新型コロナウイルス感染症が2023年5月に5類へ移行したことで、様々な行動制限が緩和されました。
長引く円安と原材料費の高騰、それに伴う商品値上げなどの影響はありつつも、コロナ前のビジネススタイルは戻ってきたのでしょうか?
混沌とした状況の中で企業が成長を続けていくためには、新たな働き方への対応と人手不足を補う業務効率化が必要不可欠です。
この記事では、新型コロナ禍を経た2024年以降のビジネス勝敗の鍵となる 、営業DXのポイントを紹介します。
目次
1.新型コロナ流行によるビジネススタイルの変化
出典:株式会社帝国データバンク「コロナ禍の終焉に関する企業アンケート」
株式会社帝国データバンク「コロナ禍の終焉に関する企業アンケート」によると「新型コロナ禍を経て、自社の働き方が新型コロナの流行前(2019年以前)と比較してどの程度変化したか尋ねたところ、多少なりとも『新型コロナ前と異なる』と答えた企業は66.3%と、全体の7割近く」にのぼりました。
感染リスクへの警戒レベルは下がったものの依然として感染者が発生していることや、経済活動が新型コロナ流行前ほどには回復していないことも挙げられます。
テレワークやWeb会議、デジタル技術の導入などが進んだことで、働き方も変化しました。
今後もデジタル技術は進化し続けることが予想されるため、これまでのビジネススタイルのままでは競合他社との差が開いていくことが懸念されます。
2.労働人口減少問題とDXの必要性
内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」によると、「少子高齢化の進行により、我が国の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少する」と見込まれています。
新型コロナ以前からの労働人口減少問題に加えて、2024年問題への対応などから、今後も一人当たり労働時間の抑制傾向は続くでしょう。
とくに営業DX推進のために必要とされるデジタル人材は、政府も育成・確保に向けた取り組みを進めていますが、まだまだ人材不足の状況が続くと思われます。
こうした状況の中、経済産業省はDXを以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」
つまりDXとは、単にデータとデジタル技術の活用というだけでなく、ビジネスモデルや業務そのものなど様々な変革により企業が優位性を確立すること。
ビジネス環境の激しい変化に対応し、勝ち残っていくためには、DXへの取り組みが重要だということなのです。
3.ビジネスの質を上げるデジタル技術の活用ポイント
ビジネススタイルの変化やデジタルツールへの対応が待ったなしの状況で、競合他社に遅れず営業DXを進めるには、自分でデジタル技術を活用してビジネスの質を上げるのが近道です。
とはいえ、悠長にデジタル人材を待っていては遅れを取ってしまうので、ポイントを絞ってDXに取り組むことが重要です。
3-1.データを活用した営業スタイル
ビジネスの質を上げるためには、データ活用がポイントです。
顧客や市場の状況についてのデータを分析することで、顧客ニーズが把握できるため、効率の良い営業につながります。
3-1-1.データ・ドリブン営業
データ・ドリブン営業は、客観的なデータと分析手法を用いて営業戦略や意思決定を行うアプローチです。
従来の直感や経験に頼る営業方法とは異なり、市場のトレンド、顧客行動、競合の動向、自社の営業成績などの様々なデータを収集・分析し、その結果に基づいて営業活動を計画、実行、評価します。
このアプローチにより、より効率的で効果的な営業戦略を立てることが可能となりますが、データの正確な分析と活用が重要です。
3-1-2.バリュー・ベース・セリング
バリュー・ベース・セリングは、顧客が製品やサービスを通じて得られる価値に焦点を当てた営業手法です。
製品の価格ではなく顧客にとっての価値を提案することで購買へと導く手法なので、特に価格競争が激しい市場や、製品の差別化が困難な業界で効果を発揮します。
ただし、顧客ニーズへの深い理解がなければ、顧客が納得する価値提案は到底できません。
そのために、顧客が直面している課題や目標を深く理解するためのデータ分析が必要となります。
3-2.データ活用に役立つデジタルツール
営業活動にデータを活用するには、データの正確な分析と活用が重要です。
闇雲にデータを集めても、分析するための着眼点がずれてしまうと正しく顧客を理解することができません。
そのために役立つデジタルツールを紹介します。
3-2–1.顧客管理システム(CRM)
CRMの目的は、顧客データの収集、分析、活用を通じて、顧客満足度を高め、顧客ロイヤルティを構築し、最終的には売上の向上に貢献することです。
CRMは営業、マーケティング、カスタマーサービスなど、顧客に関わる様々な業務プロセスをサポートします。
主なCRMシステム:Salesforce、HubSpot
3-2–2.営業支援ツール(SFA)
SFAシステムは、営業活動の効率化と自動化に特化したツールです。
営業プロセスを効率的に管理することで、営業担当者がより多くの時間を顧客との関係構築に割けるようにすることを目的とし、リード管理、営業案件の追跡、見積もりや提案書の作成、営業成績の分析など、営業プロセスの各ステップをサポートします。
主なSFAツール: Salesforce Sales Cloud 、 Dynamics 365 for Sales
CRMとSFAの違いは、CRMが顧客との長期的な関係構築に焦点を当てているのに対し、SFAは営業プロセスの効率化と自動化に焦点を当てていることです。
多くの企業では、これら二つのシステムを組み合わせて使用することで、営業効率と顧客満足度を同時に向上することを目指しています。
3-3.営業活動に役立つデジタルツール
データ活用以外の営業プロセスにおいても、デジタルツールは業務効率化や業務クオリティの向上に大いに貢献できます。
3-3-1.メールマーケティングツール
メールマーケティングツールは、企業や組織が大量のメールを効率的に送信し、そのキャンペーンの効果を測定するためのデジタルツールです。
メールリストの管理、メールコンテンツの作成とカスタマイズ、送信スケジュールの設定、そして送信後のパフォーマンス分析など、メールマーケティングキャンペーンの全プロセスをサポートするものです。
主なメールマーケティングツール: 配配メール、 WEBCAS e-mail
3-3–2.ビデオ会議ツール
ビデオ会議ツールは、インターネットを介して異なる場所にいる人々が顔を見ながらリアルタイムでコミュニケーションを取るためのソフトウェアやアプリケーションです。
リモートワークの普及に伴い、ビジネスコミュニケーションの重要な手段となっています。
ビデオ会議ツールを活用することで、地理的な制約なしにチームミーティング、クライアントとの打ち合わせ、オンラインプレゼンテーションなどが可能になります。
主なビデオ会議ツール: Zoom、Microsoft Teams
3-3–3.生成AI(人工知能)
生成AIとはテキスト、画像、音声などの新しいコンテンツを生成する能力を持つAIのことで、大量のデータから学習し、人間が入力したプロンプトや指示に基づいて、新しいコンテンツを「生成」することができます。
生成AIも営業活動において有用なデジタルアシスタントとして活用でき、特に顧客とのコミュニケーションや内部資料の作成など、言語処理が必要な場面で大きな効果を発揮します。
主な生成AI: ChatGPT、 Gemini
3-4.オンライン展示会プラットフォームの営業への活用方法
オンライン展示会プラットフォームは、インターネット上で企業や団体が製品やサービスを紹介し、参加者と交流するための仮想空間を提供するデジタルツールです。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、物理的なイベント会場に代わるものとして広まりましたが、オンラインならではの新しいビジネスチャンスを生み出し、グローバルな視聴者との接点を持つ手段として注目されています。
3-4-1.セルフ営業ツールとしての活用方法
オンライン展示会プラットフォームは、主な機能としてオンライン展示ブースを設置でき、映像や資料ダウンロードなど様々な形式で製品・サービスの情報を提供できます。
オンライン展示ブースを設置しておくことで、顧客が自分で製品・サービスを検索したり自分で資料ダウンロードしてくれるので、営業活動においての新規顧客開拓が自動化されます。
また、分析機能があれば顧客の行動や興味を追跡し、ニーズの分析にも活用できます。
3-4-2.オンライン商談のプレゼンツールとしての活用方法
オンライン商談においても製品の紹介やプレゼンテーションに 、PowerPointや Keynoteなどのプレゼンテーションツールは広く使用されています。
オンライン展示会プラットフォームも、オンライン展示ブースにプレゼン内容を設置しておくことで、これらのプレゼンテーションツールと同様に画面共有しながら説明するためのプレゼンツールとして活用できます。
動画やバーチャルツアーなどの動的コンテンツを埋め込むことで、一般的なプレゼンツールを使うよりインパクトのあるオンライン商談が実現できます。
分析機能があれば、プレゼン後にオンライン展示ブースのURLを送るだけでプレゼン内容の共有ができ、顧客がプレゼン内容のどの部分に興味を持ったかなどの行動分析も可能です。
4.デジタルツール活用の注意点
デジタルツールを営業に活用する際には、効果を最大化するためにいくつかの注意点があります。
適切に活用すれば営業活動の効率化、顧客満足度の向上、売上増加など多くのメリットを享受できますが、以下のポイントに注意して使用することが重要です。
4-1. セキュリティとプライバシーの確保
顧客データの保護は最優先事項です。
使用するツールがデータ保護法規に準拠していることを確認し、適切なセキュリティ対策が施されているかを検討する必要があります。
4-2. 顧客体験の重視
デジタルツールを導入する目的は、顧客体験の向上にあります。
ツールが顧客とのコミュニケーションを円滑にし、彼らのニーズに応えるものであるかを考慮することが大切です。
4-3. ツールの選定と導入
多様なツールが市場に出回っていますが、自社のニーズや営業戦略に最も適したものを選ぶことが重要です。
また、導入時には十分なトレーニングとサポート体制を確保する必要があります。
4-4. データの整合性と管理
複数のデジタルツールを使用する場合、顧客データの整合性を保つことが課題となることがあります。
データの一元管理やツール間の連携を適切に行い、情報の齟齬が生じないように注意が必要です。
4-5. 成果の測定と分析
ツールの効果を定期的に測定し、分析することで、ROI(投資対効果)を評価し、改善点を見つけ出すことができます。
目標達成に向けた戦略の調整も重要です。
4-6. 変化に対する適応
デジタル技術は日々進化しています。
市場や技術の変化に対応し、必要に応じてデジタルツールのアップデートや新しいツールへの切り替えを行う柔軟性が求められます。
4-7. 人間関係の重視
デジタルツールが人間の代わりになるわけではありません。
ツールはあくまでサポート役であり、信頼関係の構築や顧客ニーズの深い理解といった人間にしかできない部分には、十分注意を払う必要があります。
デジタルツールの活用は営業活動を効率化し、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めていますが、これらの注意点を念頭に置き、慎重に導入と運用を行うことが成功の鍵となります。
5.まとめ
この記事では、現代ビジネスの課題である新型コロナ流行によるビジネススタイルの変化から、労働人口減少問題、それらの課題解決の鍵となるデジタル技術を活用した営業DXのポイントを紹介しました。
営業DXのためには、データやデジタルツールを適切に活用し、業務効率化するとともに顧客理解を深めること。
それが顧客満足度を高め、営業効果の最大化につながります。
この記事で紹介したポイントや注意点を押さえて、営業DXに取り組んでみてください。
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