトが別のアプリケーションで動作していたこともあり、これらをクラウド型EC構築システムで一貫して管理できるようにしたそうです。

受注システム型BtoB EC「ヤマハミュージックジャパン」の成功のポイント

・なるべく手間なくヤマハ製品を修理できることにこだわり、パーツをいちいち調べなくても、修理事例から必要なパーツが分かるようにした
・販売店の商品種別契約をチェックして制御する機能をカスタマイズで組み込んだことにより、人手による注文が不要になり、運用開始後2か月でECサイト経由の受注率を60%まで向上できた
・FAX注文や返品処理に関してもより容易に入力できる仕組みを構築し、FAX注文の入力時間は約半分、返品処理は処理時間を限りなくゼロにまで減らすことができた

今後もより一層使い勝手の良いサイトを目指し、ECサイト経由の受注率80%を目指して、社内業務のさらなる効率化も実現していく予定だそうです。

参考:ebisumart「EC事業者様の声>ヤマハミュージックジャパンが BtoB-ECサイトでクラウドECシステムを選んだ決め手」

5. 事例を参考にBtoB ECサイトを構築する時の成功ポイント


BtoB ECサイトの成功事例を種類ごとに解説したところで、「事例を参考にBtoB ECサイトを構築する時の成功ポイント」を改めて記載していきます。

ただ単に成功事例を真似しても、ビジネスが上手く行くとは限りません。むしろ、単なるモノマネでは二番煎じとなり、失敗してしまうケースも多いでしょう。

ここで解説するポイントをしっかりと理解して、自社に合ったBtoB ECサイトの方向性を見つけてから、サイト構築に進むことをおすすめします。

5-1. BtoB ECの種類ごとのメリット・デメリットをしっかりと比較する

BtoB ECサイトの種類(オープン型・セミクローズド型・クローズド型)を決める際には、それぞれのメリットとデメリットをしっかりと比較した上で選ぶようにしましょう。

なんとなく「オープン型が良いと思った」「見られたくないからクローズド型にした」など、十分に検討しないままに選んでしまうと後悔する羽目になりかねません。

以下の内容を参考に、それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上でどの種類を選択するか考えましょう。

オープン型のBtoB ECサイトを選ぶメリット

・多くの企業やユーザーがアクセス可能なため、集客力が高く、新規顧客獲得のチャンスが広がります。
・検索エンジン経由での流入も期待できるため、商品やサービスの認知度向上にも貢献します。

オープン型のBtoB ECサイトを選ぶデメリット

・競合との価格競争が激化しやすく、自社の強みを伝えきれない場合があります。
・また、不特定多数のユーザーが利用するため、セキュリティリスクが比較的高くなる点に注意が必要です。

オープン型の場合、新規客にリーチしやすいメリットがあるが「価格競争がシビアになる」というデメリットがあり、メリット・デメリットを十分に考慮する必要があります。

セミクローズド型のBtoB ECサイトを選ぶメリット

・サイトの内容(商品情報やサービス概要)は公開されているため、新規顧客の興味を引きやすくなりますが、価格や取引条件を非公開にすることで競争の激化を抑える効果があります。
・購入には会員登録が必要なため、購入者データを活用したマーケティングや顧客管理がしやすいのも利点です。
・また、価格の部分以外のサイトの内容は公開状態となるため、新規顧客の取り込みや検索エンジンからの流入も見込めます。

セミクローズド型のBtoB ECサイトを選ぶデメリット

・オープン型と比べると、顧客ごとの価格や取引条件の管理などBtoBの商習慣に合わせたサイト改修が必要となるため、サイト構築費用や運用コストが増加する可能性があります。また、購入を会員に限定しているため、利用者の範囲がある程度絞られることで集客が制限される場合があります。
・内容を公開しているため、競合企業に情報を把握されやすいというリスクがあります。

セミクローズド型は、新規顧客開拓を行いながら、価格や取引条件を顧客によって出し分けるなどの対応もでき、まさにオープン型とクローズド型のいいとこ取りができるECサイトとなります。

クローズド型のBtoB ECサイトを選ぶメリット

・特定の取引先や顧客のみに利用を限定することで、取引の安全性が向上し、信頼関係を深めやすくなります。
・価格や商品情報が非公開であるため、競争を抑えつつ、柔軟な取引条件を設定しやすいです。
・FAXや電話による受注をECサイトに移行できれば、大幅な業務効率化を図ることができます。

クローズド型のBtoB ECサイトを選ぶメリット

・新規顧客の獲得が難しく、既存顧客に依存しがちです。
・また、アクセスを完全に制限するため、広範囲な集客や拡販の可能性が限られる点も課題となります。

クローズド型では新規顧客の開拓ができないため、業務効率化が大きな目的となります。

これらの違いを踏まえ、事業戦略や顧客層に適したECサイトの種類を選定することが、長期的な成功に向けた鍵となります。
それぞれの特性を十分に比較し、メリットを最大化しつつデメリットを軽減する工夫を行いましょう。

5-2. 自社がBtoB ECで実現したい課題・目的を明確にする

自社がBtoB ECで実現したい課題・目的を明確にすることが、BtoB EC成功の大きなポイントとなります。
なぜならば、実現したい課題やBtoB ECの目的を十分に検討していくことで、構築するECサイトの方向性が決まってくるからです。

例えば、ECを始めたい目的が「新規顧客獲得」ならば、クローズド型ではなくオープン型やセミクローズド型でのBtoB ECサイト構築が必要となります。
一方で、既存顧客からの電話・FAX注文を電子的な方法に移行して効率化を図りたいならば、クローズド型での構築が向いているでしょう。

このように、「なぜBtoB ECサイトを構築したいのか」を突き詰めていくことで、「どのような機能が必要なのか」など詳細な仕様も決まってくるはずです。
どこまで突き詰めることができるかが、BtoB ECの成功を左右しますので、しっかりと検討していきましょう。

5-3. BtoB ECの種類に応じた適切なサービスを選ぶ

BtoB ECの種類に応じた適切なサービスを選ぶことも、EC戦略においてとても重要なポイントとなります。
例えば、顧客獲得を目的とするのか、業務効率化を目的とするのかによって、選ぶべきECカートも変わってくるからです。

例えば、受注システムの代わりにもなるようなクローズド型のBtoB ECサイトを作りたかったのに、商習慣に合わせたカスタマイズができないタイプの安価なECカートを選んでしまうと、期待した効果を得ることができず後悔することになります。

ECサイトの種類に応じた適切な構築方法やおすすめサービスについては、「BtoB ECサイト構築はどうやる?3つの形態と4つの方法を解説」の記事でも紹介しているのでぜひ参考になさってみてください。

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6.まとめ

本記事では、BtoB ECサイトの成功事例について解説してきました。

最後に、今回紹介したBtoB ECサイトの成功事例をまとめた表を再掲します。

◆BtoB ECの成功事例11選

サービス名称取り扱い商品事例の特徴・ポイント
オープン型ASKUL(アスクル株式会社)オフィス用品など・翌日配送という画期的なサービスでBtoB ECの先駆者となった
ミスミ(ミスミグループ)機械部品やFA部品など・3千万点を超えるラインアップで製造業の多様なニーズに対応
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ヤマハミュージックジャパン

楽器や音響機器のサービスパーツ販売・使いやすさにこだわり、運用開始後2か月でECサイト経由の受注率を60%まで向上

◆事例を参考にBtoB ECサイトを構築する時の成功ポイント

・BtoB ECの種類ごとのメリット・デメリットをしっかりと比較する
・自社がBtoB ECで実現したい課題・目的を明確にする
・BtoB ECの種類に応じた適切なサービスを選ぶ

BtoB ECサイトをスタートさせる際には、過去に実際に成功した事例がとても参考になります。
しかしながら、やみくもに成功事例を真似するだけではうまくいくとは限りません。

自社がBtoB ECで実現したい課題・目的を明確にして、最適な構築方法を検討することが大切です。

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