Matterportとは?基本機能と導入メリットを紹介

1.Matterportの紹介

1.1. Matterportとは?

Matterport(マーターポート)は、あらゆる空間を3Dでスキャンし、リアルなバーチャルツアーを作成するためのデジタルツインプラットフォームです。
アメリカのMatterport社が提供するサービスで、4K高画質で360度撮影が可能な3Dスキャンカメラ(Matterportカメラ)を使って撮影します。
スマホやタブレットでもアプリを使用して撮影は可能ですが、バージョンによって画質や空間認識に差があります。

Matterportのバーチャルツアーは、実際にその場所にいるかのような圧倒的な臨場感と没入感が魅力です。
物理的な建物空間をデジタル化し、オンラインで再現・共有できるので、施設をWeb上で公開したり、オンラインイベントに使ったりと、さまざまな業界・用途で幅広く活用されています。

1.2. Matterportの仕組み

Matterportの撮影は、3Dスキャンカメラをデジタル化したい空間のさまざまなポイントに設置し、それぞれのポイントで360度撮影を行います。
Matterport Pro2カメラの場合、1回の撮影(スキャン)あたり30秒未満でキャプチャできます。

3Dスキャンデータをクラウド上にアップロードすると、プラットフォームで処理され、リアルな3Dデジタルモデルが生成されます。
スキャンでは同時にパノラマ画像と測量データが取得できるので、距離や面積も現実の空間と同じデジタルツインとして活用できます。

Matterportのデジタルツインが写真や動画と違うのは、ユーザーが自分で視点を変えながら、空間を移動できるインタラクティブな体験が味わえること。
バーチャル空間の中を自由に歩き回って建物の構造や部屋の配置、インテリアの細部まで自分の見たい角度から確認することが可能です。

2.Matterportの概要

2.1. 3Dスキャンについて

Matterportの3Dスキャンは、専用のカメラやアプリを使って行います。
Matterport Pro2カメラは屋内のスキャン、 Matterport Pro3カメラは屋外も撮影可能です。

これら専用のMatterportカメラを使ってスキャンすると、空間を詳細にデジタル化した、高精度の3Dモデルが生成できます。
360度のパノラマ画像と三次元データを同時にキャプチャし、建物の内部構造やインテリアを99%の正確性で再現します。

3Dスキャンのプロセスはシンプルで、カメラを空間のさまざまなポイントに設置し、ボタンを押すだけでスキャンが始まります。
カメラは自動的に回転し、360°の画像を取得します。

この作業を何度もポイントを変えて繰り返し、すべてのデータを収集します。
スキャンデータをクラウド上にアップロードすると、Matterportのプラットフォームで処理され、数時間以内に高品質な3Dモデルが完成します。

2.2. バーチャルツアーとは

Matterportのバーチャルツアーは、現実にある空間を、オンライン上で探索するバーチャル体験のこと。
Webブラウザからアクセス可能で、ユーザーはマウスやタッチ操作で視点を自由に動かし、実際にその場にいるかのように空間を自在に移動する、没入感のある体験ができます。

バーチャル空間という点ではメタバースの一種ですが、CGで作られた空間ではなく、実写画像で構築されているのが特徴です。
また、バーチャル空間を探索できることはGoogleストリートビューと似ていますが、Matterportではさまざまなビュー機能やタグ付け機能、カスタマイズができることなどから幅広い業界で活用されています。

2.3. デジタルモデル化について

デジタルモデル化は、物理的な空間を3Dデータに変換するプロセスです。
Matterportでは、3Dスキャンデータをクラウド上にアップロードすると、プラットフォームで処理され、リアルな3Dデジタルモデルが生成されます。

Matterportのデジタルモデルは、クラウド上に保存されるため、いつでもどこでもアクセス可能。
デジタルモデルは1つごとにURLが発行され、専用アプリや会員登録などなくても閲覧できるので、ホームページに埋め込んだり、QRコード化してさまざまな媒体に展開できます。

3.Matterportの機能

Matterportには5種類のビューモードがあり、空間を現実では見られない視点で見られます。
この章ではそれぞれのビューモードについて説明します。

3-1. ドールハウスビュー 

Matterportのドールハウスビューは、建物全体をまるでドールハウスのように立体的に表示する機能です。
ドールハウスビューは建物の全体像を一目で把握でき、部屋の配置や構造を俯瞰的に確認するのに役立ちます。

ズームの寄り・引きで建物全体を表示したり、詳細な部分を確認するほか、カーソルの右・左で平面図を回転表示させることができます。

3-2. ウォークスルー(3D Space) 

ウォークスルー(3D Space)は、ユーザーが実際にその場を歩いているかのように空間を探索できるビューモードです。
床面に表示された白い丸部分をクリックすると、そのポイントに移動します。

カーソルを使うと、より滑らかにビューポイントを移動でき、現実では味わえないバーチャル体験が可能。
Googleストリートビューは移動の間隔が一定ですが、Matterportは自由に移動ポイントを設置できるため、空間にあわせてユーザーが立ち止まりそうな所にビューポイントを設置できます。

3-3. 平面図 

平面図は、空間を真上から見た視点のビューモードです。
天井がない状態で建物全体を真上から見られるのは、バーチャルならでは。

ドールハウスビューと同様に、ズームの寄り・引きで建物全体を表示したり、詳細な部分を確認するほか、カーソルの右・左で平面図を回転表示させることができます。

3-4. 測定モード 

測定モードは、ドールハウスビューと平面図で使用できます。
任意のポイントをクリックするだけで、高さや奥行き、幅を正確に計測できます。

Matterportカメラは赤外線を使った3Dセンサーでスキャンするので、正確性は誤差1%未満。
3Dスキャンデータから自動生成される点群データからBIMモデルを作成し、2D図面の生成等への展開も可能です。

3.5. フロアセレクター

フロアセレクターは、ドールハウスビュー、ウォークスルー、平面図で使用できます。
フロア数の多い建物の場合、フロアセレクターで階数を選択すると、一瞬で別のフロアの同位置にワープするように移動できます。

ウォークスルー以外のビューモードでは、すべてのフロアを重ねた全体表示も可能。
これらの機能を活用することで、Matterportのバーチャルツアーは、現実では見ることができない視点やバーチャルならではの体験を味わえます。

4.Matterportの活用シーン

4-1.不動産業界でのバーチャル内覧

不動産業界では、Matterportを使ったバーチャル内覧が広く活用されています。
現地を訪れることなく、物件をオンラインで詳細に確認できるので、遠方に住む顧客や忙しい顧客にとって非常に便利です。

物件の内部構造や部屋の配置を直感的に把握し、詳細な部分まで確認できることで、顧客は物件の魅力をより深く理解でき、購入や賃貸の意思決定を迅速に行うことができます。
バーチャル空間上にCGの家具やインテリアを合成するバーチャルホームステージングも、顧客にあわせた物件提案に役立つと注目されています。

4-2.商業施設でのバーチャルショッピング

商業施設でもMatterportの技術が活用されています。
特に、広いショッピングモールや大型店舗では、Matterportを使った店内案内が役立ちます。

さらに、実際のショップをバーチャル化したバーチャルショップは、店舗側の維持費や人件費などのコストを抑えるとともに、顧客側はアクセスしやすく商品を詳細に確認できるというメリットも。
オンラインショッピングの新たな選択肢として、売上の増加にもつながります。

4-3.ホテルや観光地でのバーチャルツアー

ホテルや観光地でもMatterportのバーチャルツアーが活用されています。
訪問者は事前にオンラインで施設の内部を確認できるため、旅行の計画が立てやすくなります。

バーチャルツアーを使った施設内の詳細な紹介や、名所や歴史的建造物のバーチャルツアーは、人手をかけずに魅力を発信し、観光促進に役立てることができます。

4.4. レストランのバーチャル内覧

レストランでも事前にオンラインで店内の雰囲気や座席の配置を確認する目的で、Matterportのバーチャル内覧が利用されています。
顧客はレストランのインテリアや設備、座席の配置を詳細に確認でき、安心して予約できます。

レストラン側にとっても、バーチャル内覧を通じて店内の魅力を効果的に伝えることは、集客力アップのために重要です。

Matterportは、不動産業界、商業施設、ホテル、観光地、レストランなど、多種多様な業界で活用されています。
企業にとっても顧客にとってもメリットが多いため、Matterportを導入する企業は増え続けています。

5.Matterport導入のメリット

5-1. 没入感のある3D体験 

Matterportは、高精度な3Dスキャン技術により、空間の細部までリアルにデジタルモデル化し、没入感のある3D体験を提供します。
ユーザーは、自分が実際にその場にいるかのように感じながら、自由に視点を変えたり、空間を移動したりできます。
このような没入感のある体験は、顧客の満足度を高めるとともに、ビジネスの信頼性を向上させます。

5-2. 時間や距離に縛られない情報提供 

Matterportは、PC、スマートフォン、タブレットなど、さまざまなデバイスからのアクセスが可能です。
どこからでも簡単にアクセスできるので、移動中やリモートワーク中でも、デバイスを使ってバーチャルツアーを楽しめます。

こうしたマルチデバイス対応は、ユーザーエクスペリエンスを向上させるための重要な要素です。
顧客の利便性を高め、企業にとっても、より多くの顧客にリーチすることができ、ビジネスの機会を広げることができます。

5.3. 高画質4K映像による詳細な再現

Matterportのカメラは高画質4K映像をキャプチャするため、細部まで詳細なデジタルモデルが再現できます。
空間の質感やディテールまで、細かな部分まで確認できることは、高額な商品やサービスを提供するビジネスでは、顧客に信頼感を与え、購買意欲を高める重要な要素です。

5.4. コスト削減と業務効率化

Matterportを導入することで、物理的な内覧や出張が不要になり、コスト削減につながります。
さらに、バーチャルツアーにより従業員の時間を有効に活用でき、顧客対応の効率が向上するというメリットも。

Matterportの導入は、没入感のある3D体験、時間や距離に縛られない情報提供、高画質4K映像による詳細な再現、コスト削減と業務効率化といった多くのメリットが得られます。
企業にも顧客にも便利で高品質なサービスを提供できるため、競争力を高めることができます。

6.Matterport導入の注意点

6-1. 導入コストと初期投資 

Matterportの導入には、専用のMatterportカメラを購入する必要があります。
高精度な3Dスキャンを行うために必要不可欠ですが、安いものではありません。
また、スキャンデータを処理し、バーチャルツアーを作成するためのクラウドサービスにも月額または年額の利用料金がかかります。

さらに、カメラの操作やスキャン作業のための時間と労力も必要です。
大規模な施設や、構造が複雑な建物をスキャンする場合、かなりの時間がかかることがあります。

このため、導入前にはコストと時間のバランスをしっかりと検討することが重要です。

6-2. 専門知識の必要性と外部委託について 

Matterportを効果的に活用するためには、専門知識が必要です。
3Dスキャンのプロセスやデータ処理、バーチャルツアーの設定など、初めて扱う場合には学習が必要です。

専門知識がない場合やスキャン作業に対応できない場合、外部の専門業者に委託することも選択肢の一つです。
専門業者に依頼することで、時間と労力を節約でき、品質の高い3Dモデルを確実に手に入れられます。

ただし、業者の選定は契約内容を慎重に検討し、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。

7.まとめ

Matterportは、空間を3Dでスキャンし、リアルなバーチャルツアーを作成する革新的なプラットフォームです。
この記事では、Matterportの基礎知識から機能、メリット、活用シーン、導入の注意点までを詳しく解説しました。

Matterportを活用することで、企業は顧客に対してリアルな体験を提供し、ビジネスの可能性を大きく広げることができます。
これからのデジタル時代において、Matterportを導入することは、競争力を高めるための重要なステップになるでしょう。

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