展示会の補助金・助成金を完全網羅|選び方と活用手順も解説

「自社の展示会で活用できる補助金はあるの?」
展示会の出展に利用できる補助金があるなら、積極的に活用して資金の課題をクリアにしたいですよね。

結論から申し上げると、展示会の出展費用を支援する補助金は多数の団体(国や自治体等)が行っているため、要件の合う補助金を探し出すことができれば受給できる可能性はあります。

また、補助金と同じく返済が必要のない助成金もあるため、補助金だけに絞らずに広い視野で探すと出展費用を抑えることが実現しやすいでしょう。

ただし、補助金や助成金を受け取るには要件を満たす必要があり、後払い制なのでまずは出展資金を工面する必要があったりなど、申請前に留意しておくべき事項もあります

そこで本記事では補助金・助成金を申請するうえで知っておくべき内容を網羅的にまとめました。

この記事を読んで分かること

●      出展の支援を行う補助金・助成金の最新一覧
●      補助金・助成金の選び方
●      補助金・助成金を申請する方法
●      申請する前に押さえたい留意点

自社で活用できる補助金・助成金があるかを知ることができると共に、資金の受取りまでに必要な工程やスケジュールについてもイメージすることができるようになるでしょう。

賢く資金調達をして展示会の出展を成功させたい方はぜひ最後までお読みください。

目次

1.【20231月現在】展示会の支援を行う補助金・助成金一覧

展示会の出展資金を補助金や助成金という形で資金支援を行っている実施機関や団体は多数あります。
2023年1月現在で確認できる団体とは主に以下のような団体です。

展示会出展に係わる補助金・助成金を受け付けている機関・団体(2023年1月現在)

●      経済産業省(日本商工会議)
●      各自治体
●      独自に支援を行う団体

ここでは、20231月の時点で確認できる補助金・助成金を、展示会の出展に利用できる団体に絞って一覧にして紹介します。

当記事でご紹介している情報は「2023年1月時点」の情報です。補助金・助成金は随時情報が更新されるため、検討したい補助金・助成金があった場合は必ず公式ホームページにて確認を行ってください。

1-1.経済産業省が行っている補助金・助成金

日本国内の事業者を対象にして補助金・助成金を行っている団体は以下1つです。
2023年1月現在で受け付けている公募は第11回にあたり、受付締切日は20232月下旬となっています。

補助金名

実施機関・団体名

対象事業者

上限金額

小規模事業者持続化補助金

経済産業省 商工会議所地区

販路開拓等の取り組みを行う小規模事業者

通常枠:50万円
卒業枠:200万円
創業枠:200万円
賃金引上げ枠:200万円
後継者支援枠:200万円
インボイス枠:100万円

1-2.自治体や各団体が行っている補助金・助成金

自治体やその地域の団体が行っている補助金・助成金を地方ごとにまとめて紹介します。

この章で紹介する機関や団体は管轄するエリア内に事業所がある、またはその地域や支給目的に関係する事業内容に限定して資金支援を行っているため、関係している地方に絞ってご確認ください。

1-2-1.北海道

補助金名

実施機関・団体名

対象事業者

上限金額

今金町経営持続化(物価高騰対策)事業補助金

今金町

町内の商工業を営む事業者

50万円

稚内市中小企業振興助成金(販路拡大支援事業助成金)

稚内市

特定稚内産商品の販路拡大・事業活動を実施する中小企業

30万円

北斗市中小企業競争力向上事業補助金(展示会出展事業)

北斗市

新たな顧客開拓のため、新商品の開発や展示会等への出展を実施する市内中小企業者

10万円

令和5年度苫小牧市立地企業サポート事業補助金(事業拡大・販路拡大支援事業)

苫小牧市 産業経済部企業政策室港湾・企業振興課

経営の向上・安定化を図ることを目的に事業拡大・販路拡大に向けた出展をする当該地域事業者

20万円

食の海外展開チャレンジ支援補助金

札幌市

海外展開/販路開拓を目的とした市内等食関連事業者

20万円

千歳市地域企業販路開拓支援事業

千歳市

地域を支える中小企業者の販路開拓を支援することを目的として、展示会やマッチングイベント等に出展する市内事業者

30万円

事業拡大支援事業

富良野市

新製品開発や新事業展開、販路拡大、販売促進等の事業を行う法人/中小企業/小規模事業者/農業法人/NPO法人

30万円

1-2-2.東北地方

補助金名

実施機関・団体名

対象事業者

上限金額

展示会等出展支援事業費補助金

岩手県

展示会等イベントに出展する企業等

20万円

令和5年度八峰町地域資源活用商品開発等支援補助金

八峰町

町の地場産品を活用した商品の開発・改良・PRを行う法人/個人事業主/組合・団体等

10万円

大館市新技術・新商品開発等支援事業補助金

大館市

新技術や新商品の開発、PRに要する市内事業者等

30万円

ライフサイエンス人材育成事業

公益財団法人あきた企業活性化センター

ライフサイエンス関連分野における事業化を促進するために出展する県内中小企業

20万円

商工業地域活性化支援事業費補助金(販路拡大支援事業)

米沢市

市の商工業を活性化するために行う本市の商店街等の団体や中小企業者等

20万円

展示会等出展支援補助金

白河市

新たな取引先や事業提携先の開拓等を目的に展示会等へ出展にする市内中小企業者等又は中小企業グループ

30万円

郡山市中小企業者等海外展示会出展費補助金

郡山市

再生可能エネルギーと医療機器産業分野で覚書を締結しているドイツ連邦共和国ノルトライン=ヴェストファーレン州で開催される展示会に出展する市内の中小企業者等

15万円

西会津町企業支援事業補助金

西会津町

見本市及び商談会に出展する法人/組合・団体等

100万円

1-2-3.関東地方(東京都を除く)

補助金名

実施機関・団体名

対象事業者

上限金額

中小企業事業活性化補助金(ビジネスマッチング事業)

ひたちなか市

販路開拓のために国内外で開催される展示会や見本市等へ出展を行う中小企業者

50万円

工業振興支援事業補助金(販路拡大事業)

水戸市

販路拡大のための各種展示会や商談会等へ出店する法人/中小企業/個人事業主

20万円

真岡市事業承継者支援補助金

真岡市

市内で創業又は事業承継後3年以内の中小企業者

30万円

鹿沼市デジタルビジネス推進事業補助金

鹿沼市

デジタルビジネス機会の創出・拡大・生産性向上を目的にしている市内事業者

50万円

足利市創業者ステップアップ補助金

足利市

事業の発展・改善を目的とした取り組みを行う市内で新たに創業した方

10万円

宇都宮市販路開拓支援事業補助金

宇都宮市

新たな販路や取引先、事業提携先等の開拓を行う市内の産業に関する事業者

40万円

ビジネスマッチング展示会開催及び出展事業費補助金

伊勢崎市

販路拡大のために市内中小企業を対象に展示会を開催する法人/中小企業/個人事業主/組合・団体等

50万円

販路拡大支援事業(展示会等出展補助金)

桐生市

新規取引先の開拓を進めるため県外で展示会や見本市へ出展する中小企業等

40万円

富岡市販路拡大支援事業補助金

富岡市

販路拡大や自立的発展の促進のために展示会等に出展を目指す市内の中小企業

50万円

中小企業自社製品等販路開拓支援事業費補助金

沼田市

販路拡大や自立的発展の促進のために展示会等に出展を目指す市内の中小企業

30万円

展示会等出展支援補助金

渋川市

国内外の展示会等へ出展する製品の製造等を行っている市内の中小事業者

20万円

展示会等出展費用補助制度

八潮市

工業の展示会・見本市に出展する市内の中小企業者

5万円

船橋市海外展開支援事業補助金

船橋市

海外で開催される展示会へ出展する市内中小企業者

20万円

寒川町中小企業活性化事業補助金

寒川町

経営基盤や競争力を強化するために展示会へ出店する中小企業

50万円

厚木市見本市等出展事業補助金

厚木市

見本市や展示会などに出展する市内の中小企業者

30万円

伊勢原市見本市等出展事業補助金

伊勢原市

見本市、展示会、商談会等に出展する中小企業

10万円

1-2-4.東京都

補助金名

実施機関・団体名

対象事業者

上限金額

展示会出展助成事業

公益財団法人 東京都中小企業振興公社

販路拡大のために展示会出展等を行う都内中小企業

150万円

日野市販路開拓支援事業補助金

日野市

展示会の出展を検討している市内のものづくり企業

20万円

立川産品販路拡大等支援事業補助金

立川市

立川産品の販路拡大のために取り組む市内の中小企業

30万円

中小企業販路拡大事業支援補助(展示会出展に対する補助金)

千代田区

販路拡大のために展示会に出展する区が認定した商工関係団体に所属する中小企業者

10万円

中央区中小企業販路拡大支援事業補助金

中央区

販路拡大のために展示会等へ出展する区内の中小企業等

15万円

展示会出展支援助成金

公益財団法人 台東区産業振興事業団

今まで出たことのない展示会に出展する区内の中小企業

20万円

展示会等出展費補助

江東区

展示会等に出展する区内中小企業者

20万円

令和5年度世田谷区ビジネスマッチングイベント出展支援事業補助金

世田谷区

国内で開催される展示会等に出展する区内の中小企業者

10万円

令和5年度(2023年度)経営力強化補助金(販路拡大事業)

八王子市

経営力の強化を目的とした取り組みを行う市内の中小企業・小規模事業者

20万円

見本市等出展費用補助金

練馬ビジネスサポートセンター

販売促進の目的で、見本市、展示会、博覧会等に出展する区内中小企業者およびその団体

20万円

販路拡大支援事業助成金

江戸川区

受発注の拡大を目的とした事業を行う区内の中小企業者

50万円

産業見本市出展支援事業

町田市

各種産業見本市や展示会に出展する市内の中小事業者

30万円

展示会等出展費用補助事業

文京区

2023年度(20243月まで)に開催する国内外の展示会等へ出展する事業者

30万円

羽村市中小企業販路開拓支援助成金

羽村市

販路開拓のために展示会や見本市へ出店する市内に事業所を所有する中小企業者

10万円

中小企業展示会等出展支援補助金

新宿区

販路拡大を目的とした展示会・見本市等出展を行う区内中小企業者

40万円

1-2-5.中部地方

補助金名

実施機関・団体名

対象事業者

上限金額

販路拡大支援事業

十日町市

販路拡大を図るため、展示会・見本市等に独自に出展する市内の事業所

5万円

原油価格・物価高騰対応企業支援(販路開拓支援補助金)

三条市

販路開拓のためにオンラインを含めた展示会出展を行う市内中小企業者等

30万円

中小企業販路拡大支援事業補助金

射水市

県外や海外で開催される展示会や商談会等に出展する市内中小企業者

50万円

令和5年度富山県タイ・ベトナム現地展示会等出展事業費補助金

富山県

タイ・ベトナムでの販路開拓を実現するため、現地で開催される展示会等へ出展する法人/個人事業主

20万円

海外展開支援事業

公益財団法人 やまなし産業支援機構

海外への事業展開に繋がると認められる展示会・商談会へ出展する県内中小企業者

50万円

令和4年度高森町新商品・新サービス開発等支援事業

高森町

新規事業や開発など変革にチャレンジする中小企業等

30万円

新スタイル事業展開支援補助金

阿智村

コロナ禍後を踏まえた新たなビジネスやサービス・生産プロセスの導入等の取り組みを行う村内の事業者

30万円

下呂市展示会等出展支援事業補助金

下呂市

販路開拓機会創出を図る下呂市内の中小企業者等

10万円

中小企業チャレンジ支援事業補助金

養老町

競争力強化及び地域経済の活性化を図る町内の中小企業者

300万円

富士宮市中小企業新技術新製品出展事業費補助金

富士宮市

市内の工場等で製造された自社の製品を、市外で開催される展示会見本市などに出展する企業

20万円

大規模展示会出展等事業補助金

静岡市

展示会の出展・開催する製造業を営む中小企業及び中小企業団体

300万円

中小企業製品開発等支援補助金(販路拡大事業補助金)

長泉町

地域産業の活力ある発展を図るために展示会、見本市等に出展する町内の中小企業者

20万円

マーケティング事業助成金

春日井市

マーケティング戦略、販路拡大を行う製造業者

100万円

常滑焼総合販売戦略サポート事業補助金(郵送ダイレクトメール(DM・案内状)を作成する場合の支援)

常滑市

常滑焼の販路拡大のための展示会の開催や出展を行う事業者

3万円

犬山市産業振興補助金(展示会出展事業)

犬山市

展示会等へ出展する中小企業者

20万円/1出展

1-2-6.近畿地方

補助金名

実施機関・団体名

対象事業者

上限金額

令和4年度 野洲市創業支援補助金

野洲市

新たに事業を開始する小規模企業者

20万円

野洲市販路開拓支援助成金

野洲市商工会

コロナ禍を克服するために事業に取組む市内商工業者

20万円

豊中市展示会等出展支援補助金

豊中市

販路開拓支援を目的として展示会や見本市等へ出店する市内の中小企業者

10万円

令和5年度有田市販路開拓支援事業補助金

有田市

取引拡大を通じて地域経済の活性化を図る市内の中小企業者等

20万円

和歌山市ビジネスチャンス創出支援補助金(国内販路開拓事業)

和歌山市

国内や海外、オンラインで開催される見本市等へ出店する市内の中小企業者

70万円

1-2-7.中国・四国地方

補助金名

実施機関・団体名

対象事業者

上限金額

令和5年度専門展示会出展補助金

公益財団法人鳥取県産業振興機構

日本国内で開催される専門展示会へ出展する県内企業者

50万円

販路開拓・販売促進支援事業補助金

井原市

ウィズコロナからアフターコロナを見据えたDXの推進及び展示会への出展等を行う市内の中小企業者

50万円

主体的にがんばる事業者販路開拓支援補助金

小豆島町

産業の振興及び発展を目的に国内外で新規販路開拓に取り組む町内に事業所を置く事業者

50万円

宇和島市中小企業者等新生活様式対応支援事業補助金(販路開拓事業)

宇和島市

市外での見本市、展示会及び商談会への出展並びに開催する市内の中小企業者、小規模企業者、組合等

50万円

1-2-8.九州地方

補助金名

実施機関・団体名

対象事業者

上限金額

久留米市販路開拓促進事業費補助金

久留米市

販路開拓を促進するため、国内外で開催される見本市、展示会へ出展する市内中小企業

30万円

雲仙市商工業活性化推進事業補助金

雲仙市

創業、新規出店、既存事業の持続化、にぎわいを創出する事業、店舗兼住宅を活用する市内の事業者

100万円

令和4年度大分県プラスチック代替製品利用促進事業

大分県

プラスチック代替製品の導入や販売促進のための事業を実施する県内の事業者

50万円

令和5年度 宜野湾市特産品等販路拡大支援事業補助金

宜野湾市

特産品等の宣伝及び販路拡大のために県内外の展示会等に特産品等を出品す市内の中小事業者

20万円

2.展示会に活用できる補助金・助成金の種類 

展示会に活用できる補助金・助成金を支給している機関・団体は以下の3つです。

展示会出展に係わる補助金・助成金を受け付けている機関・団体(2023年1月現在)

●      経済産業省(日本商工会議所)
●      各自治体
●      独自に支援を行う団体 

それぞれの特徴について解説します。

2-1.経済産業省(日本商工会議所)

経済産業省は主に起業の促進、地域活性化、女性や若者の活動支援、中小企業振興、技術振興を目的として補助金・助成金を支給しています。

2023年1月現在で展示会の出展に活用できる補助金の「小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓等に取り組みを行う小規模事業者を対象として費用の一部を補助する制度で、日本各地にある商工会議所が申請の受付をしています。

商工会議所は「中小企業が経営をするうえで必要な専門的知識や実務経験が一定レベル以上ある」と国から認められた認定支援機関であり、経営課題に関する助言やサポートを受けられるところでもあります。

経済産業省が出す補助金の採択率は平均的に4060%となっているため、難易度は高めですが、申請に際して販路開拓や拡大について指導や助言を得られるメリットがあります

2-2.自治体

都道府県や市町村など各自治体が行う補助金・助成金は、その地域の振興のために補助金・助成金で事業者の支援をしています。

各自治体が独自で実施しているため、地域によって補助金・助成金の内容や実施の有無に差があることが特徴です。

事業所のある地域でどのような補助金・助成金があるかを検索したり、役所に相談して活用できるものがあるかを確認したりするとよいでしょう。

2-3.独自に支援を行う団体

各種の財団法人や政府系金融機関など、独自に補助金や助成金を給付してサポートを行う団体もあります。

展示会の出展が各種団体の資金支援を行う目的や意図に沿うものであれば支給される可能性があるため、申請を検討する際には支援を行う団体がどのような目的・意図を持っているのかを確認するとよいでしょう。

3.補助金と助成金にはどんな違いがある?

補助金や助成金はどちらも返済が不要な給付金です。ただし補助金と助成金には以下のように特徴に違いがあります。

補助金と助成金の違い

●      給付の難易度が異なる
●      申請に必要な工程が異なる
●      公募期間が異なる

状況によっては申請に手間と時間がかかってしまって費用対効果が見合わないこともあるため、補助金と助成金の違いを押さえて申請先の検討をすることがおすすめです。

ここでは申請時に知っておきたい補助金と助成金の違いについて詳しく解説いたします。

3-1.給付の難易度が異なる

補助金と助成金の大きな違いの1つには給付の難易度の高さが挙げられます。

というのも、補助金は申請を出したからと言って必ず受給できるものではありません。申請要件に細かな設定が設けられたり、申請数が多ければ倍率が高くなったりするため、申請しても受給されない場合も多く見受けられます。

例えば、第1章で紹介した展示会の出展に係る補助金を行っている「小規模事業者持続化給付金」のこれまでの採択率は以下のようになっています。

 

1

2

3

4

5

6

7

8

9

申請件数

8,044

19,154

13,642

16,126

12,738

9,914

9,339

11,279

11,467

採択件数

7,308

12,478

7,040

7,128

6,869

6,846

6,517

7,098

7,344

採択率

90.9

65.1

51.6

44.2

53.9

69.1

69.8

62.9

64.0

参考)中小企業庁

採択率が90%を超えたものは第1回のみで、第2回以降は申請件数が多くなっている等のことから60%程度の採択率にとどまっています。

一方、助成金は給付条件を満たし、申請を行えば受け取ることができるという特徴があります。

このように補助金と助成金で難易度が異なる理由は、財源に違いがあるからと言えるでしょう。

補助金の財源:税金
助成金の財源:雇用保険料

展示会の出展に係る補助金・助成金に限らず言えることですが、補助金は主に経済産業省や自治体が行うもので、税金が財源となり支給されます。

助成金は主に厚生労働省が行うため雇用保険料が財源となっていることが一般的です。

1章の一覧表を見て分かる通り、展示会の出展に活用できる給付金は補助金がほとんどなので、補助金の支給条件を満たすかよく確認すると共に、申請しても必ず受給されるわけではないという心構えを持って申請の検討をするとよいでしょう。

3-2.申請に必要な工程が異なる

補助金と助成金は以下のように申請から受給までに必要な工程が異なります。

申請から受給までの流れ
財源が税金である補助金は申請枠が限られ、コンペ形式で行われるために審査が行われます

一方、助成金は要件を満たした状態で申請をすれば審査を経ずに受給されることが一般的です。

補助金は審査に通過できるような申請書類の準備をする必要があり、審査時間も要するため、助成金に比べて手間と時間を要することを押さえておきましょう。

3-3.公募期間が異なる

補助金と助成金は公募期間(申請受付期間)の長さが異なることも特徴として挙げられます。

というのも、雇用保険料が財源となっている助成金は「雇用を安定させる」という意図があるため、長期間にわたって申請を受け付けているものが多いです。

一方、補助金は政府や自治体が政策の推進を図るために事業者に支援を行うもので、社会情勢やニーズに合わせた政策の1つとして行われます。

よって新しい補助金が出てきたり、廃止されたりとスピード感があるため公募期間が短く、場合によっては1ヶ月しか受付期間を設けていないケースも珍しくありません。

補助金を探すときは随時最新情報を得る姿勢や、限られた申請期間で申請を完了させる行動力が欠かせないものになります。

4.展示会に活用できる補助金・助成金の選び方

補助金や助成金は現在確認できるものだけでも数千種類におよぶため、適切な補助金や助成金を探し出すには時間がかかってしまいます。

そのため要領よく展示会に活用できる補助金や助成金を選ぶためには、以下3つのポイントを押さえながら探すとよいです。

展示会に活用できる補助金や助成金の選び方

  1. 展示会の出展が補助金や助成金の目的に合っているか
  2. 募集期間内に申請が可能か
  3. 経費が補助金・助成金の対象か

1つずつ解説いたします。

4-1.展示会への出展が補助金や助成金の目的に合っているか

展示会へ出展する目的が補助金・助成金の目的に合っているかを確認してください。

なぜなら、補助金や助成金を行う国や自治体、各種団体は政策の推進や地域の振興など何かしらの目的を持っていて、設定している目的を達成するために資金支援を行っているからです。

具体的に例を挙げると以下のような目的を掲げて補助金・助成金を行っています。

 

補助金・助成金の目的

令和5年度八峰町地域資源活用商品開発等支援補助金

町の地場産品を活用した商品の開発・改良・PRを行う法人/個人事業主/組合・団体等

大館市新技術・新商品開発等支援事業補助金

新技術や新商品の開発、PRに要する市内事業者等

中小企業事業活性化補助金(ビジネスマッチング事業)

販路開拓のために国内外で開催される展示会や見本市等へ出展を行う中小企業者

販路拡大支援事業助成金

受発注の拡大を目的とした事業を行う区内の中小企業者

補助金・助成金の紹介欄には補助金・助成金の目的や『対象事業者』が必ず記載されているため、どのような目的を持った補助金・助成金なのかを確認し、出展の目的に合っているかを確認してください

例:小規模事業者持続化補助金の場合

参考)令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>

4-2.募集期間内に申請が可能か

募集期間に申請ができるかも補助金・助成金選びで重要なポイントです。

もちろん募集期間外の申請は対象外となり、手間暇をかけて申請書類を作成・提出しても受け付けてもらえません

インターネットを活用して探すと過去の補助金・助成金が出ることもあるため「現在募集している補助金・助成金か?」を必ず確認するようにしてください。

申込みの締切に間に合うように提出できるのかもプランニングしてから申請を検討するとよいです。

例:小規模事業者持続化補助金の場合

参考)令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>

4-3.経費が補助金・助成金の対象か

経費が補助金・助成金の対象であるかも確認しましょう。

というのも、補助金も助成金も不正受給を防ぐために対象経費が厳密に定められているからです。

対象経費以外の経費には補助金・助成金は下りないため、どのような経費が対象なのかも要項を見てしっかり確認するようにしてください。

例:小規模事業者持続化補助金の場合

参考)令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>

また、助成金には以下のように対象期間が定められています。

助成対象期間と対象となる経費

助成期間の日程以外で発注したり決算したりした経費は助成対象外になってしまいます。発注から決済に至るまで助成対象期間内でおさまるかを確認してください。

5.展示会で補助金・助成金を利用する5つのステップ

補助金・助成金の選び方が分かったら、実際に活用できる補助金・助成金を探し、活用に向けたステップを進めていきましょう。

申請から入金までの流れ

全体的なスケジュールは補助金・助成金によるため明記できませんが、申請から入金までの大体の目安は以下のとおりです。

申請から入金までの期間(目安)

補助金:6ヶ月~1年半
助成金:2ヶ月~6ヶ月

申請から入金までの流れを5つのステップに分けて詳しく解説いたします。

5-1.①要件の当てはまる補助金・助成金を探す

まずは要件に当てはまる補助金・助成金を探します。探す方法は以下2つの方法があるのでご参考ください。

補助金・助成金の探し方

  1. インターネットを活用する
  2. 認定支援機関を活用する

探し方の具体的な方法について紹介します。

5-1-1.方法1.インターネットを使って探す

インターネットを活用して探す場合、政府系機関のサイトを利用すると安心して公募情報を得ることができます。

政府系機関のサイトとは以下の3つです。いずれのサイトも検索機能があるため効率よく探すことができるでしょう。

補助金・助成金を探せる政府系機関の公式サイト

ミラサポplus 中小企業向け補助金・総合支援
経済産業省と中小企業庁が共同で運営しているサイトです。中小企業が利用できる補助金・助成金を簡単に検索することが可能です。

JGrants(ジェイグランツ)
経済産業省が運営するサイトです。キーワード検索機能を使って補助金を探したり、インターネット上で補助金申請ができたりする電子申請システムも搭載されています。

J-Net21「支援情報ヘッドライン」
中小機構が中小企業政策に関する情報を総合的に扱っているサイトです。補助金・助成金の他にも融資、セミナー、イベントなどの支援情報を見ることができます。

検索結果には過去に申請受付を行っていたものも出てくるため、申請受付期間に注意して探すようにしてください。

5-1-2.方法2.認定支援機関を活用する

認定支援機関を活用すると利用できる補助金・助成金について教えてもらえることもあります。

認定支援機関とは「中小企業支援のための専門的な知識や実務経験が一定のレベル以上ある」と国から認定を受けている以下の人や機関です。

  • 税理士
  • 税理士法人
  • 公認会計士
  • 中小企業診断士
  • 商工会・商工会議所

相談は有料になる場合がありますが、申請書の作成から入金までサポートしてもらえることもあります。

また、補助金・助成金だけでなく資金繰りについての相談や販路開拓等の悩みに助言やサポートをもらえることもあるため、活用するとよいでしょう。

認定支援機関は以下の政府公式Webサイトで確認できます。
認定経営革新等支援機関 検索システム

5-2.②申請書を作成して提出する

申請したい補助金・助成金があれば募集要項を確認し、提出書類を準備します。

必要な書類は補助金・助成金によって異なりますが、例えば以下のような書類が求められます。

  • 応募申請書
  • 事業計画書
  • 経費明細書
  • 事業要請書 など

また、提出方法も補助金によって異なります。書面の郵送や電子申請などがあるので公募要項を確認し、求められている申請方法に沿って提出してください

5-3.③展示会に出展する

要件を満たして助成金の申請を行った場合や、補助金が採択された場合でも、まずは自己資金で展示会を開催します。

というのも、補助金・助成金は不正受給を防ぐために事業完了後に後払い(清算払い)として支給されることが通常です。

まずは展示会の開催に必要な資金は自社で資金調達し、申請した事業内容を行います。

5-4.④展示会でかかった費用や実施状況を報告する

出展が完了したら展示会でかかった費用や実施した事業状況を報告します。

請求書や領収書、決算申告書など取引内容を証明する証憑書類の提出も求められるため、しっかり保管・提出して漏れなく実績報告を行いましょう

5-5.⑤補助金・助成金を受け取る

報告書に不備がないと認められた場合、確定した補助金・助成金額が記載された「確定通知書」が届きます。

確定通知書の内容を確認し、補助金・助成金を請求してください。提出された請求書が確認されると指定した口座に補助金・助成金が支払われます。

6.補助金・助成金の申請時の留意点

補助金や助成金は経営状況の改善につながることが期待できるため積極的に活用したいものですが、申請時には留意点もあります。具体的には以下の3つが挙げられます。

補助金・助成金の申請時の留意点

●      後払い制が一般的で入金時期が明確ではない
●      事業の全額が補助されるわけではない
●      展示会終了後に適切な事務処理を行わないと受け取れない

知っておいてほしい留意点について解説します。

6-1.後払い制が一般的で入金時期が明確ではない

前章でも解説しましたが、補助金・助成金は後払い制が一般的で、さらに入金時期が明示されていません。

補助金・助成金は不正受給を防ぐために経費を確認してから支払われる工程が採用されているうえに、申請量に違いがあるからです。

申請状況によって資金支援を行う団体の作業量に変動が生まれるため、いつ支払いが行われるかが明示しにくい特徴があります。

ただし、これまでの補助金・助成金の支払い期間の傾向を参考にすると、申請から入金までの期間は以下のようになっています。

補助金・助成金の支払い目安(申請~入金)

補助金:6ヶ月~1年半
助成金:2ヶ月~6ヶ月

助成金は補助金に比べて手続きが簡易であるため、申請から入金までの期間は2ヶ月~6ヶ月と言われています。補助金は審査時間が設けられているため、6ヶ月1年半と支給までのスケジュールには幅があることが特徴です。

申請したらすぐに資金調達ができるわけではないため、大体の入金時期をふまえて資金繰りの計画を行うようにしましょう

6-2.事業の全額が補助されるわけではない

補助金・助成金は対象の経費に支給されるものですが、必ずしも全額が支給されるわけではありません。

ほとんどの補助金・助成金には「補助率」というものが設定されており、事業に要した総額のうちの一部を補助する設定にしていることがほとんどです。

そのため、「上限20万円」という記載があっても補助率が1/2と設定されている場合には、経費が20万円かかっても支給される補助金・助成金は10万円ということになります。

補助金率1/2、上限20万円の場合の例

出展に要した総経費額

補助金・助成金と自己負担額の割合

20万円の場合

40万円の場合

60万円の場合

上記のように補助対象の経費であっても自己負担しなければいけない経費が生じるため、公募要項をよく確認して資金計画を立てましょう。

6-3.展示会終了後に適切な事務処理を行わないと受け取れない

補助金・助成金は出展が完了した後の事務処理を適切に行わなければ受給できません。

申請通りの経費であるかの確認ができてから清算払いになるからです。

そのため、請求書や領収書、決算申告書など展示会でかかった費用や実施した事業状況を報告しなければ支給されることはありません

受給するには申請の手続きだけでなく、展示会開催後の適切な事務処理も伴うことを留意しておきましょう。

7.オンライン展示会も対象の補助金・助成金もある

補助金・助成金にはコロナ禍によってニーズが高まっている「オンライン展示会」を対象にしたものもあります。

ここからは、そもそもオンライン展示会とはどのような展示会なのか、実際にオンライン展示会を対象にしている補助金・助成金を一部ご紹介します。

7-1.オンライン展示会とは?

オンライン展示会とはインターネットを利用して行う展示会のことを指し、Web展示会やバーチャル展示会とも呼ばれています。

従来のリアル展示会と同様、ユーザーへ有益な情報を提供し、コミュニケーションを取って関係性を構築しながら企業や商品・サービスを知ってもらい、購買行動を促すイベントです。

例えば以下のようなことを通してユーザーへ情報を届け、コミュニケーションを図ります。

オンライン展示会でできること

●      画像、映像を使った商材の訴求
●      講演会やセミナーの配信
●      カタログ、パンフレットの配布
●      チャットを使ったオンライン商談

対面式で行う展示会よりもスムーズにアフターフォローに移ることができるため、成約につながる見込み顧客の獲得に効果的な出展方法であると注目されています。

7-2.オンライン展示会のメリット・デメリット

オンライン展示会は多くのメリットがあるものの、懸念するべきデメリットも存在します。
オンライン展示会のメリット・デメリットは以下のとおりです。

オンライン展示会のメリット・デメリット

メリット

デメリット

●      展示会の出展にかかるコストを低くできる
●      時間・場所・天候の制限がない
●      業務効率がアップする    

●      初回はシステム構築に手間と労力がかかる

オンライン展示会では対面式の展示会に必要な出展費用のすべてを省くことが可能になります。

不必要になるコスト

●      会場のレンタル料金
●      ブースの設置に必要な備品や装飾費用
●      チラシやパンフレットなどの印刷費用
●      搬入や搬出も含めた展示会に必要な人件費
●      会場までの交通費や滞在費

また、オンライン展示会では時間や場所、天候に左右されることはないため、参加する来場者の負担や制限を緩和することができます。

オンラインだからこそ、参加者の行動をデータ化できるうえ、一度作ったブースは2回目以降も活用できるため出展の労力を省くことも可能になります。

ただし、初めてオンライン展示会を開催する際はシステム構築に多大な手間と労力がかかるため、簡単には出展できないという懸念点があることがオンライン展示会の特徴です。

7-3.オンライン展示会を対象にしている補助金・助成金を一部紹介

オンライン展示会を対象にしている補助金・助成金は例えば以下のような団体があります。

オンライン展示会を対象にしている補助金・助成金(2023年1月現在)

経済産業省 商工会議所地区

小規模事業者持続化補助金

東京都千代田区

中小企業販路拡大事業支援補助(展示会出展に対する補助金)

東京都江東区

展示会等出展費補助

神奈川県伊勢原市

伊勢原市見本市等出展事業補助金

新型コロナウイルス感染症対策により、オンラインで開催する展示会も対象にしている補助金・助成金は多数あります。

オンライン展示会を出展する場合もこの記事を参考にして適用できる補助金・助成金を活用してください。

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1.充実したオンライン展示会を実現する豊富な機能
主要な4つの機能(オンライン展示ブース/オンライン名刺交換/オンライン商談/来場者分析)により、スムーズなオンライン展示会の開催と営業活動を実現します。

その他「チャット機能」「360°VRウォークスルー(リアルショールームを測量カメラで3Dスキャンし、丸ごとオンライン化できる機能)」など、オンライン体験を拡大する他社のオンラインツールとも連携して満足度の高い展示会にすることが可能です。

2.オンラインに不慣れでも大丈夫!運営事務局がしっかりサポート
オンライン展示会の開催にあたって、運営事務局(カスタマーサクセス)が以下のサポートを実施するので初めての開催でもご安心ください。

<サポート内容の例>
・システムやオンラインミーティングツールのご利用方法のレクチャ
・展示会コンテンツ作成のサポート
・展示会の集客サポート
・説明会の実施(イベント主催側が出展側に行う説明会のサポートなど)
・お問い合わせ対応(運営事務局としてお問い合わせ対応)

3.出展に必要なコンテンツ作成もまとめてお任せ可能(有償)
企業紹介のコピーライティングから、CG作成・商品画像撮影・プロモーション動画撮影・デジタルカタログなど出展に当たり必要なコンテンツ作成の依頼もまとめてお任せください。

WONDERLINEを運営する新日本印刷株式会社は、印刷事業に関連してデザイン事業(カタログ・パンフレットデザイン/Webデザイン/動画制作etc)を行っているので、これらのコンテンツ作成のノウハウを持っております。

8.まとめ

展示会の出展費用を軽減できる補助金・助成金は多数あります。

ただし、展示会へ出展する目的や対象エリアに属していない場合は利用ができない可能性が高いので要件の合う補助金・助成金を見つけ出すことが活用の第一歩です。

対象になる補助金・助成金が見当たらない場合でも、補助金・助成金は随時情報が更新されており、新しい公募もどんどん出てくるため、インターネットや認定支援機関を活用して探してみてください。

近年の展示会はリアル開催のみならずオンライン上での需要も増加しています。経費を削減することも経営では重要ですが、「ターゲットがどこにいるのか?」という視点から展示会開催方法も検討することがおすすめです。

オンライン展示会についてより詳しく聞きたい方は、お気軽にWONDERLINEへご相談ください。

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