「展示会の企画はどのように行えば良いのだろう?」
「決裁のためにも、今後のビジネスのためにも魅力的な企画を立案したい。」
展示会の出展を企画するにあたり、そのようにお考えではありませんか?
展示会への出展が初めて、あるいは数年ぶりの試みである場合、企画立案の仕方や企画書へのまとめ方に迷ってしまいますよね。
ただ、上司や社内の理解を得られるように企画を立てることは、実はそんなに難しいことではありません。
次の8つの手順に沿って主要な項目を策定し、企画書に落とし込むだけで十分です。
とはいえ、自社の収益に繋がる形で展示会への出展を企画したいなら、ポイントを押さえながらこうした手順を進めていかなければなりません。
そこで今回は、「展示会の出展を成功に導く」企画の作り方についてお話しします。
本記事の内容
- 展示会の企画を立案する基本手順
- 成功する展示会の企画を立てるための三大原則
- コスト以上の利益を出すために企画立案時に守るべきポイント
ぜひ最後までお読みいただき、展示会の出展を成功に導くための企画を作り上げていきましょう。
目次
1. 展示会の企画を立案する基本手順8ステップ
冒頭でもお話しした通り、以下の8つの手順で主要な事項を策定すれば、ひとまず周囲の理解を得られる展示会の企画を立てることができます。
STEP① | 出展目的を明確にする |
STEP② | 出展目的に応じてターゲットを明確にする |
STEP③ | 出展先の展示会を決める |
STEP④ | 展示物を決める |
STEP⑤ | コンテンツを決める |
STEP⑥ | 必要な予算を算出する |
STEP⑦ | 具体的な数値目標を決める |
STEP⑧ | スケジュールを策定する |
あとは以下のような企画書のテンプレートに、策定した内容を落とし込めば、企画としての形も整います。
<こちらのテンプレートは以下よりダウンロードしていただけます。>
▶︎展示会企画書テンプレートをダウンロード
※テンプレート編集の権限付与はできませんので、ダウンロードしてご使用ください。
展示会の出展を成功させるための企画を立案するには、こうした基本的な手順をしっかりと把握しておくことも必要不可欠です。
そこでまずは、このような基本手順をステップごとに解説していきます。
※この記事では、成功する企画にするためのポイントも「3. 展示会でコスト以上の利益を出すために企画立案時に守るべき10個のポイント」で解説します。より質の高い企画にするため、ぜひそちらにも目を通した上で、実際の企画書作成を行うようにしてください。
1-1. 【STEP①】出展目的を明確にする
企画を立案するにあたり、まず最初に行うべきことは、出展目的を明確にすることです。
出展目的は、展示会の企画を立てる上で最初にはっきりさせておかなくてはなりません。
「何のために出展するのか」という出展目的は、すなわち「何のために展示会への出展を企画するのか」という企画意図でもあります。
企画意図(=出展目的)はあなたの企画の軸となる最重要項目と言っても過言ではありません。この後に決めていくべき各主要事項の指針にもなるので、必ず最初に明確化しておきましょう。
一般的に、展示会への出展目的は以下の3パターンに分けられます。
①新規の営業案件を獲得する
※見込み顧客(リード)あるいは商談の獲得を目的とするパターン
②企業/製品の認知度を高める
③既存顧客との関係性を向上させる
まずはこれらの中から、今回のあなたの企画意図に近いものを選びましょう。
その上で、自社の状況に応じて出展目的に肉付けをしていきます。
例えば、新製品をリリース予定であれば、各出展目的は次のようになります。
①新規の営業案件を獲得する ②企業/製品の認知度を高める ③既存顧客との関係性を向上させる |
このように、まずはあなたの企画意図に近い出展目的パターンを選び、自社の状況に応じて出展目的を具体化させていくようにしましょう。
「展示会に出展する目的は大きく3つ|目的別の成功事例も解説」では、目的ごとの出展事例なども紹介していますので、ぜひこちらも参考にしてみてくださいね。
1-2. 【STEP②】出展目的に応じてターゲットを明確にする
出展目的が固まったら、次にターゲットを明確にしていきます。
ターゲットを明確にすることは、企画を実施する「相手」のイメージを確立することと同義です。
この「相手」のイメージがはっきりしていないと、どのような展示やコンテンツが魅力的なのかを判断しづらいですよね。
このようにターゲットも企画立案において今後の指針となるため、出展目的の次に明らかにしておきましょう。
以下の通り、出展目的からその相手をイメージすると、ブレの無いスムーズなターゲット設定ができますよ。
目的: |
1-3. 【STEP③】出展先の展示会を決める
次に、出展する展示会を決めていきます。
以下のようなサイトから開催予定の展示会を検索することができるので、出展目的とターゲットに適した展示会を探してみましょう。
◆全国の展示会を探す ◆地域の展示会を探す ・各地方自治体の公式サイト |
まずはこのようなサイトから出展目的とターゲットに見合った展示会をピックアップし、さらに
・開催日程(十分な準備期間を設けるため、半年以内に開催されるものは避ける)
・規模(来場者数)
・出展料
といった項目もチェックした上で展示会を決めていきます。
1-4. 【STEP④】展示物を決める
出展先の展示会が決まったら、ブース内の展示物について決めていきます。
展示物とは、来場者がいつでも自由に見ることができるようにブース内に設置するものを指します。例えばモニターで流す動画や、製品の特性を説明するパネルなどがこれに当たり、その役割は、来場者に提供すべき情報を表現することと言えます。
そのため展示物を決める際は、STEP①・②で設定した出展目的とターゲットを念頭に「どのような情報を提供すべきか」を検討して、その表現方法である展示物を決めていきましょう。
一般的な展示物としては以下のようなものが挙げられます。これらの中から、提供すべき情報が伝わりやすいものを選ぶようにしてください。
一般的な展示物の例 |
◆製品の実物 など |
例えば、端材から作った建材の認知度を高めるために(目的)SDGsやCSRへの取り組みが盛んなハウスメーカー・建設会社をターゲットとしているのなら、「建材の実物」と「建材の概要・利点を解説するパネル/動画」を展示しておくと分かりやすいですよね。
パネルや動画にSDGsのロゴも盛り込めば、一目でその建材がSDGsに関係することも分かるはずです。
このように、出展目的とターゲットを基準にしつつ「どのような情報をどのように表現するか」を検討することで、展示物を決めていきます。
1-5. 【STEP⑤】コンテンツを決める
次に、ブース内のコンテンツについても決めていきます。
このコンテンツとは、スタッフによってアテンドされるちょっとしたイベントのことを指します。例えば製品の実演や、くじ引きがこれに当たります。
展示会でよく実施されるコンテンツには様々なものがありますが、それぞれ以下のような役割を持つものに分類できます。
・来場者に提供すべき情報を表現する役割
・来場者にブースを訪れてもらうきっかけを作る役割
・上記両方の役割
また、それぞれが持つ役割ごとに向いている出展目的も違ってきます。
そのため、出展目的に適した役割を持ったコンテンツを選ぶことが大切です。
それぞれの役割を持つコンテンツ例と、相性の良い出展目的を以下の表にまとめたので、コンテンツを決める際に参考にしてみてくださいね。
役割別コンテンツ例 |
◆来場者に提供すべき情報を表現するコンテンツ ◆来場者にブースを訪れてもらうきっかけを作るコンテンツ ◆両方の役割を果たすコンテンツ |
1-6. 【STEP⑥】必要な予算を算出する
続いて、展示会の出展に必要な予算を概算します。
予算を算出する際には、以下の展示会に必要な費用と目安を参考にしてみてください。
展示会の出展にかかる費用と目安 |
◆出展料(展示会主催者へ支払う料金)/1小間あたり30万円 ◆ブース製作費/20〜100万円 ◆ブース施工費/10〜30万円 ◆広告費/10〜60万円 ◆運営費/20〜40万円 |
こちらに記載したのはあくまで費用目安です。
より正確に予算を算出するために、ブース製作費や施工費など外部委託するものについては実際に見積もりを取ってみましょう。
また出展料については、出展する展示会の情報サイトに記載されている正確な料金を確認してください。
これらの出展にかかる費用に加えて、STEP③で決めた展示内容・コンテンツに別途費用が必要なら、その費用も加味して全体の予算を算出します。
お金回りのことは、決裁を得る上でしっかりと把握しておく必要がありますので、「展示会の出展にかかる費用を徹底解説!費用を決める3つのステップ」の記事にもぜひ目を通してみてくださいね。
1-7. 【STEP⑦】具体的な数値目標を決める
予算が算出できたら、次に決めるべきなのが展示会で目指す数値目標です。
この目標値は、展示会への出展がどれくらいの効果を予定した企画であるのかを、具体的な数値で示すものになります。
具体的な数値目標を決めるには、以下の手順を踏む必要があります。
◆出展目的に応じて指標とすべき項目を選択する
◆必要な最終売上金額から具体的な数値を割り出す
1-7-1. 出展目的に応じて指標とすべき項目を選択する
具体的な目標数値を割り出す前に、まずは「どの指標を追いかけるか」を決める必要があります。
例えば、一般的に展示会で追いかけるべき指標としては以下のようなものが設定されます。
①ブース来場者数/ブース内コンテンツ参加者数 |
これらの中から、出展目的に応じて追うべき指標を選びます。
例えば、新規の営業案件獲得が主な出展目的なら、③・④・⑤のいずれかが目指すべき値となることはお分かりかと思います。
また、企業や製品の認知度を高めることが目的であれば、①・②を優先的に追求するべきです。
一方、既存の(見込み)顧客との関係性向上を目的とする場合の達成度は、具体的な数値で測るのが難しいところではありますが、すでに接点のある企業が対象となっているので④や⑤を目指してみてください。
1-7-2. 必要な最終売上金額から具体的な数値を割り出す
指標が決まったら、具体的な数値も割り出していきます。
目標数値はなんとなくで割り出すのではなく、「必要な(展示会きっかけの)売上金額」から逆算して決めます。
※会社側から必要な売上金額や利益の額を提示されていない場合は、「3-7. 具体的な数値目標を決める際のポイント」を参考に、最終的に必要となる売上金額も算出してみてください。
例えば、有効名刺獲得数を追いかけるなら、以下のような順番で計算していけば達成するべき数値(獲得すべき名刺の枚数)が明らかになります。
①必要な売上額から必要な受注数を計算 ②受注数から必要な商談数を計算 ③商談数から必要な名刺枚数を計算 |
少し手間に感じられるかもしれませんが、売上に繋がる部分は決裁権を持つ方が最も気にかけるところです。
数値目標はしっかりと計算して提示し、最終的に必要な売上の獲得を見込める企画であることをアピールしましょう。
1-8. 【STEP⑧】スケジュールを策定する
企画作成の仕上げとして、スケジュールを策定します。
企画段階では日毎の細かいタスクまで組み込んだスケジュールである必要はありませんが、現段階から展示会当日までの全体の流れが把握できるものは用意しなければなりません。
そのためには、大きく以下の4つの軸でスケジュールを検討し、やるべきことを月単位で記載していきましょう。
◆出展に関わる事務対応(出展申し込みなど) |
いつ頃までに何をしておくべきかは、「【図解】展示会の成功は準備で決まる!準備の流れと成功に導く方法」の記事で紹介しているので、スケジュールを策定する前にぜひ目を通してみてくださいね。
2. 成功する展示会の企画を立てるための3大原則
ここまでで、企画を立案するための基本的な手順はお分かりいただけたかと思います。
ただ、あなたに求められているのは「企画を作ること」だけではなく「企画を成功させること」かと思います。
そこでここからは、成功する展示会の企画を作るためにはどうすれば良いかを考えていきましょう。
そもそもあなたは、展示会の企画が「成功した」と言えるためには何が必要だと思いますか?
「出展目的が達成できること」、「リードを獲得できること」など、思い当たるものは色々あるかもしれませんね。
もちろんそれらも成功の要素ではありますが、より具体的に言えば、展示会の企画の成功とは、
「展示会の費用を差し引いても利益が出ること」
です。
企業で行われる全ての企画は、最終的には売上に繋げるために立案されるものです。展示会の企画についてもそれは同じで、認知の拡大や見込み顧客の獲得を経て売上を得ることが最終的なゴールのはずですよね。
ただ、売上があればOKというわけではなく、展示会にコストがかかる以上、そのコストを回収できるだけの利益が上げられないと「展示会へ出展する企画が成功した」とは言えません。
このことを念頭に、ここでは「成功する」展示会の企画を立てるための3つの原則を紹介します。
成功する展示会の企画を立てるための3つの原則 |
|
展示会の企画を成功に導くため、企画を立案する際はこの原則を決して忘れないようにしてくださいね。
2-1. 原則①集客にこだわる
展示会の企画を作る際には「どうすればブースに人を集められるか」という視点を常に持ち、集客にこだわるようにしましょう。
集客数を増やすことは、言い換えれば、最終的に顧客や見込み顧客となる企業の母数を増やすことです。
次の図を見てもらえれば分かる通り、最終的に1件でも多く成約を取り付けるために、この母数を増やしておくことは欠かせません。
◆母数(集客数)が少ない場合
◆母数(集客数)が多い場合
最終的な成約件数が多ければ、その分展示会経由の売上も大きくなりますよね。そうすると、展示会企画の成功要件である「展示会の費用を差し引いても利益が出る」ことを実現しやすくなります。
このように集客にこだわりを持つことは、成功する展示会企画には欠かせないことなのです。
「展示会の集客を成功させるポイントと具体的な集客方法17つを紹介」では具体的な集客方法も紹介していますので、どうすれば人を集められるかイメージを固めるのにぜひ役立ててください。
2-2. 原則②費用にシビアになる
展示会の企画を立てる際には、費用にとことんシビアになりましょう。
お伝えしている通り、展示会の企画は、「展示会の費用を差し引いても利益が出る」ことではじめて成功と言えます。
そのためには、もちろん集客にこだわって売上を上げることも必要ですが、展示会にかかる費用を抑えることも重要なのはお分かりいただけるかと思います。
特に予算を検討する際には、ムダな費用や抑えられる費用は無いか徹底的に追求し、得るべき利益のハードルをできるだけ下げるようにしてください。
2-3. 原則③出展目的とターゲットを軸にする
企画立案の基本手順の紹介でもお伝えしてきたことではありますが、出展目的とターゲットを軸に企画を作っていきましょう。
ここまでお読みいただいていれば、この原則が重要であることは理解されているかとは思います。
しかし、他の2つの原則に囚われすぎると、「出展目的とターゲットを軸にする」ことが疎かになりがちなのです。
例えば、集客にこだわりを持つあまり、企画を立てている途中で出展目的が「ブースに人を集めること」にすり変わってしまうということもあり得ます。
そうなると、本来の出展目的やターゲットと噛み合わない展示内容やコンテンツを企画してしまうことになりかねません。
また費用にシビアになりすぎれば、必要なコストまで削ってしまい、最終的にターゲットの興味を惹けないブースや展示・コンテンツができあがる可能性もあるでしょう。
そのような事態を避けるため、「集客にこだわる」、「費用にシビアになる」という原則は守りつつも、あくまで「出展目的とターゲットを軸にする」ということを決して忘れないでいただきたいのです。
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3. 展示会でコスト以上の利益を出すために企画立案時に守るべき8個のポイント
展示会の企画を成功させるための原則も分かり、早速企画立案に取り掛かろうとお考えかもしれませんが、あと少し待ってください。
というのも、ここでは、先ほどご紹介した原則に沿って企画を作るために、企画立案の各ステップごとに守るべきポイントをお伝えします。
企画の立案を始める前に、これらのポイントについてもぜひ把握しておきましょう。
3-1. 【出展目的を明確にする際のポイント】まず自社の課題を洗い出す
出展目的をはっきりさせる際には、自社の課題を洗い出すところから始めてみましょう。
出展目的、つまり企画の意図の背景に自社の課題があることで、その出展目的(企画意図)を掲げる理由まで明確にすることができます。このことで、あなたの提示する出展目的がよりブレにくい強固な軸となってくれるのです。
例えば、あなたの会社で「ターゲット業界に新製品が認知されていない」という課題を抱えているとしましょう。この課題は、競合とは一線を画した画期的な新製品の売り上げが伸び悩んでいる事実からも明らかです。
あなたはこの課題を解決するために、「ターゲット業界での新製品の認知度アップ」を目的とした展示会の出展企画に取り組んでいる…とイメージしてみてください。
こうした背景と共に出展目的を設定すると、単に「ターゲット業界で新製品の認知度アップ」を目的として提示しただけの場合より、目的意識がより鮮明になると思いませんか?
このように、出展目的の背景に自社課題があることで高い目的意識を持つことができ、企画の途中で出展目的とのズレが生じることを避けられるのです。
3-2. 【ターゲットを明確にする際のポイント】ペルソナを設定する
ターゲットを設定する際には、そのターゲット像をできるだけ具体的にイメージするようにしてください。
これは、いわゆる「ペルソナ」を設定していく作業になります。
ペルソナとは |
ペルソナを設定し、その架空の人物のニーズに合わせて企画立案を進めることで、ターゲットが関心を持ってくれる展示内容やコンテンツを企画しやすくなります。
例えば展示会からは少し話がそれますが、「企業の社長」が喜ぶ手土産を考える際に、自社の社長や面識のある他社の社長を思い浮かべた方が、どういう手土産を喜んでくれるかイメージがつきやすいですよね。
ペルソナを設定するのも、そのようにスムーズかつ的確に、ターゲットに刺さる企画を作っていくために大切なことなのです。
手早くペルソナを作るために、以下に設定しておくべき項目をまとめたので、こちらを参考にターゲット像を具体化してみてください。
◆名前・年齢 |
これらの項目を仮定してペルソナを作り、ペルソナに向けた企画を進めていきましょう。
3-3. 【出展先の展示会を決める時のポイント】自社業界に合わせて出展する
続いて、出展先の展示会を決める時に守るべきポイントをご紹介します。
3-3-1. 競合と明確に差別化できるなら自社業界に合わせて決める
展示会で主に紹介したい製品やサービスが、競合他社の製品/サービスと明確に差別化できる場合は、自社業界に合わせて出展する展示会を決めましょう。
例えば次のようなイメージです。
・会計システムを開発する会社なら ・建材の会社なら |
このように業界に合わせて展示会を決めると、競合他社も多く出展するため、激しい集客競争が予想されます。
それでも、展示会で紹介する製品/サービスが競合と差別化を図れる革新的なものである場合は、集客競争で優位に立ちやすくなるのです。
そのため、競合との差別化が十分に可能な製品やサービスを紹介するのであれば、ターゲット来場者も多く訪れる自社業界の展示会を選ぶようにしてください。
3-3-2. 差別化が難しい場合は競合の出展が少ない展示会を狙う
逆に、製品/サービスの差別化が難しかったり、すぐには違いが伝わりづらいという場合には、より競合の出展が少ないであろう展示会を選択しましょう。
例えば、オフィス向けの防災用品を製造・販売している企業が、
「複数の防災用品をまとめた新たなセット商品の営業案件獲得」
を目的に出展する場合について考えてみましょう。
この企業の出展候補として次の2つの展示会があるとします。 ◆オフィス防災EXPO この場合、より多くのターゲットが来場しそうなのは、もちろんオフィス防災EXPOです。 そうなると、競合だらけの会場内で自社ブースに集客していくハードルはかなり高いものとなります。 一方で、総務・人事・経理Weekでは、ターゲットとなるのは経営者か総務に携わる来場者に限られますが、出展企業の業種は多岐に渡るため、近隣ブース同士での集客競争は起こりづらくなります。 全ての出展者が防災関連の製品を紹介しているということもないので、防災に関心の高い経営者や総務従事者の目にもつきやすいです。 |
このように考えていくと、この企業は総務・人事・経理Weekに出展した方が当日の集客に取り組みやすくなることが推測できますよね。
こちらの例と同じく、製品やサービスに際立った差別化ポイントが無い場合には、より競合の出展が少ない展示会を選んでみると良いですよ。
3-4. 【展示物を決める際のポイント】1〜2小間の小規模なブースを想定しておく
もしあなたの会社がこれまで展示会に出展したことがないのであれば、1〜2小間の小規模なブースを想定して展示物を決めるようにしてください。
小間数が大きくなればなるほど必然的に展示物も増えるので、その分の費用と労力もかかってきます。
また出展料や、ブースの製作費も高くつきます。
展示会のノウハウを持たない中で、いきなりそのような大きな労力と予算を割くのはリスクも高く、成功から遠のいてしまいます。
そもそも社内会議での決裁が得られない可能性も高いです。
そのような状況を避けるためにも、最初は規模も費用も抑えて手堅く成功を目指すべきです。
そのために、ブース内の展示も1〜2小間の規模を前提に企画するようにしましょう。
3-5. 【コンテンツを決める際のポイント】来訪者にメリットを提供できるようにする
ブース内で実施するコンテンツは、ブース来訪者にメリットを提供できるように検討しましょう。
幅広く集客を行うためには、ブース来訪によって得られるメリットを設けることが効果的だからです。
あなたも来場者の立場になれば、製品/サービスへの関心がかなり高いわけではなくとも、次のようなブースについ立ち寄ってしまうのではないでしょうか。
出展目的が <企業/製品の認知度拡大><既存顧客との関係性向上> |
◆イベントでのお菓子・景品配布を行っている |
さらに、製品/サービスへの関心が高ければ、次のようなブースに積極的に訪れてみたくなりませんか。
出展目的が <新規の営業案件獲得> |
◆購入/利用代金の割引券を配布している |
人はどうしても利点・メリットに引き寄せられてしまうものです。
集客のためには、そこを突いて、メリットを提供できるようなコンテンツを企画するようにしてください。
3-6.【 必要な予算を算出する際のポイント】相見積もりを取る
続いて予算を算出する際に守るべきポイントをご紹介します。
3-6-1. 相見積もりを取ってできるだけ安く抑える
可能な限りコストを抑えるため、外注が必要な費用については企画段階から相見積もりを取るようにしましょう。
企画段階ではブースの素材や設計が決まっていないので、提出される見積もりも概算にはなりますが、同じ条件で各業者に見積もりを出してもらえば、どこが安くて大体どれくらいの費用感になるかは分かるはずです。
そのように相見積もりで判明した安い基準での費用感を、算出する予算にも反映するようにしてください。
ちなみに見積もりを依頼する際には、ブースのサイズとイメージが伝わるような画像があるとスムーズなので、「展示会ブース 事例」などで検索して、展示やコンテンツを無理なく行えそうな形のブース画像を元に見積もりをしてもらうと良いですよ。
3-6-2. 可能なものは内製する予定にする
さらに、予算を算出する際には、対応可能な制作物を内製予定にしておきましょう。
もちろんブースの製作や施工は専門業者に任せるべきですが、展示するパネルの作成などは部分的に内製することも十分可能です。
例えばパネルにしたいリーフレットやチラシなどのデータを持っているのであれば、パネル印刷に対応している印刷会社(ラクスル、プリオなど)にデータを入稿して出力だけしてもらうという方法があります。
これなら元からあるデザインデータをサイズ調整して入稿するだけですが、別途制作会社に作ってもらうよりは随分安くつくはずです。(目安:2,000〜3,000円/1枚)
自社にデザイナーが在籍しているのであれば、内製できるものの範囲はさらに広がりますよね。
このように、制作工程の一部だけでも内製が可能であれば、その予定を組み込んだ上で予算を算出していきましょう。
3-7. 【具体的な数値目標を決める際のポイント】損益分岐となる売上額を計算しておく
続いて具体的な数値目標を決める際のポイントについてご紹介します。
目標値を決める際には、損益分岐となる売上額を計算しておきましょう。
これは、特に展示会きっかけの売上がいくら必要かを会社側から提示されていない場合は必ずやっておくべきです。
お伝えしている通り、「展示会の費用を差し引いても利益が出る」ことで展示会の企画は成功と判断できます。
このためには、「展示会の費用を差し引くと利益がゼロになる」損益分岐点を知った上で、少なくともそれ以上の(展示会きっかけの)売上金額が必要となります。
そして、数値目標も、損益分岐点以上の売上金額が見込めるように設定しておかなければなりません。
そのために、以下のような大まかな計算でも構わないので、損益分岐となる売上額を算出しておくようにしましょう。
①損益分岐となる利益額=展示会の予算 例)展示会の予算が200万円、営業利益率が25%の会社の場合 ①損益分岐となる利益額=200万円 つまり、展示会の企画が成功するためには、800万円より大きな(展示会きっかけの)売上金額が必要。 |
3-8. 【スケジュールを策定する際のポイント】半年以上のスパンで考える
最後に、スケジュールを策定する際に守るべきポイントについてお伝えします。
スケジュールを検討する際には必ず半年以上のスパンで考えるようにしてください。
余裕を持って入念に準備を行うためにはもちろん、集客や費用の面でも半年は準備期間が必要だからです。
集客にこだわって取り組むのであれば、会期の3ヶ月前を目安に出展告知を行う必要があります。
告知用にコーポレートサイトにページを追加したり、専用のサイトを用意するとなると、さらに1〜2ヶ月前には動き出さなければなりません。にも関わらず半年未満で準備を進めるとなると、告知開始時期が後ろ倒しになる可能性もあり、その分告知を目にしてもらう機会も減ってしまいます。
また費用の面でも、納期が短ければ抑えることが難しくなってきます。短納期になればなるほど、製作会社は一気に労力を費やさなければならず、そのために他の依頼を断る必要も出てくるためです。
このように、集客や費用のことも考えて、スケジュールを策定する際には、キックオフを展示会会期の半年以上前にしておく必要があるのです。
4. 展示会の企画を成功させるならオンライン展示会もおすすめ
ここまで、出展者も来場者も会場に赴くリアル展示会の企画についてお話をしてきましたが、実は成功する企画を作りたいと考えているならオンライン展示会もおすすめです。
オンライン展示会であれば、企画を成功させるための「集客にこだわる」「費用にシビアになる」という原則を守りやすいからです。
それは、オンライン展示会に以下の利点があるためです。
|
それぞれ解説しますね。
4-1. 見込み度の高い顧客に見てもらいやすい
Web上で完結するオンライン展示会なら、来場者が場所や時間の制約を受けることなく自由に閲覧することができます。
そのため、成約見込みは高いけれど遠距離圏の(見込み)顧客や国外に出張している担当者にも見てもらいやすくなります。
また、オンライン展示会用のプラットフォームを利用して、自社やグループでオンライン展示会を主催したり、独自でクローズドなオンライン展示会を実施すれば会期を自由に設定することもできます。Web上での常設展示も可能です。
このような形でオンライン展示会を実施すれば、「タイミングが合わない」ということも起こりません。
このように、場所や時間に囚われることなく閲覧可能なオンライン展示会なら、見込み度の高い顧客を取りこぼさない集客が実現するのです。
4-2. 必要な予算を下げられる
オンライン展示会なら、リアル展示会に比べて少ない予算で企画を立てることも可能です。
次の通り、リアル展示会でブースを出展するために必要な費用の一部が、オンライン展示会では不要になるからです。
リアル展示会で必要な費用安 | オンライン展示会で必要な費用 |
◆出展料 | ◆出展料:自社開催なら不要 |
このようにオンライン展示会では、ブース施工費と運営費(会期中の人件費や交通費、宿泊費)は完全に不要となります。
また、プラットフォームを利用して展示会を自社やグループで主催すれば、出展料(展示会の主催者に支払う料金)もカットできます。
ブース製作費については、物理的なブースを作る代わりに、Web上にブースを作成・実装する費用がかかるのですが、出展にかかるコスト全体で見れば大幅に削減できることは言うまでもありません。
さらに、展示で使うパネルや配布チラシなどの制作物にかかる費用も、印刷が不要となるので抑えることが可能です。
展示会の企画を成功に導くためには費用にシビアになる必要がありますが、オンライン展示会であれば容易にこの原則を実践することができますよね。
\「成功する」展示会を企画するなら/ |
「成功する形で展示会の企画を立てたい」という場合は、オンライン展示会プラットフォーム「WONDERLINE」を利用したオンライン展示会を企画してみませんか? WONDERLINEは、オンライン展示会がはじめてのお客様にも使っていただきやすい「お客様に寄り添ったオンライン展示会プラットフォーム」です。 そんなお客様に寄り添うWONDERLINEだからこそ、成功と呼べるオンライン展示会の開催が実現します。 WONDERLINEの「展示会企画を成功に導く」3つのポイント ①運営事務局が手厚くサポート ・利用方法のレクチャー この他、ご不明点や疑問がある場合はその都度対応させていただきます。 ②企画を成功に導くために必要な機能をオールインワンでご提供 ・オンライン名刺交換 もちろんこの他にも多彩な機能のご提供が可能です。 ③来場者に「刺さる」コンテンツ作成もまとめてご依頼可能 ・来場者に伝わるコピーライティング 等の制作をオンライン展示会プラットフォームのご提供と併せてワンストップでお任せいただけます。 このことが、お客様企業の費用負担・労力負担の軽減に繋がります。 WONDERLINEはあなたの会社の展示会企画を、オンライン展示会を通して成功に導きます。 オンライン展示会も視野に入れて展示会の企画を立案されるなら、ぜひ下記よりWONDERLINEについて詳しくご覧になってみてください。 |
5. まとめ
展示会の企画について、どのように立案していけば良いかお分かりいただけたでしょうか?
最後に今回の内容をおさらいしておきましょう。
まず、展示会の企画を立てる基本手順は以下の通りです。
STEP① | 出展目的を明確にする |
STEP② | 出展目的に応じてターゲットを明確にする |
STEP③ | 出展先の展示会を決める |
STEP④ | 展示物を決める |
STEP⑤ | コンテンツを決める |
STEP⑥ | 必要な予算を算出する |
STEP⑦ | 具体的な数値目標を決める |
STEP⑧ | スケジュールを策定する |
この内容を企画書に落とし込むことで、周囲の理解を得られる企画ができるはずです。
ただ、展示会を成功させる、つまり「展示会の費用を差し引いても利益が出る」ためには、各ステップにおいて以下のようなポイントに気をつける必要があります。
また展示会の企画を成功させたいのなら、見込み度の高い顧客に見てもらいやすく、コストも抑えられるオンライン展示会もおすすめです。
あなたも早速、成功する展示会の企画に取り掛かってみてくださいね。
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