Matterport(マーターポート)は、あらゆる空間を3Dでスキャンし、リアルなバーチャルツアーを作成するためのデジタルツインプラットフォームです。
この記事では、Matterportの撮影に使用されるカメラの種類から、Matterport Pro2カメラとPro3カメラの機能比較、撮影方法、撮影の注意点について詳しく紹介します。
本記事を読んで分かること |
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1.Matterportのカメラ
Matterportは、360度撮影のできるカメラさえあれば作成できるわけではありません。
この章では、以下について紹介します。
- Matterportの撮影ができるカメラ
- カメラを操作するために必要なデバイス
- キャプチャ用のアプリ
- Matterportを利用するためのプラン
1-1. Matterportの撮影ができるカメラ
Matterportの撮影には、専用カメラからスマートフォンまで、さまざまなカメラが使用できます。
画質や対応機能が異なるので、撮影する空間の広さや求めるクオリティにあわせて選びましょう。
主要なカメラには、以下のものがあります。
- Matterport Pro2: 屋内空間の撮影に適した、4K画像と正確な測定が可能なプロ級の3Dカメラ。画質はPro3と変わらないので、屋内や天井が高すぎない空間であればPro2で問題ない。
- Matterport Pro3: LiDAR※センサーを搭載した、屋外撮影が可能なカメラ。Pro2と同レベルの4K画像が撮影でき、より広範囲を短時間でスキャン可能。
※ LiDAR(ライダー:Light Detection And Ranging)とは:長距離レーザーセンサーで空間の距離を測る測距技術。日光の影響を受けないため、屋外でも撮影できる。
- Theta/Insta 360などの全天球カメラ: 一般的な360度カメラもMatterportのプラットフォームに対応している。小型で軽量なので、手軽に利用できるが、画質・測定精度は機種・撮影方法によって変動する。
※サポートされているカメラは、公式サイトでご確認ください。
- スマートフォン: iOSやAndroidのスマートフォンやタブレットでも、アプリをインストールして撮影可能。 Matterport用にカメラを購入しなくても手軽にスキャンできるものの、画質・測定精度は機種・撮影方法によって変動する。
※サポートされているバージョンは、公式サイトでご確認ください。
Matterportのカメラは、利用目的にあわせて選ぶ必要があります。
カメラによって対応プランも異なるので、1-3.も参考にしてください。
1-2. カメラを操作するために必要なデバイス
Matterportのカメラは、カメラ本体だけでは操作できません。
スマートフォンやタブレットなどのデバイスと接続し、デバイス側からカメラを操作します。
カメラの種類 | 操作に必要なもの |
Matterport Pro2 | Matterport撮影アプリを |
Matterport Pro3 | |
Theta/Insta360など | |
スマートフォン/ | Matterport撮影アプリの |
また、正確にスキャンするためには、それぞれのカメラにあわせた三脚を使用し、撮影ポイントがズレたり、手ブレや振動に影響されないよう撮影することが重要です。
1-3. 各カメラの対応プラン
Matterportは、5種類のサブスクリプションプランを提供しており(2024年7月時点)、使用するカメラによって対応プランが異なります。
プラン | 料金 | アクティブスペース※数 | ユーザー数 |
Free | ¥0 | 1 | 2 |
Starter | ¥1,200 / 月 | 5〜20 | 3 |
Professional | ¥7,000 / 月 | 20〜150 | 10 |
Business | ¥35,000 / 月 | 100〜300 | 50 |
Enterprise | 要問い合わせ | カスタム | カスタム |
※アクティブスペースとは:Matterportプラットフォーム上で、ユーザーが管理・共有できる空間モデル数。
Pro2とPro3は、Professionalプラン以上が必要です。
一般的な360度カメラやスマートフォンで撮影する場合は、より安価なプランでも利用可能ですが、利用できる機能が限られています。
カメラの種類 | 対応プラン |
Matterport Pro2 | Professional以上 |
Matterport Pro3 | |
Theta/Insta360など | Starter以上 |
スマートフォン/ | Free以上 |
FreeプランとStarterプランでは、Pro2とPro3カメラでキャプチャした画像は処理できません。
各プランの機能については公式サイトをご確認ください。
2.Matterport Pro2とPro3の機能比較
画質の良さと測定の正確さでは、Matterport Pro2とPro3のどちらも優れた機能を持っています。
この章では、それぞれの機能を比較して違いを紹介します。
2-1. それぞれのカメラの特徴
Pro2・Pro3ともに、4K高画質で高精度な撮影が可能ですが、センサーの性質が異なるため、撮影可能な条件が異なります。
また、HDR(High Dynamic Range)という、1つのポイントで複数枚の画像を撮影し、合成する機能を備えています。
- Matterport Pro2: 赤外線センサーを使用しており、屋内など直射日光の影響を受けない空間での撮影に適している。プロフェッショナル向けの高品質な3Dモデルが作成できる。
- Matterport Pro3: LiDARセンサーを搭載し、日光の影響を受けずに撮影できるため、屋外の撮影に対応。Pro2より高速で、長距離・広範囲のスキャンが可能。
カメラの種類 | カメラの特徴 | 重量 |
Matterport Pro2 | 赤外線センサー使用 | 約3.5kg |
Matterport Pro3 | LiDAR搭載 | 約2.2kg |
2-2. 画質と精度
- Matterport Pro2: 4K解像度の静止画を撮影でき、詳細な測定が可能。ほとんどの屋内空間の撮影に適している。
- Matterport Pro3: より高解像度の画像と、LiDARセンサーによる精密な3Dデータが得られる。屋外や、より広い空間の撮影に適している。
カメラの種類 | 画質と精度 |
Matterport Pro2 | 4K画質 |
Matterport Pro3 | 4K画質 |
2-3. 撮影速度
Matterport Pro3では、Pro2よりスキャン時間が短く、キャプチャ範囲が広くなりました。
同じ面積を撮影するのにかかる時間と、スキャン回数が減らせるため、撮影の効率化にもつながります。
カメラの種類 | 撮影速度 | スキャン間隔 |
Matterport Pro2 | 1スキャンあたり | 1スキャンごと |
Matterport Pro3 | 1スキャンあたり | 1スキャンごと |
Pro2とPro3を比較して、屋外撮影にも対応でき、撮影スピードも撮影距離もPro3の方が上なら、Pro3を導入すればいいと思う方もいるでしょう。
ただし、Pro3はその分コストが高いので、撮影条件に問題がなければ、同じクオリティの撮影ができるPro2の方がコストパフォーマンスは良いかもしれません。
3.Matterportの撮影方法
Matterportの撮影方法は、カメラにより異なります。
この章では、基本的な撮影手順と、カメラごとの撮影方法の違いを紹介します。
3-1. 基本的な撮影手順
カメラ、三脚、スマートフォンまたはタブレットなど機材を準備し、バッテリーを十分に充電しておく。
建物空間のスタートとゴールをつなぎ合わせるため、撮影する場所の動線を確認しておく。
カメラを三脚にセットし、撮影アプリをインストールしたスマートフォンまたはタブレットなどのデバイスと接続する。
撮影アプリを起動し、スキャンを開始。アプリの指示に従って、カメラを移動させながらスキャンを続ける。
3-2. Pro2・Pro3カメラでの撮影
Pro2・Pro3カメラは、専用の三脚を使用し、撮影ポイントに設置する。
撮影アプリをインストールしたデバイスでスキャンを開始すると、カメラがぐるりと1周回って360度画像を撮影。
カメラが自動で回るので、撮影者は写り込まないようにカメラの死角になる場所に隠れておく。
アプリの指示に従って、カメラを移動させながらスキャンを続ける。
3-3. Theta/Insta360などでの撮影
三脚または一脚にセットし、撮影ポイントに設置する。
カメラは回らないが、1度のスキャンで360度画像を撮影しているので、Proカメラと同様に写り込みに注意する。
3-4. スマートフォンでの撮影
Matterport Axisという三脚に取り付けられる機材があり、スマートフォンを保持して自動的に回転させ、360度撮影ができる。
Axisは、Matterportアプリに対応したiPhoneとAndroidで使用でき、手ブレを気にせずスキャンを行える。
Axisや三脚などを使用せず、スマートフォンを手に持って撮影する場合は、自分の片足を支点にして、アプリの指示に合わせて回りながら撮影する。
カメラを静止したまま自分自身が回転しないといけないので、高画質で撮影するにはコツがいる。
3-5. 撮影のポイント
Matterportの撮影では、いくつかの撮影ポイントでスキャンしたデータを合成して3Dデータを完成させるので、データをうまくつなげるように撮影することがポイントです。
撮影時は、以下の点に気をつけましょう。
- カメラと対象物が近すぎると歪んでしまうので、適切な距離を保つ。
- カメラが水平になっているか、傾いていないか注意する。
- 鏡や窓などの写り込みに気をつけて撮影ポイントを選ぶ。
4.Matterport撮影の注意点
Matterportは、撮影環境にあわせたカメラ選びや撮影場所の準備など、いくつかの注意点があります。
これらの注意点を押さえて、クオリティの高い撮影を行いましょう。
4-1. 撮影環境・プランにあわせたカメラ選び
撮影する場所や条件に応じて、最適なカメラを選択することが重要です。
狭い室内や暗所ではPro2カメラ、大規模な空間や屋外ではPro3カメラが適しています。
特に狭い空間で、精度にあまりこだわらないなら、Theta/Insta 360などで十分な場合もあります。
ただし、カメラによって対応プランが異なるため、必要な機能が利用できるプランとカメラを検討しましょう。
3D空間にテキストや動画などを追加するタグ編集などについては、Pro2とPro3はほぼ同じ機能を備えています。
4-2. 撮影場所の準備
Matterportは空間を合成した後は修正ができません。
撮影時に照明を調整して影や反射を避けたり、撮影エリア内の不要な物を片付け、障害物を除去しておきます。
Professionalプランでは人物の顔をぼかす機能もありますが、人だけでなく掲示物や書類などの写り込みNGなものも要注意です。
屋外の撮影をする場合は、停車してある車が移動したり、人の通行などに影響を受けないかも確認しておきましょう。
4-3. 撮影ポイント選定と撮影者の動き
Matterportの撮影は、建物空間のスタートとゴールをつなぎ合わせて完成するため、事前に撮影場所を確認して、撮影シミュレーションが必要です。
ガラスや鏡など、撮影者やカメラが映り込むポイントは、できるだけ避けて撮影しましょう。
窓については、Matterportアプリで窓部分にマークをつけると、合成後の3Dモデルで適切に表示されるようになります。
水については、浅い噴水程度のプ問題ありませんが、プールなどの深い水は正しく表示されない可能性があるため、トリミングする必要があります。
5.まとめ
この記事では、Matterportの撮影に使用するカメラの種類から、Matterport Pro2カメラとPro3カメラの機能比較、撮影方法、撮影の注意点について紹介しました。
Matterportの撮影は、適切なカメラを利用することで、リアルなバーチャルツアーが簡単に作成できます。
この記事を、Matterportのカメラ選びや撮影の参考にしていただき、クオリティの高いバーチャルツアーを作成してください。
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